特定技能「素形材産業」|外国人を雇用するためには?
2023年時点で6.2万人の人材不足が予測されている、特定技能「素形材産業」。この記事では、外国人材の受け入れ可能な職種・資格の取得方法・試験内容・特定技能「素形材産業」の資格を取得している外国人の受入方法を解説します。
今回は特定技能における「素形材産業」について解説をしていきたいと思います。
素形材産業は日本国において人材不足が叫ばれている産業の代表格であり、2023年時点では6.2万人の人材不足が予測されています。
特定技能「素形材産業」のスタートは、今後の日本でのこの分野における労働力不足に歯止めをかけると期待されていますので、外国人の雇用を考えられている方はこれを機会に詳細な内容について熟知していきましょう。
目次
素形材産業の現状
人材不足
他の業種と同様に非常に深刻な人材不足の問題を抱えているのがこの「素形材産業」です。
2017年12月度の統計によると、94%以上の製造業を営む企業において、人材不足が顕著にあらわれており、そのうち32%は「ビジネスに支障をきたしている」と回答しているようです。
特に人材が不足している分野としては、「技能人材」が挙げられます。
有効求人倍率の推移
素形材産業に関わる職種における有効求人倍率は2.83倍ほど(鋳造、金属プレスなど)になっています。
素形材産業においてもIT化、高齢者や女性の採用を拡充させ、生産性を伸ばす努力をしてきましたが、2017年時点ではおおよそ3万人の人手不足。2025年時点では6.2万人の人材不足が予想されています。
このように素形材産業は深刻な人材不足に陥っており、素形材産業の経営者は常にこの問題に頭を悩まされています。
特定技能「素形材産業」の職種
特定技能「素形材産業」の対象となるとは?
特定技能「素形材産業」には以下の13の職種が、当てはまります。
- 鋳造
- 鍛造
- 機械加工
- ダイカスト
- 金属プレス加工
- めっき
- 仕上げ
- アルミニウム陽極酸化処理
- 工場板金
- 機械保全
- 機械検査
- 塗装
- 溶接
上記の業務内容を以下にて解説します。
鋳造
溶解した金属を型に流し込むことで、製品を製造していく業務
鍛造
金属を打つもしくは圧を加えることにより、形状を目的のものに変えたり、高強度に鍛えていく業務
機械加工
旋盤、ボール盤のような工作機械・切削工具を使い、金属材料などを加工していく業務
ダイカスト
溶接した金属を型に圧を加えて流し込むことで、短い時間で高精度の鋳物を多量に制作していく業務
金属プレス加工
プレス機械で金属に圧を加えて、成形を行う業務
めっき
金属などの材料を薄い金属で覆うことで、腐食を防いでいく業務
仕上げ
部品加工を工具や工作機で行い、高精度にしていき、仕上げ・組み立てをする業務
アルミニウム陽極酸化処理
アルミニウムを酸化させることにより、酸化アルミニウムの皮膜作成を行う業務。
工場板金
金属の薄板を加工し、組み立てを行う業務
機械保全
正常に機械が動作するように、工場内の設備機械に対して、故障・劣化を防ぐ対策を講じる業務。
機械検査
測定機器などにより、機械部品を点検する業務。
塗装
塗料を使い、被塗装物を塗膜で覆う作業を行います。
溶接
熱もしくは圧力または両方を加えることにより、部材を接合していく作業を行います。
素形材産業の日本人従業員が従事するような関連業務に、特定技能外国人労働者が従事することも許されています。
例を挙げると、以下記載のものが該当すると思われます。
- 部品、原材料の搬送や調達
- クレーン・フォークリフトの操縦
- 工場内の清掃・点検作業
- 加工品切削、ばり取り、検査業務、型の保守管理など
特定技能「素形材産業」での受入見込み数
特定技能「素形材産業」分野では、2023年度までの受け入れ見込み数はおおよそ2万1500人と言われています。
素形材産業においては、特定技能「素形材産業」資格を持っている外国人を受け入れると同時に、毎年おおよそ1%近い生産性向上が必要とされています。
同時に国内における人材確保をしての労働効率化も必要とされており、国内の人材を2023年までに1万人〜1万5000人雇用したとしても、素形材産業においては人材不足は避けられないとされています。
特定技能「素形材産業」資格の取得方法
実際にどうすれば、外国人は特定技能第1号「素形材産業」資格を取得できるのでしょうか?
在留資格である「特定技能」には2つの取得方法が存在しています。
まず1つ目は、技能試験と日本語能力試験に合格することです。
技能試験は「特定技能評価試験」と呼ばれます。日本語試験は「日本語能力試験(N4以上)」あるいは「国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)」のどちらかの合格が必要です。
そして2つ目は、技能実習2号を修了し、資格を取得する方法があります。
それぞれについて詳しく説明をしていきます。
資格取得方法1
「特定技能評価試験」及び日本語試験への合格
特定技能評価試験とは?特定技能評価試験とは、それぞれ14種類ある特定技能の試験です。
特定技能「素形材産業」において、経済産業省が規定している「製造分野特定技能1号評価試験」を受験する必要があります。
「製造分野特定技能1号評価試験」とは?特定技能評価試験とは、それぞれ14種類ある特定技能の試験です。
製造分野特定技能1号評価試験に関して説明します。
この試験は、素形材分野・電気電子情報関連産業・産業機械製造産業という3分野の知識や技能が備わっているかどうか確かめるための試験となっています。
2019年4月より在留資格「特定技能」が実施されていますが、製造分野特定技能1号評価試験は、経済産業省によって採択された機関が行なっています。
この製造分野特定技能1号評価試験には全部で19の業務区分があり、それぞれに試験が実施されます。
以下が19の業務区分です。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- めっき
- アルミニウム陽極酸化処理
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組み立て
- 電気機器組み立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
これらの試験では、学科試験及び実技試験を受験する必要があります。
それぞれの合格基準は、学科試験で100点満点中65点以上、実技試験で100点満点中60点以上となっています。
また、特定技能「素形材産業」の資格取得にあたり、国内受験と国外受験の2種類の方法から受験方法を選ぶことが可能です。
日本国内で受験する場合には、以下条件が求められます。
- 試験日に満17歳以上であるとともに、日本における在留資格を所持していること
- 法務大臣が告示で規定している外国政府もしくは地域の権限ある機関が発行元である旅券(いわゆるパスポート)を所持していること
日本国外での受験希望者は、以下条件が求められます。
- 試験日に満17歳以上である
日本語試験の受験2つ目の試験として日本語試験の受験が必要です。
試験としては「国際交流基金日本語基礎テスト」もしくは「日本語能力試験のN4以上」に合格することが条件となっています。
日本国で働くことになりますので、日常会話が普段の生活を送る上で十分なものか、日本語の基本能力を測る試験となっています。
資格取得方法2
技能実習2号を修了し、特定技能「素形材産業」へと移行する
2つ目の特定技能「素形材産業」の取得方法は、技能実習2号修了後、試験を受けずに在留資格「特定技能」に移行することで取得可能です。
この技能実習2号修了者は、無試験で在留資格「特定技能」が取得できます。
今までに日本滞在中であった技能実習生に関してはさらに最長5年まで日本滞在が可能になるため、在留資格を特定技能に変更することにより、在留期間の延長を行うことができます。
特定技能「素形材産業」資格取得している外国人の受入方法
これまで特定技能「素形材産業」資格をどうすれば取得できるかについて解説をしてきました。
ここからは、こうした特定技能「素形材産業」の資格を有している外国人を雇用するにはどうすればいいのかという点について解説をしていきます。
これらの外国人を雇用するためには、協議会への加盟する必要があります。
以下詳しく解説します。
協議会への加盟について
特定技能の資格を持つ外国人を受け入れる際、製造業特定技能外国人受け入れ協議・連絡会への加入が必須となっています。
これは、経済産業省、地方自治体、そして法務省と、素形材産業分野、電気電子情報関連産業分野、産業機械製造業分野の3分野で構成された組織であり、特定技能の資格をもつ人材をスムーズに受けられるよう取り計らう機関となります。
協議会に参加する企業は、この協議会の要求事項に関する報告であったり、現地調査への協力に応じる必要も出てきます。
さいごに
外国人の雇用、特に特定技能外国人の雇用には様々な手続きが必要になってくるので注意が必要です。
これから初めて特定技能資格を取得している外国人の雇用を考えている場合には、ぜひ登録支援機関や人材紹介会社にご相談されることをおすすめします。
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