コロナの影響で在留資格「特定活動」が急増。特定技能との違いを解説
近年特定活動の在留資格を持つ外国人が増えています。特定活動の概要から種類、現状、在留資格急増の背景、特定技能の違い、新型コロナウイルスによる在留資格の特例措置について解説します。
目次
日本では様々な業界で人手不足が深刻化しています。 そういった状況を解決するために外国人雇用を検討する企業が増加しています。 しかし昨今の日本では、コロナ禍の影響で思うような外国人雇用が難しい状況です。 そんな中、在留資格の一つである「特定活動」を利用して日本に滞在する外国人が増加しています。 本記事ではなぜコロナ禍で特定活動が増加しているのか、在留資格「特定技能」との違いについて解説していきます。
1. 在留資格「特定活動」とは
1-1 特定活動の概要
外国人は日本へ入国前に活動内容を申請し、その内容に基づいて在留資格を与えられます。 在留資格の中でも特定活動 特定技能 違い「特定活動」とは多様化する外国人の日本での活動に対応するために設定された制度です。 多様化する活動内容をその都度、在留資格として増設するには出入国管理及び難民認定法の改正が必要になります。 法改正を行うには時間も手間も多くかかってしまいます。しかし特定活動で外国人の日本在留を認める場合は 法務大臣に決定権があるため法改正の必要がありません。したがって新しい在留資格を増設するよりも特定活動として扱った方が スピーディーに対応できるのです。
該当する活動例としては、ワーキングホリデーやアマチュアスポーツ選手、インターシップなど様々な活動が含まれます。 さらに2019年5月、新たに特定活動46号が創設されました。これにより、以前までは就労の認められてこなかった製造業やサービス業などへの就職が可能になりました。 年々特定活動の幅が広がり注目が集まっています。
1-2 特定活動の種類
ここからは特定活動の種類について詳しく解説していきます。 特定活動は現在50種類近く存在しています。さらに特定活動は大きく3種類に分けられます。
一つ目は「出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動」です。ここに分類される特定活動は3種類存在します。 「特定研究等活動」 「特定情報処理活動」 「特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動」 の3種類になります。 特定研究等活動とは該当分野に関する研究や研究の指導を行う活動のことを指します。この活動に関連する事業を自ら経営する場合も該当します。 特定情報処理活動は自然科学や人文学科の分野で技術または知識を要する情報処理にかかわる業務にかかわる活動を指します。 そして特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動は上記二つの活動で滞在する外国人の浮揚を受ける配偶者もしくは子供の日本での活動を指します。 以上の3種類が出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動に該当します。
二つ目は告示特定活動です。これは出入国管理及び難民認定法に規定されているもの以外で法務大臣が指定した活動のことを言います。 現在は43種類の活動が告示特定活動として認められています。ワーキングホリデーやインターンシップなどの代表的な特定活動はこの告示特定活動にあたります。 2019年5月新たに創設された特定活動46号は日本の大学を卒業した外国人が就職する際の業種を増やすためのものです。 単純業務のみの従事は認められていなかったり、特定活動46号の取得のためにいくつか要件があったりしますが、日本のグローバル化が進んでいくはずです。
三つ目は告示外特定活動です。告示で指定されていない活動で法務大臣が在留を認める活動のことを指します。 具体的な例としては在留資格の更新ができなかった場合の出国までの準備や、就職が決まらず卒業した留学生の就職活動や、 高齢の両親の呼び寄せなどが当てはまります。
2.在留資格「特定技能」とは
2-1 特定技能の概要
日本では多くの業界で人手不足が進んでいます。そんな状況を打開するために2019年4月に設立された在留資格の一つが特定技能になります。 技能実習制度のように技術の習得を目的としているのではなく、日本の企業の人手不足を補う目的で開始された制度です。 基本的に特定技能人材として受け入れる場合は特別な教育や実習などを受けることなく、雇用開始時から一定の業務が従事できる必要があります。 該当業種は建設業や造船業などの14業種が存在します。特定技能の資格取得は希望する分野に必要な技能の保有と日常生活や業務に差し支えないレベルの日本語能力が必要です。 上記二種類を確認するための試験をクリアすることで該当分野の特定技能の資格が取得可能になります。 他に技能実習2号を問題なく修了した者は同じ分野での特定技能資格が取得できます。
2-2 特定技能の種類
特定技能には特定技能1号と特定技能2号の2種類存在します。 特定技能1号は特定技能の概要でも記載した日本語能力と分野ごとの技能基準を満たすか、技能実習2号を修了することで資格を取得が可能です。 在留期間は上限が設けられており通算5年までとなっています。通算でカウントされることから半年従事し、半年帰国することで10年間に渡っての受け入れが可能になります。
特定技能2号は特定技能1号の資格を取得した後に取得できます。1号の取得後に責任者としての業務経験、分野ごとの技能試験をクリアすることで特定技能2号の資格を取得できます。 在留期間は1号と違い更新回数に制限がなく、条件を満たせば日本での永住権を獲得することもできます。 現在特定技能2号の対象業種は建設、造船・船舶工業のみになります。1号は14分野に対し、2号は2分野と少なくなっています。比較的新しい制度ということもあり、今後対象が増えていくのではないでしょうか。
3.特定活動と特定技能の違いは
特定活動と特定技能は二つとも在留資格の一つで、名称も似ており勘違いしてしまう場合も多いのではないでしょうか。 しかしこの二つは制度の成り立ちから違います。まず特定活動は多様化する外国人の日本での活動に対応するために設立されたもので、 特定技能は日本の多くの業界での人手不足を補うために設立されたものになります。特定技能や特定活動46号共に2019年に創設されており、 まだまだ新しい制度です。コロナ禍によって特例が認められたのなどこれからも変化していく可能性があります。外国人雇用を検討する際にその都度、 確認するようにしましょう。
4. 特定活動急増の背景とは
法務省が2020年4月に新型コロナウイルスによる企業の業績悪化に伴い技能実習生の「特定活動」への在留資格の変更を特例として認めました。 これは特定技能の資格取得を前提に考えられたものです。この特例により、多くの技能実習生が特定活動の在留資格を取得し日本に在留しています。 これはコロナ禍の影響で解雇されたしまった技能実習生を支援する目的で設立されました。しかし申請の前に新たな受け入れ企業を見つける必要があり、 別業種への転職が可能になったとしても職場を失う可能性があります。日本の企業の人材不足を解決していくためにも外国人人材への支援が必要です。
5.この記事のまとめ
本記事では特定活動と特定技能について解説してきました。コロナ禍の影響により特定活動が急増しています。 日本企業の人手不足解消のためにも外国人人材の雇用のニーズは日々高まっています。 特定技能や特定活動46号のように新しい在留資格も日々増設されており、外国人雇用が次第に多くの業界で認識されてきました。 コロナ禍の影響で業績が落ち込んでいる業界もありますが逆に業績を伸ばしている業界も存在します。 人材を必要としている業界は常に存在するはずです。多くの業界で外国人雇用が認識されてはいるものの導入していない業界が多いのではないでしょうか。 さらに多くの業界で特定活動や特定技能を導入していくことで、必要な業界に必要なだけ人材が派遣できるようになるはずです。 人手不足で悩んでいる企業の方は一度検討してみてはいかがでしょうか。
在留資格「特定活動46号」|N1が必要?現実的に採用可能?
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