外国人労働者の日本語教育方法は?
ミャンマー人材などの外国人労働者を採用するなら、日本語教育の重要性を理解しておくことが大切です。ただ、日本語教育とは言っても、どのような方法で実施すれば良いのかわからない採用担当者もいるのではないでしょうか。そこで、この記事では外国人労働者への日本語教育の重要性、必要な日本語レベル、日本語教育の課題・現状、日本語教育のコツ・ポイントについて詳しく解説します。
目次
外国人労働者への日本語教育の重要性
日本で働く外国人労働者数は2023年時点で約200万人を突破しており、最近では全国各地でミャンマー人材を含む外国人労働者が一生懸命に働いています。ただ、日本語を完璧に話せるミャンマー人材はあまりおらず、思うように意思疎通できないのも事実です。
今後、ミャンマー人材が日本で活躍するためにはさらなる日本語教育が欠かせません。
日本語ができないと業務でトラブルが発生しやすい他、言葉の壁により作業の効率化ができなかったり、職場の人間関係に亀裂が入ったりすることがあります。逆に、日本語ができれば業績アップに繋がるからこそ、ミャンマー人材を雇用する会社・企業は日本語教育をより強化することが重要です。
意思疎通ができることで定着率もアップする他、よりコミュニケーションが活発になり、お互いの信頼関係構築に繋がるのではないでしょうか。
日本人も外国人も気持ち良く働くためにはお互いの信用を得る必要があるからこそ、言葉の壁を取り払えるよう日本語教育を行うのが良いでしょう。
最近ではミャンマー人材など比較的日本語を習得しやすいアジア人材が来日していますが、完璧な日本語を話せる人はあまりいないからこそ、丁寧な日本語教育が必須と言えるでしょう。
ミャンマー人材の日本語教育方法6選
ここでは、ミャンマー人材の日本語教育方法6選について見ていきましょう。
1.受け入れ先の組織が日本語研修を実施する
ミャンマー人材の日本語教育は、受け入れ先の組織が日本語研修を実施することで行えます。
実施方法に関しては「専用の教材を使用して自社独自に学習指導を行う方法」と「外部から日本語教師を招いて授業を行う方法(オンライン含む)」の2つが主流です。
いずれの方法も勤務時間内に学習時間を確保できるため、外国人労働者は着実に日本語能力を向上させられます。余暇時間に自習するよりも効率的に日本を学べるので、より迅速に日本語能力を取得してもらいたい場合に良いです。
組織としても本人の日本語能力のビフォーアフターを把握できるからこそ、より的確な日本語教育が行えるのではないでしょうか。
特に、ミャンマー人材は言語構造的に日本語を習得しやすいという背景があるため、受け入れ先の組織が日本語教育を実施することで飛躍的に日本語スキルの研鑽になるでしょう。
2.外国人労働者本人が日本語学校に通う
ミャンマー人材本人が日本語学校に通うことでも、日本語能力は向上させられます。
日本語学校は日本語教育機関のうち法務省から指定を受けている学校となるため、専門家による日本語教育を実施可能です。専門家による授業を受けられるので、よりスピーディーに日本語能力を向上させるのに便利な方法と言えるでしょう。
一定の受講料が必要ですが、確かな日本語教育を受けられるのが魅力ではないでしょうか。
日本語習得能力に優れているミャンマー人材本人が日本語学校に通えば、より日本語スキルは上達させられるでしょう。
3.外国人労働者本人が日本語教室に通う
ミャンマー人材本人が日本語教室に通うことでも、日本語能力は向上可能です。
日本語教室は地域のボランティアが中心となっている日本語学習のための教室で、地方の公共団体やNPO団体が運営しています。自分自身のペースで教育を受けられるため、レベルに合わせて無理なく日本語能力を向上させるのに役立つ方法と言えるでしょう。
中には受講料が不要のところもあるので、節約しつつ日本語教育を受けたい人にとって魅力的な選択肢ではないでしょうか。
日本語習得能力に優れているミャンマー人材は日本語教室に通うだけでも、日本語スキルを上達するでしょう。
4.積極的にコミュニケーションを行う
現場では、ミャンマー人材と積極的にコミュニケーションを行ってみてください。
教科書通りの単語や文法を学ぶことも大切ですが、生の日本語から学べることは多いです。少なくとも末永くミャンマーの人たちに職場で働いてもらいたいと考えているなら、臆さずコミュニケーションを積極的に行うことが推奨されます。
「大丈夫?わからないことはない?」と聞くのはもちろん、雑談として「休みの日は何をしているの?」「好きな食べ物・飲み物はある?」などの会話を行うことで、ミャンマー人材との交流を深めましょう。
外国人労働者として線引きするのではなく、日本人労働者と同じように対話することが、日本語力の研鑽に繋がるのではないでしょうか。
5.独学で日本語を勉強する
会社や企業が日本語教育を提供するのはもちろん、独学で日本語を勉強することでさらなる成長に繋がります。最近では時間や場所を問わず学べる環境が整っており、無理なく日本語能力を習得したい人にとってはむしろ独学がおすすめです。
言語構造的に日本語を習得しやすいミャンマー人であれば、独学でも十分にスキルアップに繋がるはずです。より自由に日本語を学びたいと考えているミャンマー人材に対しては、独学で勉強できる環境を整えることをおすすめします。
一方、会社や企業のフォローなしで日本語を学び続けるのはモチベーション維持の観点で苦労するため、適切なバックアップが求められます。独学は途中で嫌になったり、結果に繋がらなかったりすることがあるので、他の方法と組み合わせて行うことがおすすめです。
6. MJ Spaceで学習する
MJ Spaceは、ミャンマー政府認定の人材送り出し機関である弊社ミャンマーユニティが提供する、ミャンマー人向けのオンライン日本語学習サービスです。MJ
Spaceは無料で提供されており、スマホやタブレット、パソコンなどから利用できます。
N4・N5などの初心者向け日本語検定試験に対応した動画はもちろん、N2・N3などさらに成長を求める外国人労働者向けの動画も視聴可能で、授業動画の他にテストや模擬試験、練習も行えるなど日本語学習に必要なものが揃っていると言えるでしょう。
日本とミャンマーを繋ぐミャンマーユニティでは、日本で働きたいミャンマー人材の橋渡し役を担っているからこそ、MJ Spaceもうまく活用することでさらなる日本語能力のステップアップに繋がるのではないでしょうか。
ミャンマー人材に必要な日本語レベル
外国人労働者に求められる日本語レベルは会社・企業によって変わりますが、全部で5段階ある日本語能力試験(JLPT)でN4・N5レベルの日本語が必要です。
N5はひらがな・カタカナを含む初歩的な漢字の文章を理解できるレベルで、ゆっくりとした会話なら必要な情報を聞き取れるレベル、N4はひらがな・カタカナを含む日常的な漢字の文章を理解できるレベルで、ゆっくりとした会話なら概ね理解できるレベルとなります。
ミャンマー人材ならN4・N5レベルの日本語は教育方法次第で到達可能と言えるでしょう。
N1・N2・N3レベルの日本語ができればより幅広い職場に対応できますが、外国人労働者を受け入れている会社・企業ではN4・N5レベルがあれば十分としているところもあります。どれほどの日本語レベルが求められるかは職種によっても変わるからこそ、本人が目指す仕事とのバランスを考えて日本語教育を行うことが必要です。
ミャンマー人材が活躍できる飲食業界や介護福祉業界でも、一定の日本語レベルが求められるからこそ、必要に応じて日本語教育を実施するのが良いでしょう。
ミャンマー人材の日本語教育の課題・現状
外国人労働者の日本語教育の課題・現状には、以下のようなものがあります。
- 日本語教育に関する情報があまりない
- 日本語学校・教室の受講料が支払えない
- 日本語学校・教室が身近なところにない
- 必要なレベルに応じた教育が受けられない
以上の4つが、主な課題・現状です。
まず、ミャンマー人材の日本語教育においては、そもそも関連する情報があまりないことが課題・現状と言えるでしょう。日本で働きたいと思っても、日本語教育が受けられるところを見つけられないミャンマー人材は決して珍しくありません。
他にも、日本語学校・教室の受講料が支払えなかったり、身近なところになかったりする点で泣く泣く諦めている人もいます。他には、必要なレベルに応じた教育が受けられないなど、日本語教育に関する課題・現状はまだまだ解消しきれていないのが現実です。
ミャンマーユニティではそういった問題を解決すべく、日本とミャンマーを繋ぐお手伝いをしています。よりミャンマー人材が働きやすい社会を作ることが当社の信念です。
ミャンマー人材の日本語教育のコツ・ポイント
最後に、ミャンマー人材の日本語教育のコツ・ポイントについて見ていきましょう。
価値観の違いや異なる文化・歴史を理解する
ミャンマー人材への日本語教育では、価値観の違いや異なる文化・歴史を理解するところから始めましょう。どれほど語学を勉強しても、お互いの文化・歴史にリスペクトがなければ、円滑なコミュニケーションはできません。
会社・企業は研修などを通して日本語教育を実施するのはもちろん、双方の母国の価値観を理解し合う機会を設けるのが先決と言えるでしょう。
採用後も継続的に日本語教育を支援する
ミャンマー人材は日本で暮らしている間に日本語が上達する人も一定数いますが、必ずしも全員が上達できるわけではないため、採用後も継続的に日本語教育を支援する環境が求められます。
定期的に日本語研修を実施するのはもちろん、日本語学校・教室に通うための費用を負担するなど、外国人労働者が継続して学べる環境を整えることが大切です。
日本語教育ができる環境を整える
現場では経営する人と労働する人との間に、認識の齟齬が発生します。よくあるのが、「日本語教育を強化せねば」と指示する上層部に対して、無理な状況を押し付けられる下層部です。
いくらミャンマー人材の日本語教育を強化しようにも、そこに割けるリソースが限られていればうまく回りません。外国人労働者だけでなく、日本語教育を手配する社員も含め、より日本語教育ができる環境を整えることが重要と言えるでしょう。
必要に応じて助成金・補助金を活用する
必要に応じて、助成金・補助金を活用するのも良いです。自治体によっては外国人労働者への日本語教育に対して、助成金・補助金制度が設けられています。
代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 東京都:中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金
- 富山県:外国人材日本語習得サポート事業費補助金
- 福島県:外国人介護人材受入れ施設等環境整備事業補助金
- 山梨県:やまなし外国人活躍企業支援事業費補助金
以上の他にも、助成金・補助金制度を設けている自治体があるため、外国人労働者の受け入れを検討中の場合は、うまく活用することが重要です。
まとめ
「外国人労働者の力を借りたい」と考えている会社・企業はありますが、本人に対して万全な日本語教育を実施できるというところは決して多くないのが現実です。ただ、日本で働くためには一定の日本語レベルを求められることが少なくないため、日本語教育の方法を知っておくことが重要となります。
まずは当記事で解説した日本語教育方法を実施し、外国人労働者の日本語能力向上を図ってみてはいかがでしょうか。
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