特定技能外国人支援「事前ガイダンス」は何をする?
事前ガイダンスとは、特定技能1号の在留資格申請の前に、雇用契約等留意すべき事項に関して、特定技能外国人に説明を行うことです。 事前ガイダンスは3時間以上実施することが義務付けられています。 この記事では、事前ガイダンスについて実施内容や手続き、改善点・注意点・義務付けられていることなどを解説します。
今回は2019年から始まった外国人在留資格の「特定技能」における「事前ガイダンス」について説明いたします。
こちらの「事前ガイダンス」は特定技能外国人を受け入れるのに実施必須項目となっておりますので、これから特定技能外国人の受け入れを考えられている方はこれを機に、必要な手続きなどを熟知しておきましょう。
目次
- 特定技能の「事前ガイダンス」について
- 「事前ガイダンス」での実施内容
- 「義務的支援」について
- 業務内容、報酬の額、それ以外の労働条件に関連する事項
- 日本において行える活動内容について
- 特定技能外国人の入国に必要となる手続きに関しての説明
- 保証金徴収、違約金を支払うような契約は不可
- 母国送り出し機関に支払いを行っていた場合の金額確認
- 支援費用に関して、特定技能外国人に負担させることは不可
- 入国時に空港から就労場所・居住地までの送迎を受けられる
- 居住する住居に関して、支援を受けられる
- 日常生活、就業環境等に関して相談できる体制を整える
- 特定技能外国人担当者の連絡先
- 「任意的支援」について
- 事前ガイダンス実施の際の注意すべき点
- さいごに
特定技能の「事前ガイダンス」について
事前ガイダンスとは、特定技能1号の在留資格申請の前に、雇用契約等留意すべき事項に関して、特定技能外国人に説明を行うことです。
事前ガイダンスは3時間以上実施することが義務付けられています。特定技能の在留資格認定証明書交付申請の際には、ちゃんと実施されたかの確認があります。
実施方法ですが、対面はもちろんのこと、テレビ電話等の方法も認められています。そのため、日本にいない外国人に対して事前ガイダンスを行う際にはZoom等のオンラインでの実施も可能となっています。
事前ガイダンス実施後は「事前ガイダンス確認書」の資料に特定技能外国人のサインと説明者のサインを記入し、出入国在留管理庁に提出する必要があります。
参考:在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)|出入国在留管理庁
「事前ガイダンス」での実施内容について
事前ガイダンスでの説明事項は「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」に定められています。
項目としては「義務的支援」と「任意的支援」の2種類があり、これから順に解説をしていきます。
「義務的支援」について
説明すべき事項は以下の通りとなります。
業務内容、報酬の額、それ以外の労働条件に関連する事項
実際に仕事をしてもらう就業場所にて、従事する作業内容についてや賃金はいくらほど払われるか、ボーナスや昇給があるかどうか、定められている休日・休暇などについて、雇用条件書の内容を雇用する特定技能外国人に対して、説明をしていきます。
日本において行える活動内容について
特定技能外国人は、保持している在留資格で許されている仕事以外はできないとされています。
許可されている仕事以外を実施した場合は、法律により罰せられる可能性がありますので、事前にそのことについて説明を行う必要があります。
特定技能外国人の入国に必要となる手続きに関しての説明
入国前に、いくつかすべき手続きがあります。自国での大使館での手続きやレジデンストラックなどの守らなければいけない規則について、雇用者側は説明をする義務があります。
具体的には以下の手続きがあります。
- 在留資格認定証明書の交付申請
- 証明書受領後に管轄である日本大使館にて査証の申請
- 証明書が交付された日から3ヶ月以内には日本へ入国を行う(新型コロナウイルスによる入国制限対策で現在有効期限の緩和措置が行われています)
などです。
ちなみに、既に在留している特定技能外国人に関しては、在留資格変更許可申請をおこないます。その後、在留カードを受領してもらう旨を説明します。
保証金徴収、違約金を支払うような契約は不可
特定技能外国人に関しては、保証金であったり違約金など、徴収される費目に関わらず、金銭であったりそれ以外の財産の受け渡しは禁止となっています。
ゆえに、保証金や違約金等に関わるような契約を現在時点でしていないということ。さらに、将来にわたってもしてはいけないことを説明し、確認する必要が出てきます。
ちなみに、上記事項に関しては本人だけでなく、その配偶者や同居している家族等も対象になってくるので注意が必要です。
母国送り出し機関に支払いを行っていた場合の金額確認
日本で就労するために、特定技能外国人が自国送り出し機関に対して、金銭を支払っているケースがあります。
支払っていた場合には、支払い費用の有無、支払いをした機関の名前、支払い金額とその詳細、支払った日付を確認する必要が出てきます。
支援費用に関して、特定技能外国人に負担させることは不可
特定技能外国人を雇用する際、雇用後に生じる職務上または生活上の支援に関して、雇用した企業が実施する必要があります。
この支援業務の中で、義務的支援に関わる費用を特定技能外国人が負担させることはできません。
雇用した企業が支払いをすることが義務付けられており、雇用側が説明をします。
入国時に空港から就労場所・居住地までの送迎を受けられる
雇用者側は到着空港から事業所もしくは入居する住居までの送迎サポートを行う必要があり、その説明も雇用側が行います。
居住する住居に関して、支援を受けられる
特定技能外国人の場合、住居を雇用側が提供する場合がありますが、
その場合は社宅を提供または、新たに事業者が社宅を契約する場合は、事前に事業所までの距離や家賃等の条件面も聞き取りをした上でアパート等を契約するなどします。
特定技能外国人自身が住居を手配する場合は、住宅確保に関する支援を受けることができることを伝えます。
日常生活、就業環境等に関して相談できる体制を整える
雇用者側は、特定技能外国人が日常生活や就業環境に対して相談や苦情を伝えるための窓口の設置義務があります。
その際に、相談方法(対面か電話か)や受付時間はいつまでなのか、特定技能外国人に説明を行います。
例えば、月曜日から金曜日の9時から17時まで電話またはメールでの相談を受け入れつけることができると言ったように伝えると丁寧で分かりやすいです。
特定技能外国人担当者の連絡先の通知
特定技能外国人の支援を担当する方の氏名やメールアドレスについて事前に伝えておく必要があります。
申請する際の必要情報になるので、注意しておきましょう。
「任意的支援」について
義務的支援とは違って任意となりますが、以下に記載する事項に関しても支援をしていくのが望ましいとされています。
- 日本の気候や季節ごとの服装について
- 本国から持ち込むべきもの、持ち込み可能なもの、不可なもの
- 日本での必要になる金額(給料日までの生活費)
- 雇用者側からの支給物に関して(作業着など)
雇用者側は雇用する特定技能外国人に対して、渡航費・生活費用の貸付を行うことは特に問題ないですが、労働法に違反しないよう返済方法に関しては注意が必要です。
実施時の注意点
特定技能外国人にこの事前ガイダンスを行う場合には、当事者がよく理解できる言語にて説明を行うことが求められています。
よって、日本語で行うことも問題ありませんが、通常特定技能外国人の母国語で説明を行います。
よって、通訳を用意するか、特定技能外国人の日常的に使う言語に精通している担当者が実施する形になるので、注意が必要です。
事前ガイダンスについて説明してきました。
実際には細かく説明内容を決められているわけではないのですが、実施した内容については在留資格認定証明書交付申請の際に確認もありますので、必須項目は抑えて実施する必要があります。
参考までに確認書について、以下にも記載いたします。
申請する際には、事前ガイダンスをいつ誰が行う予定なのかを報告する義務があります。事前ガイダンスが終わった段階では、特定技能外国人に「確認書」に署名をもらう必要があるので、忘れずに署名をしてもらいましょう。
事前ガイダンスを自社で行えない場合は、外部の専門家に業務委託も可能です。業務委託する専門機関が登録支援機関になります。
さいごに
今回は特定技能1号外国人受け入れに必要な事前ガイダンスについて解説いたしました。
特に就労条件等の確認においては、雇用者側と従業者側での認識の違い等があると、後々大きなトラブルにもなりかねません。
雇用者側と就業側が良好な関係を築いていくためにも、事前ガイダンスの内容をしっかりおさえ、実施をしていきましょう。
【初心者向け】特定技能とは?外国人雇用を詳しく解説
深刻な人手不足への対応として2019年4月から導入された在留資格「特定技能」。技能実習との違いや1号、2号の違い、受け入れができる職種や、実際に受け入れをする際の流れなど、複雑で理解の難しい特定技能制度についてまとめました。
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