外国人の人材紹介会社、人材派遣、請負契約について

外国人を採用したいけれど、どの会社に依頼したら希望に沿った外国人材を採用できるか分からない人も多いのではないでしょうか。この記事では人材紹介会社、人材派遣、請負契約の制度の違いやメリット、デメリットを徹底解説しています。

外国人の人材紹介会社、人材派遣、請負契約について

目次

  1. 人材紹介会社の定義と役割
  2. 人材紹介会社サービスの種類
    1. 一般紹介・登録型
    2. サーチ型
    3. 人材派遣禁止のケース
  3. 請負契約の定義とサービスについて
  4. 人材派遣会社の定義とシステムについて
  5. 人材派遣会社サービスの種類
    1. 一般派遣(登録型)
    2. 特定派遣(常用型)
    3. 紹介予定派遣
  6. 外国人材サービスの種類
    1. 人材紹介会社の外国人材紹介
    2. 人材派遣会社の外国人材派遣
    3. 請負契約
  7. 人材紹介と人材派遣と請負契約との違い

外国人を採用するにあたって、人事の方は人材紹介会社や人材派遣会社の利用を検討している企業もあるかと思います。
人材紹介と人材派遣を同じものと考える方もいますが、会社の仕組みや事業内容、サービス内容は全く異なります。
それぞれ特徴があり、在留資格や職種によっては派遣雇用が禁じられている場合もありますので注意が必要です。
ここでは、自社にマッチした人材を採用していただくために各制度や体制について詳しく説明していきます。

1.人材紹介会社の定義と役割

人材紹介会社とは、厚生労働大臣から許可を受けた民間の「有料職業紹介所」のことです。
人材採用をしたい企業と、企業で働きたい求職者のマッチング(仲介)を行い、両者の雇用契約成立をサポートするサービスを提供しています。
人材紹介会社の役割は、就職先を紹介するだけではありません。
求職者が希望する業種や職種を把握し、それぞれの適正を見極めたうえで最適な企業を紹介しています。
マッチングから選考のサポートまでを行い、雇用契約は企業と求職者との間で結ばれるため、採用活動を支援するサービスという位置づけです。

1人材紹介会社

2.人材紹介会社サービスの種類


2-1 一般紹介・登録型

人材紹介会社が募集した登録者の中から、企業からの依頼に沿う登録者を紹介するサービスです。
幅広い職種・業種を取り扱う「総合タイプ」、特定の専門職種・業界に特化した「専門タイプ」があります。
多くの人材紹介会社はこの形態のため、人材紹介会社サービスの種類について詳しく記述がない場合は一般紹介・登録型のケースが多いです。

2-2 サーチ型(エグゼクティブサーチ・ヘッドハンティング)

一般紹介・登録型のように登録した求職者の中から人材紹介すると同時に、海外の学校との提携・他社の人材データベース・SNSなどを活用して人材を探します。
ヘッドハンティング・スカウトと呼ばれることがあります。

2-3 人材派遣禁止のケース

技能実習生

技能実習生は人材派遣が禁止されています。
現時点で技能実習2号移行対象職種・作業として85職種156作業が認められていますが、すべての技能実習生は派遣雇用することができません。

「農業」「漁業」以外の特定技能外国人

詳しくは次項での内容をご覧ください。
人材派遣会社の外国人材派遣

禁止業種

以下の業務が人材派遣では禁止されています。

  • 港湾運送
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 病院等における医療関係の業務(紹介予定派遣の場合、社会福祉施設の業務をのぞく)
  • 派遣先における団体交渉や協定締結など、労使協議の際に使用者側の直接当事者として行なう業務
  • 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務

後ほどで説明しますが、実際には、技能実習生、「農業」「漁業」以外の特定技能外国人を短期で雇用したい場合や、人材派遣が禁止されている業種においては、法令違反回避のために請負契約が多用されています。

3.請負契約の定義とサービスについて

請負契約とは、業務委託の中の1つです。
派遣契約と似ていますが、請負契約は「請負会社」と「発注企業」が「請負契約」を結ぶことです。
簡潔に表すと「成果報酬型」になります。
請負会社が発注企業から依頼を受けた業務を、請負会社管理のもと指揮命令を出し遂行させます。
契約時に定めた内容を納期までに完成することで報酬が得られる契約です。

実際には、技能実習生、特定技能外国人を短期で雇用したい場合や、人材派遣が禁止されている業種において、請負契約が使われることが実情です。

注意点としては、業務を依頼した発注企業から請負労働者に直接指示を出すことは禁止されています。
そのため、事前に成果物に対するイメージを明確に伝えておかなければ依頼と異なるものが完成してしまう可能性があります。

2請負契約

4.人材派遣会社の定義とシステムについて

人材派遣会社とは、厚生労働大臣から許可を受けた民間の「労働者派遣事業」のことです。
人材派遣を行う「人材派遣会社」と、企業へ派遣され実際に働く「派遣スタッフ」が雇用契約を結びます。
人材派遣会社は業務を委託された企業に対し、派遣スタッフとして労働者を派遣し、派遣先企業の指揮命令のもと業務を遂行するサービスを提供します。

派遣先企業(スタッフを派遣してもらっている企業)は、派遣スタッフに給与を支払わず、人材派遣会社に料金を支払う形になります。
その料金から人材派遣会社が派遣スタッフに給与を支払います。

3人材派遣会社

5.人材派遣会社サービスの種類

5-1 一般派遣(登録型)

人材派遣の多くはこの一般派遣に当てはまります。
人材派遣会社に登録した派遣スタッフが、派遣先企業で働くことが決まった時点で、人材派遣会社との雇用関係が成立するシンプルなサービスです。

5-2 特定派遣(常用型)

人材派遣会社に直接雇用された正社員が、派遣先企業へ出向して働くというサービスです。
一般派遣と異なるのは、派遣スタッフが働いていないときでも給与が発生する点です。
人材派遣会社に正社員として雇用されているため、派遣先企業が決まっていない期間も雇用元の人材派遣会社が給与を支払います。

5-3 紹介予定派遣

一定期間、派遣先企業が派遣スタッフとして人材雇用をします。
派遣期間終了後に、派遣先企業と派遣スタッフが双方合意をすれば、直接雇用ができるというサービスです。

6.外国人材サービスの種類

6-1 人材紹介会社の外国人材紹介

外国人を雇用するのと、日本人を雇用するのとでは少しサービスの内容が変わってきます。
外国人の大きな特徴というと「在留カード」があることと「サポートが重視されること」です。
在留カードは少し複雑で、申請するのに時間がかかり、場合によっては申請許可がおりないこともあります。
人材紹介会社で手続きを全て請け負う場合と、そうでない場合があるのでよく確認する必要があります。
在留カードは、外国人にとって非常に重要なものなので、在留期限が更新されていないなどが起こると企業への社会的責任は大きいです。

また、外国人は日本で仕事をするだけで精一杯なので、企業のフォローやサポートが非常に大切になります。

家族のように面倒をみる

日本人の場合、仕事は仕事、プライベートはプライベートと個人に干渉しないことが多いですし、その方が良いという風潮さえありますよね。
ですが、外国人にはぜひ親身になっていただきたいです。
祖国から1人で日本に来た外国人は、居場所や人間関係が会社にしかない人も多いです。
日本のことを教えてあげたり、食事に誘ってあげたり、私たちから心を開くと相手も信頼してくれ、仕事もスムーズに進みやすいです。

定期的に面談をする

外国人は仕事上の悩み、生活の悩みなど困っていることが多いです。
上司に対してそのようなことを言っていいのかな?と感じて、1人で問題を抱えてしまう外国人もいるので、相談されるのを待つのではなく、積極的にコミュニケーションを取り、ぜひ企業の方から問いかけてヒアリングしてあげてください。

多様性を認める

海外の常識が日本では非常識であるように、外国人から見る日本もまた不思議な常識が多くあります。
日本にいるのだから、全て日本のルールに従えと押し付けるのは絶対にダメです。
彼らには彼らの価値観や習慣があります。それを急に抑え込まれると大きなストレスになってしまいます。
守ってほしいルールがある時は、なぜ守る必要があるのかを説明し納得してもらうことが大切です。
転職を防ぐためにも、日本人も外国人も分かり合う姿勢を持つことが重要です。

6-2 人材派遣会社の外国人材派遣

先程も記述したように外国人雇用は在留資格をセットで考える必要があります。
そのため、短期的な労働になる可能性のある派遣では、在留資格はどうなるの?という疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。
結論から申し上げると、「技能実習」は派遣雇用できません。
また「特定技能」は「農業」「漁業」以外は派遣という形で雇用できません。

なぜ、「農業」「漁業」の2業種だけが派遣形態の雇用が許可されているかは以下の通りです。
農業と漁業は、繁忙期の労働力の確保や融通といった現場のニーズに対応するため、派遣形態での雇用が認められています。

  • 農業と漁業は繁閑が大きく、繁忙期は特に労働力が必要になるため
  • 生産物や地区によって繁忙期が異なるため

しかし、全ての農業・漁業企業が対象になるわけではありません。
下記の4つの条件全てに該当しなければなりません。

  1. 1.労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。
  2. 2.過去1年以内に、特定技能外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないこと。
  3. 3.過去1年以内に、当該機関の責めに帰すべき事由により行方不明の外国人を発生させていないこと。
  4. 4.刑罰法令違反による罰則を受けていないことなどの欠格事由に該当しないこと。

6-3 請負契約

前述のように、人材派遣が禁止されている技能実習生、「農業」「漁業」以外の特定技能外国人を短期で雇用したい場合において、外国人材サービス会社が業務請負を行っているケースがあります。
特に規模が大きい飲食料品製造業やその他の製造業において、大規模な業務請負が行われています。

7.人材紹介と人材派遣と請負契約との違い

上記の説明から人材紹介と人材派遣には、それぞれの特徴があり全く違う制度だということが分かったと思います。
ここでは、メリット・デメリットを踏まえて2つの違いについて紹介します。

人材紹介会社 人材派遣会社 請負契約
サービス 求人要件に該当する人材紹介と採用支援 依頼業務に適したスタッフの派遣 成功報酬型
雇用契約 企業と就職希望者 人材派遣会社と派遣スタッフ 請負会社と請負労働者
料金 年収20%~40%が紹介料の相場 時間単価×派遣スタッフの実働時間 成果による
メリット
  • 入社するまで費用が発生しない
  • 基本的に仕事を開始した日から費用が発生するため、内定後に辞退されても費用の問題はありません。
    また、外国人が早期退職の場合、返金規定のある人材紹介会社が多いため安心です。

  • 採用の時間を短縮できる
  • 外国人を採用するには在留資格の申請など複雑な手続きがあります。
    人材紹介会社が手続きを代行、請け負うことが多いため、それらにかかる時間を短縮できます。

  • 一定期間だけ労働力を確保できる
  • 派遣形態の雇用のため、労働力の必要な時期にだけ働いてもらうことができます。

  • コスト削減
  • 各種保険の対応などは人材派遣会社が行うため不要です。
    また、人材育成費などは、即戦力となるスキルを持った経験者を雇うことが可能なのでコストも指導する時間も削減することができます。

  • 長期的な雇用の確保
  • 請負契約の場合、業務内容が明確で成果が完了するまで基本的に依頼された業務を行うため、思っていた仕事と違うというミスマッチは起こりづらいです。

  • 管理する人員を削減
  • 指揮命令を出すのは請負会社になるため、企業は指導する社員を割く必要がありません。

  • 多くの職種で雇用ができる
  • 派遣禁止の技能実習生、農業・漁業以外の特定技能外国人の短期雇用に利用できます。また派遣禁止対象業種についても利用できます。

デメリット
  • 人材の質が異なる
  • 人材紹介会社やその担当者によって、紹介される人材の質が異なります。
    スキルの保有や経験値、得意不得意の業種があるため、どのようなスクリーニング基準で人材を紹介しているのかなど事前に確認し要望を伝える必要があります。

  • 在留カードなどの手続き
  • 在留カードなどの手続きを人材紹介会社が行わない場合は注意が必要です。
    在留カードに問題があると会社の責任になり、最悪罰せられるケースもあります。

  • 早期退職者が増える
  • 派遣形態での雇用は帰属意識の低さに繋がります。
    そのため、外国人が企業と合わないと思えばすぐに辞めてしまう可能性があります。

  • 雇用できない場合がある
  • 技能実習生、農業・漁業以外の特定技能外国人は派遣できません。
    また派遣禁止対象業種があります。

  • 業務は人材に大きく左右される
  • 請負契約は、発注企業から直接労働者に指示を出すことができません。
    そのため、業務に精通した人を管理者として配置する必要があります。
    業務内容を理解し正確な人材でないと、依頼と異なる成果物が完成してしまうことがあります。

以上、外国人の人材紹介と人材派遣、請負契約についてご説明いたしました。 それぞれにメリット・デメリットがありますので、企業の業種や状況によって適したサービスを選択してください。

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