特定技能「登録支援機関」とは|役割・失敗しない選び方
登録支援機関は特定技能の外国人労働者を受け入れる上で、非常に重要な役割を持ちます。この記事では登録支援機関の役割や支援内容を解説しています。
外国人労働者の雇用に関わる皆さんは、「登録支援機関」について、ご存知でしょうか?
登録支援機関は、今注目の在留資格、「特定技能」を活用する上で、重要な役割を果たしています。
今回は、登録支援機関の役割と、その選び方についてご紹介します。
「人手不足解消のために、特定技能を検討している」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
外国人労働者の採用を成功させることは、人手不足解消の糸口となるでしょう。
目次
1.企業と外国人労働者のサポーター「登録支援機関」
1-1.登録支援機関とは
登録支援機関とは、特定技能1号として労働する外国人の、
「入国から帰国までの一連のサポート」を委託することができる機関です。
「受入れ機関」とは、外国人が特定技能労働者として雇用契約を結ぶ企業を指します。
その受入れ機関が行う仕事の中で、彼らの仕事や生活に関わる支援、専門性の高い業務などを、登録支援機関に委託することができるのです。
労働者にとっても、企業にとっても、登録支援機関は心強いサポーターとなります。
1-2.受入れ機関の基準・義務
企業が「特定技能1号」として外国人労働者を受け入れるためには、定められた基準を満たし、義務を果たす必要があります。
<基準>
- 適切な雇用契約を結ぶ(例:日本人と同等以上の待遇を準備する)
- 機関自体が適切である(例:出入国に関する法令や労働法令等に違反していない)
- 外国人を支援する体制が整っている(例:生活面やコミュニケーションのサポート)
- 外国人を支援する計画が適切である(例:生活のオリエンテーション)
<義務>
- 雇用契約を確実に履行する
- 支援を実施する
- 出入国在留管理庁への各種届出を行う
- 外国人を支援する計画が適切である(例:生活のオリエンテーション)
以上の項目について体制を整えることで、企業は初めて、特定技能労働者として外国人材を受け入れることが可能なのです。
この中で「支援を実施する義務」の部分については、登録支援機関への委託が可能です。
次の章で、その詳しい内容について確認しましょう。
2.登録支援機関の役割は?支援内容10項目をご紹介
2-1.登録支援機関の要件
支援計画書の作成を行うことができれば、個人でも団体(民間の団体や法人、社労士、行政書士など)でも、登録支援機関になることができます。
出入国管理庁長官の登録を受けることで、登録支援機関としての活動が始められるのです。
この登録のためには、機関自体に法令違反がなかったり、外国人の支援体制が整っていたりといった、基準への適合が必要です。
2-2.登録支援機関の役割
登録支援機関は、受入れ機関と支援委託契約を結びます。
これにより、支援計画の全部または一部の実施を、登録支援機関が行うことになります。
具体的な支援内容について、確認しましょう。
2-3.支援内容10項目
事前ガイダンス
受入れ機関と労働者が雇用契約を締結した後、在留資格の申請前に、ガイダンスを行います。
労働条件、活動内容、入国手続き、保証金徴収の有無などについて、対面やテレビ電話で説明をするのです。
これらの説明は、外国人労働者が十分に理解できる言語を使い、お互いの表情が見える状態で行わなければなりません。
出入国する際の送迎
入国の際には、空港と仕事先(受入れ機関)もしくは住居間の送迎をする必要があります。
また、帰国の際にも、空港の保安検査場まで送迎・同行しなければなりません。
住居確保・生活に必要な契約支援
特定技能外国人の住居として、住居探しの補助や社宅の提供を行います。
賃貸物件を契約する際、特定技能労働者本人の名義で契約するのであれば、受入れ機関に保証人となることをうながしたり、保障業者を探し緊急連絡先となったりすることもあります。
また、銀行口座の開設や、携帯電話の契約、電気・水道などの生活インフラの契約や手続きを補助する必要があります。
生活オリエンテーション
円滑に社会生活を送るための、日本のルールやマナーを教えます。
また、公共機関の利用方法や、トラブル発生時・緊急時の連絡先、災害時の対応などについても伝えます。
あいまいな理解や誤った知識のまま生活をスタートすると、深刻な問題に発展することもあります。
母国との文化の違いに触れ、彼らが十分に理解できる言語で、入国したらすぐに実施します。
公的手続等への動向
住居や社会保険、税などの手続きの同行や、書類作成の補助を行います。
特定技能労働者自身が、窓口に出向いて行う行政手続きについては、特に手厚く支援をする必要があります。
日本語学習の機会の提供
日本語教室への入学案内や、日本語学習教材の提供などを実施します。
特定技能の場合は、一定水準の日本語力を確認する試験を通過しております。
しかし、職務の遂行や日本での暮らしを円滑にするためには、さらなる日本語学習が必要です。
相談・苦情への対応
職場や生活する中で出た相談事や苦情などに対して、助言や指導を行います。
この際も、彼らが十分に理解できる言語で行わなければなりません。
日本人との交流促進
自治会等の、地域住民との交流の場への参加を促します。
奉仕活動や地域のお祭りなどの情報を提供、案内し、必要に応じて同行します。
交流の際の注意事項や実施方法についても、説明を行わなければなりません。
転職支援(人員整理等の場合)
特定技能は、受け入れ側の都合により、雇用契約が解除となる場合があります。
その際に、転職先を探す手伝いや、推薦状の作成をしなければなりません。
また、転職活動のための有給休暇を付与する、転職に必要な行政手続きについてオリエンテーションするといったことも必要です。
定期的な面談・行政機関への通報
支援責任者等は、特定技能労働者やその上司に、3か月に1回以上の定期的な面談をする必要があります。
またその際、労働関連法規や入管法の違反が発覚した場合には、通報しなければなりません。
労働者本人への面談は、彼らが十分に理解できる言語で行う必要があります。
上記で説明した事柄は、「義務的支援」と呼ばれ、必ず実施しなければならない項目です。
これに加え、出来る限り実施することが望ましいとされる「任意的支援」もあります。
情報を一覧にした書面で情報提供をしたり、同行を義務付けられていない場面にも一緒に出向いたり、といった内容です。
登録支援機関には、特定技能労働者が安心して働けるように、出来る限りの支援を行うことが求められているのです。
3.登録支援機関選びに失敗しない3つのポイント
特定技能労働者の受け入れを成功させるためには、登録支援機関選びがカギとなります。
支援機関としての登録はされているものの、
支援の実態がない機関は多数存在します。
適切な登録支援業務を、実際に行っている機関を選ぶことは大前提です。
加えて、以下の点に注意しましょう。
3-1.協議会に加入しているか
特定技能の受入れ機関には「業種別の協議会への加入義務」があります。
この協議会は、特定技能制度を適切に運用するために、管轄の省庁が設置したものです。
特定技能14業種のうち、次の6業種については、登録支援機関についても、その協議会への加入が必須となっております。
・外食業
・飲食料品製造業
・宿泊
・自動車整備業
・航空
・造船・船用工業
特定技能労働者の就労分野がこちらに該当する場合には、協議会に既に加入しているか、これから加入する確約のある登録支援機関から選ぶようにしましょう。
3-2.登録支援機関の拠点が近くにあるか
登録支援機関は、自社の近くにあるのが望ましいです。
実際に外国人労働者を受け入れると、就労中や日常生活の中で、予想していなかったトラブルが起こります。
その際に、フットワーク軽く対応してもらえるかどうかは、非常に重要なポイントです。
対応が遅れると、トラブルが大きくなりかねません。
また、支援のための費用として、自社までの交通費を負担するため、近距離の方が費用を抑えられます。
3-3.支援費やサポート内容が適切か
登録支援機関を比較し、支援費(監理費、管理費、サポート費、登録支援費とも呼ぶ)やサポート内容、対応言語について、詳しく情報を収集しましょう。
任意支援の内容や支援費は、機関により全く異なります。
支援費が高額だからといって、充実した支援内容であるとも限らいないのです。
特定技能労働者を受け入れる上で、気になる点を事前に確認し、数社の見積もりを比較するようにしましょう。
通訳がその機関に常駐しているか、どのような支援を依頼した場合に別途費用が発生するかなど、トラブルが起こった場合を想定するのがポイントです。
4.さいごに
今回は、登録支援機関について解説しました。
登録支援機関は、特定技能での外国人労働者を受け入れる上で、非常に重要な役割を持つ機関です。
優良な登録支援機関の存在は、労働者と企業、双方の心強いサポーターとなるでしょう。
【出典】
法務省 入国管理局「新たな外国人材の受け入れについて」
外務省 「登録支援機関について」
法務省 「特定技能における分野別の協議会について」
お気軽にお問い合わせください