特定技能外国人支援|日本語学習の機会の提供

特定技能外国人の雇用を前向きに検討されている皆さまにとって、支援計画の策定が難しいと感じることが多いのではないでしょうか。この記事では特定技能制度の支援計画における日本語学習について、やらなければならないこと、任意でやるべきこと、日本語学習の機会提供についてご説明します。

特定技能外国人支援|日本語学習の機会の提供

特定技能外国人の雇用を前向きに検討されている皆さまにとって、支援計画の策定が鬼門であると感じることが多いのではないでしょうか。
出入国の際の送迎から始まり、公的手続きの同行はもちろんのこと、日本のマナーなどに関するオリエンテーション。そして特に、日本語学習の機会の提供が必要になります。
日本語学習といえども方法は千差万別、何をすればいいかイメージがつかない方もいらっしゃると思います。
本記事では、特定技能制度の支援計画における日本語学習について、やらなければならないこと、任意でやるべきことに分けてご説明します。
また、具体的にどのような学習機会の提供方法があるかについてもご紹介します。
最後までご覧いただいた際には、外国人に対してどのように日本語を学んでもらえばいいか分かる内容になっています。ぜひご一読ください。

目次

  1. 特定技能外国人に提供する日本語学習とは?
  2. 日本語学習の機会の提供における義務的支援と任意的支援とは?
    1. 義務的支援
    2. 任意的支援
  3. 事業者が具体的にできることは?
    1. 日本語教育コンテンツ共有システム
    2. 地域の日本語教室
  4. まとめ

特定技能外国人に提供する日本語学習とは?

前提として、日本語学習の機会の提供についてご説明します。
法務省編「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」によれば、外国人支援計画に必要な項目のうちのひとつに「日本語学習の機会の提供」があります。
これは「本邦での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること」と定められています。外国人に対して職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援が必要です。つまり日本語についても、業務だけでなく普段生活するうえで支障がないよう学習機会を提供することが求められています。
外国人の方々に長期間働いていただくために、日本語学習のサポートは重要です。
次項からは、具体的に事業者の皆さんが対応しなくてはならないことについて詳しく説明します。

義務的支援と任意的支援とは?

特定技能外国人に対する支援計画は、各項目にて義務的支援と任意的支援に分けられています。
義務的支援は、必ず行われなければならず、支援計画にも全て記載しなければなりません。
また、任意的支援は必須ではありませんが、支援計画に記載した場合には実施する義務が生じます。
それぞれ実際に何をしなければいけないのかをご紹介します。

義務的支援

日本語学習の機会の提供における義務的支援とは、次のいずれかの方法によって学習機会を提供することです。

(1) 地域の日本語教室や日本語教育機関
(2) 日本語学習教材やオンライン日本語講座
(3) 受入れ事業者が契約した日本語教師による講習

(1)から(3)のいずれにも共通するポイントは、「外国人の希望に基づいて情報を提供し、必要に応じた契約手続きの補助をすること」が義務となっている点です。
支援計画実施の際には、まずそれぞれの学習方法に関する情報を提供しましょう。
教室のパンフレットや教材の情報を外国人の方に提供し、本人の希望を聞きます。
業務時間や居住地域と照らし合わせて最適な学習方法を選んでもらったうえで、実施に必要な手続きの補助を行います。

例えば、地域の日本語教室に通いたいと希望された場合は、必要に応じて教室申し込みの手続きに同行し補助することが必要です。

また注意いただきたい点として、義務的支援における費用は外国人を迎える事業者が負担する必要があります。これは情報提供から手続きの補助における費用のことを指し、実際の講座費用を全て負担することは義務ではありません。

任意的支援

任意的支援は、義務的支援に加えて実施することが望ましいものです。具体的には次の3つになります。

(1) 事業者職員による日本語講習を企画・運営
(2) 日本語能力に関わる試験の受験支援や資格取得への優遇措置
(3) 日本語教室や教育機関の経費、学習教材費など義務的支援を継続実施するための費用を全部または一部負担

日本語を習得するためには継続的な学習が必要です。外国人の方が積極的に学習を続けられるよう、上記の支援を実施することを積極的にご検討ください。

(1)については、事業者の皆さまが実際に講師となり講習を行うことを指します。事業者内で実施するため、事業者および外国人にとって柔軟なスケジュールで対応することができます。

(2)については事業者側の福利厚生制度の一環といえます。試験の受験費用を負担する、または資格取得に応じたお祝い金や昇給制度を整えるといったことが挙げられます。

(3)については、義務的支援として挙げた各種学習方法における費用を負担することです。外国人支援に関する運用要領では、外国人に過度な学習費用が生じないことを求めています。過去、外国人技能実習生の失踪が問題となりましたが、主な原因は外国人の経済状況にありました。学習費用を全部または一部負担していただくことで、外国人も安心して働くことができます。

事業者が具体的にできることは?

ここまで、要領に定められた支援方法について紹介してきました。
しかし選択肢も多く、事業者側としても具体的にどう実施すればいいか見当がつきづらいかと思われます。

事業者の皆さまが外国人に提供できる方法として、一例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

日本語教育コンテンツ共有システム

文化庁国語課が運営する「NEWS」では、日本語教育に関する教材やカリキュラムを横断的に検索することが可能です。実際に日本語学習のカリキュラムや、全国の自治体が作成した教材が閲覧できるようになっています。 義務的支援の(2)で挙げた日本語学習教材について、このサイト上から検索して外国人に提供することができます。
また、任意的支援の(1)で挙げた事業者による講習の企画においても、掲載されているカリキュラムを利用し進めることが可能です。

同じく文化庁国語課が提供する日本語学習サイト「つながるひろがるにほんごでのくらし」も無料で利用可能です。動画が中心となっており、実際に日本語を使用する場面に応じて学習することができます。
上手く活用することで効率的に日本語を学ぶことができます。

地域の日本語教室

日本語教室で学習する場合の費用はどの程度になるでしょうか。

一例として東京都の中央区文化・国際交流振興会が主催する日本語教室についてご紹介します。
こちらの振興会ではレベルや開催曜日に応じた講座が複数用意されています。
費用は2000円程度のテキスト代のみで、受講料は無料となっています。
その他にもボランティアが主催する銀座日本語講座では、受講料は月額500円となっています。

地域や時期にもよりますが、多くの団体が外国人向けの教室を開催しており、安価で利用が可能です。
任意的支援の(3)で挙げた学習費用の負担について心配されていた方も安心できるかと思われます。
ご自身の地域の日本語教室について、一度調べてみることをぜひお勧めします。

★まとめ

ここまで、外国人に対する日本語学習の機会の提供について、内容と提供方法の一例をご紹介しました。
本記事におけるポイントは次の通りです。

・支援方法は複数選択肢があり、外国人の希望を聞いたうえで実施する。
・情報提供から手続き補助までの費用は、必ず事業者が負担する。
・外国人に過度な費用が生じないよう、学習費用については事業者が全部または一部を負担することが望ましい。

日本語学習の機会の提供と聞くと、難しく感じてしまうと思われます。しかし国内には多くの支援体制が整備されています。

何より、外国人の日本語能力が向上すれば業務でも円滑なコミュニケーションが可能になり、人材としてさらなる成長が見込めます。
事業者の皆さまと外国人の双方にとってメリットとなるよう、積極的な支援をぜひお願いします。

出典
法務省 1号特定技能外国人支援に関する運用要領
文化庁国語課 NEWS日本語教育コンテンツ共有システム
文化庁国語課 つながるひろがるにほんごでのくらし
中央区文化・国際交流振興会

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