ダイバーシティ的発想の職場環境へ

ダイバーシティ的発想の職場環境へ

職場環境を整えていく際に参考になるのが、最近よく聞くダイバーシティ的発想です。
ダイバーシティは多様性の意味を持っていて、あらゆる考え方を受け入れていくことです。
日本の雇用形態ひとつをとっても女性・高齢者・障害者などにはすでにドアが開いていて、働く意欲のある人すべてを認める時代に変わっています。
外国人労働者を受け入れている企業も言うなればダイバーシティの一環で仕事をしているわけで、ダイバーシティがもつ考え方に即して職場環境を整えていけば、トラブルと関係のない中で業務に集中できるはずです。
ただし、異なる国の人々の文化、経験、能力などの多様性を認識し、それを価値あるものとして受け入れる考え方は、まだまだ工夫・努力を必要としています。
例えば、日本には「察する文化」があり、外国人には理解しづらい暗黙のルールが存在します。同じところにいるから、言葉に出さずとも理解し合えるだろうと日本人は期待しがちですが、異なる文化や価値観を持つ外国人労働者にとっては、理解しづらいことのひとつです。文化の違いから、考え方やルールが異なることを当たり前と理解したところで、彼らにとっては、そうとは限らないことが多々あります。そのため、彼らとのコミュニケーションは、頭ごなしに注意をするのではなく、彼らがどう思って行動したのかを尋ねる配慮が重要です。そのための方法として、彼らの自尊心を傷つけず、必要に応じて丁寧に説明していくことが大切になっていきます。

多くの価値観のすれ違いは、彼らが日本の職場環境に慣れていないために起こります。価値観の調整や説明を通じて、お互いがきちんと認め合えれば、そういうこともなくなります。
仮に、雇用契約の際に就労に関するルールを伝えたとします。日本人から見れば身勝手に見える行動が見られた場合には、その問題がなぜ問題なのかを、わかりやすい言葉であらためて説明することが必要です。問題が起きる前に、就労前研修やOJTなどの機会を活用して、定められた退勤時間まで帰らない、無断で休まない、就業時間中に席を外すときはまわりに連絡するなど、基本的な働き方について丁寧に教えることです。受け入れ企業は「言わなくてもわかるだろう」と思っているかもしれませんが、日本のビジネス文化を理解してもらうための教育の一環として接することが大切です。そうすることで、お互いにストレスなく認め合えるはずです。
特に、ミャンマーからの外国人労働者は、他人から厳しく叱責される文化に慣れていないため、日本のような厳しい叱責には馴染みがありません。
理解し合うことを怠ると、外国人労働者は日本人と同じように扱われることに大きなストレスを感じてしまいます。その結果、モチベーションが低下し、職務放棄や早期退職、あるいは失踪といった問題が生じる可能性が高まります。
モチベーション低下を引き起さないようにするためには、受け入れ企業が外国人労働者を迎える際に工夫や努力が求められます。異文化を理解するための教育やコミュニケーションイベントなど、お互いを理解し合うための積極的な努力をどこまで実行しているのかが受け入れ企業に問われています。

外国人労働者は、日本経済の未来を支える必要不可欠な存在です。多様性の考え方が浸透する中でお互いを認め合えれば、外国人労働者とのいい関係を築くことができ、それは企業の活性化につながります。
そのためにも外国人労働者を雇う際は、単なる同僚としてではなく、家族のようなつながりを大切にして信頼関係を築いていきたいものです。
もし問題が起こっているとするなら、ダイバーシティ的考えの環境づくりでぶつかる「理解はしていても……」という日本的発想が壁となってそびえているのかもしれません。そんなことを言っていたら経済の停滞を招くだけです。
今まさに日本は、外国人労働者と共存していくために、乗り越えなければいけない課題を突き付けられているように感じます。

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