特定技能に自動車運送業が追加決定!
長年人材不足に悩まされてきた自動車運送業界に、ついに特定技能外国人ドライバーの導入を図る政策が発表されました。この政策は、若手ドライバーの確保や高齢化問題の解消に繋がる等、物流・人流の持続化を高める大きな希望として注目を集めています。これらを踏まえ、本記事では特定技能に自動車運送業が追加決定された詳細について解説してきます。
目次
特定技能に自動車運送業が追加決定!
長年人材不足に悩まされてきた自動車運送業界に、ついに特定技能外国人ドライバーの導入を図る政策が発表されました。この政策は、若手ドライバーの確保や高齢化問題の解消に繋がる等、物流・人流の持続化を高める大きな希望として注目を集めています。これらを踏まえ、本記事では特定技能に自動車運送業が追加決定された詳細について解説してきます。
1. 特定技能の現状
令和6年3月29日、政府は人材不足が深刻な特定産業分野において、相当程度の知識や経験が必要な技能を持つ外国人労働者の受け入れを目的とした「特定技能1号」に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野を追加しました。これにより、受け入れ分野は合計16分野となります。さらに、令和6年度からの5年間で最大82万人の外国人労働者を受け入れることを閣議決定し、特に自動車運送業では2万4,500名の受け入れを見込んでいます。
特定技能1号の在留期間は最長5年ですが、在留期間の上限がない特定技能2号は現在、自動車運送業には適用されていません。しかし、将来的には自動車運送業にも特定技能2号が追加される可能性が高いと期待されています。
2. 物流の2024年問題
自動車運送業界は社会インフラを支えるために必要不可欠な存在ですが、他の業種に比べて残業が多い現状があります。これを受けて、政府は働く人々の健康を守るため、2024年4月から「時間外労働の上限規制」を適用しました。しかし、この規制によりドライバーの労働時間が短縮され、輸送量の減少が懸念されています。これが「物流の2024年問題」と呼ばれる背景です。
さらに、特定技能1号に自動車運送業が追加された背景には、20代の免許取得者数の減少と、60代以上の運転免許保有者数の増加が挙げられます。このような状況を受けて、特定技能外国人の多くが20代半ば~30代前半であることから、若年の外国人ドライバーの確保が人材不足解消の鍵とされています。
3. 追加された職種
自動車運送業には、トラック運送業、タクシー運送業、バス運送業の3つの職種があります。
所定の要件を満たした外国人ドライバーは、直接雇用(正社員・フルタイム)として、自動車運送業分野における事業用自動車の運転、それに付随する業務全般を担当します。
トラック:
運行管理者の指導・監督の下、貨物自動車運送事業における運行の前後点検、安全な運行、乗務記録の作成、荷崩れを防止する貨物の積付け等
タクシー:
運行管理者の指導・監督の下、一般乗用旅客自動車運送事業における運行の前後点検、安全な運行、乗務記録の作成、乗客対応等
バス:
運行管理者の指導・監督の下、一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業における運行の前後点検、安全な運行、乗務記録の作成、乗客対応等
※日本人が通常行う関連業務(例:車両清掃などの専門性が不要な業務)に従事することは問題ありません。
4. 受け入れ企業に求められる要件
受け入れ見込み数の増加に伴い、外国人労働者との共生社会の実現に向けた環境整備をさらに推進する必要があります。 特定技能外国人の受け入れには、基準を満たす事業者であること、協議会に加入すること、新任運転者研修を実施すること(タクシー・バスのみ)などの要件を満たさなければなりません。
【前提条件】・道路運送法の第2条第2項に規定する自動車運送事業に該当すること
・日本標準産業分類「43 道路旅客運送業」、「44 道路貨物運送業」に該当すること
【要件】・国土交通省が設ける「自動車運送業分野特定技能協議会」に加入すること(登録支援機関に委託する場合は、登録支援機関も協議会の構成員であることが必要)
・国土交通省またはその委託を受けた者が行う調査や指導に対して、必要な協力を行うこと
・タクシー運送業及びバス運送業の企業(特定技能所属機関)は、受け入れ予定の特定技能外国人に対し、新任運転者研修を実施すること
・運転者職場環境良好度認証制度の認証または安全性優良事業所(Gマーク)を保有すること
5. 外国人に求められる要件
日本で特定技能外国人ドライバーとして働くには、自動車運送業分野の特定技能1号評価試験に合格、対象となる運転免許を取得、一定レベル以上の日本語能力を持つことが要件です。特にタクシー・バスの運転手は、多様な乗客と接することから、合理的な配慮やコミュニケーション能力が非常に重要になります。また、事故対応なども含めて円滑に運行することが求められるため、他の分野よりも厳しい日本語能力試験N3以上のレベルが必要です。
区分 | 運転免許 | 特定技能試験 | 日本語能力試験 |
---|---|---|---|
トラック | 第一種運転免許 | 自動車運送業分野 特定技能1号評価試験 |
・日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上) ・日本語教育の参照枠(A2相当以上のレベルと認められるもの) |
タクシー | 第二種運転免許 | 自動車運送業分野 特定技能1号評価試験 |
・日本語能力試験(N3以上) ・日本語教育の参照枠(B1相当以上のレベルと認められるもの) |
バス | 第一種運転免許 | 自動車運送業分野 特定技能1号評価試験 |
・日本語能力試験(N3以上) ・日本語教育の参照枠(B1相当以上のレベルと認められるもの) |
>> 日本語能力試験において、技能実習2号(職種・作業の種類を問わず)を良好に修了した者は、ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、日本語試験は免除されます。
>>
6月28日、県警運転免許センターでは、運転免許の学科試験に英語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語などの20言語を導入しました。これは、タクシー・バスの運転手に必要な第2種運転免許の学科試験や、外国免許を切り替える際に行う知識確認問題にも対応しています。
※運用開始日は試験場により異なりますのでご注意ください。
対応言語:
英語、中国語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、ペルシャ語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、タガログ語、インドネシア語、クメール語、ミャンマー語、モンゴル語、ウクライナ語、シンハラ語、ウルドゥー語、アラビア語、ヒンディー語
6. 特定活動
日本で特定技能外国人ドライバーとして働くには、対象となる運転免許を取得(または外国免許切り替え)すること、タクシー・バスにおいては新任運転研修を受講することが要件になります。このため、一定期間は日本に滞在する必要があるのです。したがって、それ以外の要件を満たした外国人は、受け入れ企業との雇用契約の下で在留資格「特定活動」が認められ、日本へ入国・滞在が可能となります。
※在留資格「特定活動」の在留期間は、在留資格「特定技能1号」の通算在留期間にはカウントされません。
在留資格「特定活動」に関する情報は、社会情勢や政策に応じて申請条件が変更されることがあるため、常に最新の情報を確認し、適切な手続きを行うようにしましょう。
7. ミャンマー・ユニティのトラックドライバー採用提案
2024年7月10日現時点では、特定技能「運送業」の技能評価試験は始まっておりません。
そのため、ミャンマー・ユニティでは代わりの現実的な案を以下の図にてご提案いたします。
① 運転免許を保有したトラックドライバー希望者をミャンマーで募集
② 企業様に面接を行っていただき、その合格者に対して日本語教育
③ ミャンマーにおいて、特定技能に必要な日本語評価試験合格
④ その後日本に入国(内定を出していただいてから約6~7ヶ月)
⑤ 入国後1ヶ月監理団体で研修を行う
⑥ 技能実習で11ヶ月倉庫作業を行う。
⑦ 技能実習期間内に準中型免許に外免切り替え
⑧ 日本国内で特定技能「トラックドライバー」の技能試験に合格
⑨ 技能実習期間が終わったら特定技能に在留資格を切り替え、4.5トン未満を運転
⑩ 4.5トン以上の運転が必要な場合は、日本での運転免許取得1年後に中型・大型免許を取得
このモデルでしたら今すぐに採用が可能です。つまり、技能実習で日本に入国する準備をして、入国して技能実習生として勤務をしている間に特定技能「運送業」の試験が始まるので試験に合格していただくという流れとなります。
まとめ
時間外労働の上限規制の適用により、ドライバーの人材不足が深刻化しています。
特に、物流量が急増する一方で慢性的な人材不足に悩まされているトラック運送業界では、物流の2024年問題が重要な課題となっています。1日に運ぶことができる荷物の量が削減されることにより、トラック事業者の売上・利益の減少、ドライバーの収入の減少、収入減少に伴う担い手不足等、様々な懸念点が浮かび上がっています。
このような状況下で、自動車運送業が特定技能に追加されたことは、新たな人材をもたらす大きな一歩です。さらに、県警運転免許センターが20言語での運転免許学科試験を導入したことは、より良い兆しと言えるでしょう。
自動車運送業における特定技能外国人の受け入れには、企業と外国人双方に厳格な要件が課されており容易ではありません。また、雇用に至った後も、一人で接客するドライバー業務を任せるには難しい側面もあるでしょう。
しかし、日本語教育の強化や接客・接遇研修に加え賃金や待遇の見直し、さらに、日本人と同様に労働基準法に基づいて雇用することで、外国人ドライバーの活躍を促進し、ひいては自動車運送業界の発展に繋がるのではないかと期待しています。
お気軽にお問い合わせください