【初心者向け】特定技能とは?外国人雇用を詳しく解説
深刻な人手不足への対応として2019年4月から導入された在留資格「特定技能」。技能実習との違いや1号、2号の違い、受け入れができる職種や、実際に受け入れをする際の流れなど、複雑で理解の難しい特定技能制度についてまとめました。
目次
在留資格「特定技能」とは
特定技能とは、日本の深刻な人手不足を解消するために、2019年4月から新たに導入された在留資格で、就労ビザの一つです。経済産業省や厚生労働省などの省庁が、人手不足であると定めた14の職種(これを特定産業分野と呼びます)に対して、外国人の就労が認められます。
特定技能が創設された背景は「人手不足」
特定技能は技能実習制度と異なり、純粋に「人手不足の解消」を目的としています。法務省によると、有効求人倍率は、1970年代以来44年ぶりの高さで、全ての都道府県で1を超える状態が続いています。2018年9月の有効求人倍率は1.64倍です。これは10人の求人をしても6人しか応募が来ないこととほぼ同じですので、事態の深刻性が分かります。
求人企業 | ||||||||||
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求職者 |
2018年9月の有効求人倍率が1.64=10人の求人に6人しか応募が来ない状態とほぼ同じ
さらに、日本人の労働力人口はどんどん少なくなっていくことが見込まれています。理由は、「少子高齢化」です。高齢によって退職する人口は、新社会人として新しく働き始める人口を大きく上回ります。具体的には、年間で約60万人ずつ少なくなるとされています。このように、いわゆる「働き盛り」の年代に当たる人口の割合が小さく、その結果経済の発展に悪い影響をもたらす状態のことを「人口オーナス」と呼びます。人口オーナスの状況下では、たくさん働ける若い世代の男性だけでなく、女性や高齢の方、あるいは障がい者の方など、多様な人材を活用する、またはそのような環境を整えることが必要です。これが、働き方改革の一つ「ダイバーシティ」という考え方ですが、その中には「外国人人材」の活用も含まれます。外国人労働者の受け入れは、働き方改革を行う上での選択肢の一つと言えるでしょう。
日本は未曽有の人材不足
日本が高齢社会である現状と、そこから考えられる労働人口の減少にフォーカスしました。労働人口減少の対応策として外国人人材のご説明をいたします。
外国人技能実習生受け入れは働き方改革に繋がるのか?
技能実習生を受け入れることでのメリットを働き方改革の視点から解説します。外国人材受け入れの拡大から外国人と働くことが身近となっています。こちらでは、実際に技能実習生の受け入れをされている企業様のリアルな声もご紹介しています。
一方で、日本で暮らす在留外国人数は、年々増えています。1985年の12月末時点で約85万人だった在留外国人の数は、2018年の12月末には約273万人になっています。
- 2018年の時点で有効求人倍率が1を超えている
- 今後、労働人口は年を追うごとに減少していく
- 在留外国人は年々増えている傾向がある
以上の3点から、日本政府は外国人による単純労働(技能実習と特定技能1号)を受け入れる決断を下したのです。
特定技能人材受け入れが可能な職種(特定産業分野)
在留資格「特定技能」として外国人労働者の受け入れが可能な職種は、「特定産業分野」という名称で定められた、以下の14分野です。
- ①介護厚生労働省
- ②ビルクリーニング厚生労働省
- ③素形材産業経済産業省
- ④産業機械製造業経済産業省
- ⑤電気・電子情報関連産業経済産業省
- ⑥建設国土交通省
- ⑦造船・舶用工業国土交通省
- ⑧自動車整備国土交通省
- ⑨航空国土交通省
- ⑩宿泊国土交通省
- ⑪農業農林水産省
- ⑫漁業※農林水産省
- ⑬飲食料品製造業農林水産省
- ⑭外食業農林水産省
※漁業関係の送り出しについては事前にお問い合わせください。
人手不足が深刻な「介護」は特定技能の受け入れが特に必要
人手不足が深刻になる大きな原因は「少子高齢化」ですが、その影響を最も大きく受けるのが介護分野と言って良いでしょう。労働人口がどんどん少なっていくばかりでなく、介護される側の高齢者が反比例的にどんどん増えていくためです。また介護の分野は高齢者とのコミュニケーションが必須であることから、より高度な日本語能力が求められたり、機械化やAI化が進みづらい職種であったりもします。これらのことから、介護は特定技能制度の中でも最も受け入れ数が多く求められる分野です。
介護人材の人手不足がやばい|介護の業界の人手不足の理由と対策を徹底解説
介護業界は未曾有の人手不足に直面しています。今後さらに労働人口が減少している現状とニーズの急増という2つの波が押し寄せ、ますます深刻化していくことが明確です。少子高齢化の日本を襲う人材難に立ち向かうために、その理由と外国人労働者活用での対策を徹底解説します。
技能実習では受け入れができない特定技能「外食」など
特定技能の中には、技能実習の資格では従事できない分野もあります。「外食」は「医療・福祉施設給食製造」という職種(作業)を除いて特定技能1号でなければ外国人を雇用することはできません。
また、食品製造業の一部、例えばアイスクリームなどの一部の菓子、みそやしょうゆなどの一部の調味料、納豆や豆腐などの製造や建設分野の吹付ウレタン断熱、海洋土木工は、技能実習が認められていない作業です。これらの作業も、特定技能1号でなければなりません。
特定技能と技能実習。外国人をどちらで雇用すべきなのかを徹底解説
2019年4月より在留資格「特定技能」が施行されました。しかし、技能実習との違いやメリット・デメリットはとても分かりにくいです。今回は職種ごとに、技能実習と特定技能のどちらの在留資格の人材を選ぶべきかを細かく解説していきます。
技能実習制度と特定技能の違い
労働を外国人に委ねる在留資格に「技能実習」と「特定技能」があります。その2つの違いは、以下のとおりです。
在留資格名 | 技能実習 | 特定技能 |
---|---|---|
在留期間 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 合計で最長5年 |
通算5年 |
対象業種 | 85職種156作業 | 14分野 |
外国人の技能水準 | なし | 相当程度の知識又は経験が必要 |
外国人の日本語水準 | なし (介護職種のみ入国時N4相当必須) |
日本語能力試験4級 国際交流基金日本語基礎テスト |
入国時の試験 | なし (介護職のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) |
技能水準、日本語能力水準(4級など)を試験などで確認 (技能実習2号を良好に終了した者は試験免除) |
転職の可否 | 原則不可 | 可能(同一の業務区分内) |
受け入れ可能国 | 15か国※1 | 9か国※2 |
受け入れ人数枠 | あり | なし ※介護と建設は制限有り |
制度趣旨 | 本国への技能移転 | 人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国⼈の受け⼊れ |
- ※1
- 中国
- ベトナム
- フィリピン
- インドネシア
- カンボジア
- タイ
- ミャンマー
- モンゴル
- スリランカ
- バングラデシュ
- ラオス
- インド
- ブータン
- ウズベキスタン
- パキスタン
- ※2
- ベトナム
- フィリピン
- インドネシア
- カンボジア
- タイ
- ミャンマー
- モンゴル
- ネパール
- 中国
このように、2つの在留資格に違いが出る大きな理由は何でしょうか?それは、技能実習と特定技能は制度の目的の違いです。
人手不足の解消が目的の特定技能
特定技能は、人手不足の解消が第一の目的です。労働力そのものが目的であるため、即戦力であることが求められます。したがって、技能実習2号の修了や特定技能試験の合格といった、一定の水準を満たす経験や知識が必須になります。しかし、労働力を目的にしているので人数枠に制限が無い場合がほとんどです。※介護と建設分野は異なります。
技能移転が目的の技能実習制度
一方、技能実習制度の目的は「技能移転」にあります。技能実習生たちは日本の先進的な技術を習得し、本国に持ち帰ってその発展に寄与してもらう「国際貢献」を目的としています。つまり技能実習生にとっての労働は、文字通り「実習」になりますので、技能水準や日本語水準は求められていません(介護職種のみ入国時N4相当必須)。その代わり、その技術を習得することが目的ですので、転職は原則的に許されておりません。
その他にも、技能実習生には単純労働のみの業務を禁止していたり、通算で働ける年数の上限に違いがあったりしますが、特定技能1号と技能実習生の違いには、制度趣旨の違いから生じたものがほとんどです。それぞれの在留資格の違いと、受け入れ企業の環境や状況を踏まえながら、技能実習生と特定技能1号、どちらの在留資格を持った外国人を雇用すれば良いのかを判断すると良いでしょう。
特定技能と技能実習。外国人をどちらで雇用すべきなのかを徹底解説
2019年4月より在留資格「特定技能」が施行されました。しかし、技能実習との違いやメリット・デメリットはとても分かりにくいです。今回は職種ごとに、技能実習と特定技能のどちらの在留資格の人材を選ぶべきかを細かく解説していきます。
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【介護】技能実習と特定技能1号の違いーメリット・デメリット
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特定技能1号と2号の違い
特定技能にはさらに「1号」と「2号」があります。この2つの違いはなんでしょうか?
まず前提として、特定技能2号は、特定技能1号の5年間の修了者しか移行することはできません。したがって、特定技能の在留資格を持つ外国人労働者は、始めはすべて特定技能1号ということになります。
特定技能1号は、通算で5年間労働することで在留資格としての期限を満了します。このまま特定技能2号に移行にするにしろ、一度は帰国する義務がありますので、例えば家族を帯同させる、といったことは認められていません。
特定技能2号は1号からの移行、つまり通算で5年間その業種でのキャリアを積んだ、熟練した能力を持つ人材です。そこからさらに日本で働くことを希望し、一定期間で更新する限り、在留期間に上限はありません。そのまま10年が経過した場合、日本に永住できる「永住者」の在留資格を視野に捉えることも可能になるので、要件を満たせば家族の帯同も認められる場合があります。
在留資格名 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留期間 | 1年、6ヶ月、又は4ヶ月ごとの更新、通算で上限5年 | 3年、1年、又は6カ月ごとの更新で、上限なし |
技能水準 | 試験等で確認※3 | 試験等で確認 |
日本語能力 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認※3 | 試験等での確認なし |
家族の帯同 | 基本的に認めない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
- ※3
- 技能実習2号修了者は試験等免除
しかし、特定産業分野の14の職種のうち、特定技能2号への移行が認められているのは、2019年12月現在では「建設業」および「造船・舶用工事」の2業種のみです。ただし、将来的にはその他の12の業種でも移行が認められるであろうと予想されています。
特定技能1号を取得できる外国人の条件
特定技能1号の在留資格は、外国人ならだれでも取得できるわけではありません。まず前提として、外国人の国籍が、日本と二国間協定を締結した国の国籍でなければなりません。その上で、法務省の出入国在留管理庁が定める「特定技能外国人に関する基準」を満たしていることが条件です。
日本と二国間協定を結んだ送り出し国は9か国が前提
外国人が特定技能の在留資格を得るためには、彼らの本国と日本との政府間で二国間協定(協力覚書)を締結する必要があります。理由は「特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れの確保、及び特定技能外国人の日本国での就労における問題の解決等のため」とされています。2019年12月の時点では、インドネシア・カンボジア・タイ・中国・ネパール・フィリピン・ベトナム・ミャンマー・モンゴルの9か国ですので、これらの国の国籍を持った外国人でなければなりません。ただし、受け入れ可能な国は今後増えていくことが予想されています。
特定技能外国人に関する基準を満たすことが必須
上記9か国出身の外国人であっても、さらに一定の基準を満たした外国人でなければなりません。極端に言えば、子供だったり、重い病気を抱えていたり、過去に強制退去を命じられていたりする外国人には特定技能は与えられません。基準は特定技能1号と2号それぞれのものと、その両方に共通するものが定められています。次のとおりです。
特定技能1号、特定技能2号に共通の基準
- 18歳以上であること
- 健康状態が良好であること
- 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
- 保証金の徴収等をされていないこと
- 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内容を十分に理解して機関との間で合意していること
- 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続きを経ていること
- 食費、居住費等外国人が定期的に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
特定技能1号のみの基準
- 必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他評価方法により証明されていること。(ただし技能実習2号を良好に修了しているものであり、かつ、技能実習において修得した技能が従事しようとする業務において要する技能と関連性があると認められる場合はこれに該当する必要がない)
- 特定技能1号での在留期間が通年して5年に達していないこと
特定技能2号のみの基準
- 必要な技能を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること
- 技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められていること
本国での特定技能試験
ここで重要なのは特定技能1号の基準の中にある、
必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他評価方法により証明されていること。(ただし技能実習2号を良好に修了しているものであり、かつ、技能実習において修得した技能が従事しようとする業務において要する技能と関連性があると認められる場合はこれに該当する必要がない)出入国在留管理庁『在留資格「特定技能」について』
という項目です。これは、端的に言うと
- 技能実習生2号を修了している
- 本国で行われる特定技能試験に合格する
のいずれかであると言えます。
技能実習2号の修了とはつまり、日本で3年間技能実習を行っていることになりますので、「必要な技能及び日本語能力を有している」とみなされ、試験なしで特定技能1号に在留資格を移行させることが可能です。
それ以外に、送り出し国の本国で行われる、各分野の技能試験に合格することでも特定技能1号の在留資格を得ることができます。どの国でどの分野の試験が受験できるかは各国によってまちまちです。ミャンマーの場合は2019年12月の時点で「介護」「宿泊」「ビルクリーニング」の3分野で受験が可能です。
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特定技能外国人・受入れ機関・登録支援機関の関係
在留資格「特定技能」で外国人を雇用するにあたっては、「外国人労働者」と「雇用する企業や個人事業主」の間に「登録支援機関」があり、外国人と企業双方のサポートをします。
受入れ機関とは、雇用する企業や個人事業主のこと
外国人技能実習生の受け入れ企業を指す「実習実施者」に対して、特定技能外国人の受け入れ企業や個人事業主のことを、「受入れ機関(特定技能所属機関)」と呼びます。受入れ機関は外国人材と、「特定技能雇用契約」という雇用契約を結びます。特定技能雇用契約には、「特定技能外国人に関する基準」を満たしていることが盛り込まれています。
外国人と企業のサポートをする登録支援機関
登録支援機関は、政府に登録された、特定技能制度の支援機関のことです。受入れ機関から依頼を受けて支援委託契約を結び、特定技能1号の支援計画を適正に実施するための機関です。支援の内容は次のとおりです。
支援計画の主な記載事項
- 職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援として必要であるとして省令で定められた10項目(下記参照)の実施内容・方法等
- 支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職名
- 支援の実施を契約により他の者に委託する場合の氏名及び住所等
- 登録支援機関情報(登録支援機関に委託する場合)
支援計画実施の登録支援機関への委託
- 受入機関は支援計画の一部または全部の実施を他の者に委託できる(支援委託契約を締結)
- 受入機関は支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には外国人を支援する体制があるものとされる。
省令で定められた支援計画10項目
- ① 事前ガイダンス
- 雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前または在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明
- ② 出入国する際の送迎
- 入国時に空港等と事業所または住居への送迎
- 帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
- ③ 住居確保・生活に必要な契約支援
- 連帯保証人になる・社宅を提供する等
- 銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助
- ④ 生活オリエンテーション
- 円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明
- ⑤ 公的手続等への同行
- 必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
- ⑥ 日本語学習の機会の提供
- 日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等
- ⑦ 相談・苦情への対応
- 職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等
- ⑧ 日本人との交流促進
- 自治会等の地域住民との交流の場や、地域のお祭りなどの行事の案内や、参加の補助等
- ⑨ 転職支援(人員整理等の場合)
- 受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
- ⑩ 定期的な面談・行政機関への通報
- 支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し,労働基準法違反等があれば通報
実際に受け入れをするには?
特定技能外国人を雇用しようという運びになった場合、企業は具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか?外国人を募集する、特定技能雇用契約の締結、登録支援機関との支援委託契約の締結、1号特定技能支援計画の策定、などなど、ちょっと聞いただけでもハードルの高い作業がたくさん待ち受けています。このような場合は、まずはプロにご相談されることをおすすめします。当送り出し機関から登録支援機関のご紹介も可能ですので、お気軽にお問合せください。
お気軽にお問い合わせください
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