特定技能から永住権を取得できるのか?

日本で働く特定技能外国人の中には、永住権の取得を目指している方が多く存在します。特定技能外国人が永住権を取得することは、企業側にとっても、雇用している長期的な人材確保や企業成長に繋がる大きなメリットとなります。これらを踏まえて本記事では、特定技能から永住権を取得できるのかについて、要件や注意点を含めた詳しい概要を解説していきます。

特定技能から永住権を取得できるのか?

目次

  1. 特定技能から永住権を取得できるのか?
    1. 永住権とは
    2. 特定技能外国人は永住権を取得できるのか
    3. 永住権の取得要件
    4. 永住権の特例要件
    5. 永住権の申請
    6. 永住権に関する注意点
  2. まとめ

特定技能から永住権を取得できるのか?

日本で働く特定技能外国人の中には、永住権の取得を目指している方が多く存在します。特定技能外国人が永住権を取得することは、企業側にとっても、雇用している長期的な人材確保や企業成長に繋がる大きなメリットとなります。これらを踏まえて本記事では、特定技能から永住権を取得できるのかについて、要件や注意点を含めた詳しい概要を解説していきます。


1. 永住権とは

永住権とは、国籍を変更せずに日本での長期滞在を認める在留資格です。この在留資格を取得することで、在留期間の制限が無くなり、自由な職業選択が可能になり、離婚等の状況変化による在留資格の変更が不要になります。また、永住権には厳格な要件が設けられているため、永住者であることは日本社会における信用度を高める要因となります。
特定技能外国人の数が年々増加している現状を考慮すると、永住権取得への需要もさらに高まるでしょう。


2. 特定技能外国人は永住権を取得できるのか

特定技能には1号と2号の区分があります。特定技能1号の在留期間は最大5年であり、その間に永住権の取得要件を満たすことはできません。一方、特定技能2号には在留期間の制限がなく、実質的には永住することも可能です。そのため、特定技能2号の外国人は、永住権の取得要件を比較的達成しやすい状態にあります。また、介護分野では特定技能1号の外国人が国家資格 介護福祉士を取得し、介護福祉士資格保有者等在留資格に変更することで、特定技能2号と同様に在留期間の制限がなく、実質的には永住することも可能になります。


3. 永住権の取得要件

① 日本に5年以上連続して在留していること

さらに、在留期間が1年以上残っていること、原則として10年以上継続して日本に在留していることが求められます。ただし、特定技能1号の在留期間はこの要件に含まれないため、特定技能2号として10年以上在留する必要があります。特定技能2号は在留期間に上限がないことから、ビザを更新し続けて10年を超えれば永住権の申請が可能です。

② 素行が善良であること

日本の法令を遵守し、道徳的な生活を送ることが重要です。違法行為や素行不良がないことが要件であり、良好な人格・品行を示すことが求められます。また、自国では問題にならない行為でも、日本では問題視されることがあるため、生活オリエンテーション等で学んだ注意事項を日常生活で怠らないようにしましょう。

③ 独立生計を営むに足りる資産・技能を持つこと

日本で安定した収入や職を得るための技能を持つことが重要な要件です。また、公的な支援(生活保護等)を受けていないことも評価されます。特定技能外国人であれば、人手不足の産業において必要なスキルを有していることから、安定した就労が見込めるでしょう。この要件は世帯ごとに確認されるため、配偶者や子供等の被扶養者が独立している必要はありません。

④ 身元保証人がいること

身元保証人は、外国人労働者が在留中に法律を遵守し、公的義務を果たすためにサポートする役割を持ちます。このため、身元保証人には一定の収入や責任能力が求められ、身分証明書(運転免許証やマイナンバー等)の提出も必要です。通常、雇用主や同僚がこの役割を務めることが多く、日本人と結婚している場合や家族に日本人がいる場合には、それらが保証人になることが一般的です。身元保証人であるからといって、特定技能外国人に何かトラブルが発生した際に金銭的な責任を負うことはありません。

4. 永住権の特例要件

永住権の取得には、原則として10年以上継続して日本に在留していることが求められます。ただし、10年未満の場合でも永住権を取得できる特例があります。

配偶者

・日本で生活している永住者や特別永住者の配偶者の場合、実体のある婚姻生活を3年以上継続し、かつ1年以上日本に在留していること。
・外国人の実子の場合、1年以上継続して日本に在留していること。

定住者

・日本で定住者の在留資格を持つ外国人の場合、5年以上継続して日本に在留していること。

難民

・難民認定または補完的保護対象者認定を受けた外国人の場合、認定後5年以上継続して日本に在留していること。

日本への貢献が認められる者

・外交、社会、経済、文化等の分野において日本への貢献が評価され、5年以上継続して日本に在留していること。
・特定研究等活動または特定情報処理活動(特定活動告示36号 、37号)において日本への貢献が評価され、3年以上継続して日本に在留していること。

高度専門職に従事する者

・高度専門職または特定活動(高度人材)在留資格を持つ外国人の場合、3年以上継続して日本に在留していること。
・特別高度人材制度の基準に該当する場合、1年以上継続して日本に在留していること。
・1年以上継続して日本に在留し、かつ永住許可申請日の1年前を基準にして特別高度人材制度の基準に該当し、それを維持していること。


5. 永住権の申請

1.永住許可申請書

2.写真(縦4cm×横3cm)

・16歳未満は不要

3.身分関係を立証するいずれかの資料

・申請者が日本人の配偶者である場合:配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)

・申請者が日本人の子である場合:日本人の親の戸籍謄本(全部事項証明書)
・申請者が永住者の配偶者である場合:配偶者との婚姻証明書

4.申請者を含む家族全員(世帯)の住民票

5.申請者または申請者を扶養する方の職業を立証するいずれかの資料

・会社等に勤務している場合:在職証明書
・自営業等である場合:確定申告書控え(写し)
          :営業許可書の写し(ある場合)
・その他の場合:職業に係る説明書及び立証資料

6.申請者及び申請者を扶養する方の所得及び納税状況の立証資料(直近3年間分)

・住民税における納付状況の立証資料
・国税における納付状況の確認資料

7.申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料における納付状況の立証資料

・公的年金の保険料における納付状況の立証資料(直近2年間分)
・公的医療保険の保険料における納付状況の立証資料(直近2年間分)
・申請者が事業主である場合:公的年金の保険料における納付状況の立証資料
 ※社会保険適用事業所 :公的医療保険の保険料における納付状況の立証資料
            :健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)または社会保険料納入証明書              または社会保険料納入確認書

8.パスポート(旅券)または在留資格証明書の提示

9.在留カードの提示

10.身元保証に関する資料示

・身元保証書
・身元保証人の身分事項を立証する書類(運転免許証写し等)

11.身分を立証する文書等の提示

12.了解書


〜申請の流れ〜


1. 必要書類の取得
2. 申請書類の作成
3. 申請手続き ※居住地を管轄する入国管理局の申請窓口
4. 審査を受ける
5. 結果通知を受ける
6. 入国管理局での許可手続き
7. 外国人登録の変更手続き

6. 永住権に関する注意点

審査期間

永住権の申請は、在留期間満了日より前に行わなければなりません。したがって、オーバーステイを未然に防ぐためにも、在留期間の満了が近づくと在留期間更新許可申請の手続きを考えておくべきです。また、永住許可申請の審査期間は通常約4ヶ月かかり、他の在留資格と比べて長期に及びます。審査中は日本からの出国制限があることや、申請者の離職や収入の減少により、永住権の取得が困難になる可能性があるため、この期間中は特に注意が必要です。

費用

永住権の申請が許可されると、入国管理局での手続きに8,000円の収入印紙が必要です。ただし、更新の際には費用はかからず、通常は即日交付されます。

更新

永住権であっても、7年ごとに更新が必要です。また、更新手続きは在留期間満了日の2ヶ月前から行うことができます。この更新を忘れると、最悪の場合、永住権が失効する可能性があります。そのため、日程管理を徹底し、確実に更新手続きを行うよう心がけましょう。

理解

永住権を取得しても、日本国籍を取得したわけではありません。したがって、現在の日本では選挙権を持つことはできず、公務員として就職するには特別な手続きが必要です。このように、日本国籍と永住権の違いについて理解しておくことが重要です。

二重国籍と母国の法律

永住権の取得後も母国の国籍や義務は変わりません。そのため、二重国籍の問題や母国の法律(兵役義務等)を考慮しながら生活する必要があります。

まとめ

特定技能から永住権取得への道は、多くの時間や労力を要しますが、晴れて永住権を取得すれば、業務内容や在留期限にとらわれることなく、日本で安定した生活を送ることができます。

特定技能外国人の存在は、日本の経済成長や出生率向上に期待が高まる一方で、円安の影響により日本での就労メリットが低下し、他のアジア諸国に人材が流出している現状も見逃せません。今後、選ばれる国となるためにも、外国人材の確保や労働環境の整備が急務となっています。

双方がより良い共生社会の実現に向けて持続的に取り組むには、外国人労働者自身も素行不良による永住資格取消のリスクを考慮し、また企業側も雇用している外国人労働者の永住意向を早期に把握し、適切な支援を行うことが重要です。

お気軽にお問い合わせください

受け入れを検討されている企業の方

監理団体・登録支援機関・人材会社の方