外国人人材の雇用契約の注意点
外国人の採用を決めたとき、雇用契約を結ぶ際の注意点をお伝えします。外国人と雇用契約を結ぶ際は、契約書上で細かく明確に定めることが雇用後のトラブル回避のポイントです。契約の内容を伝えるために、口頭での説明や厚生労働省の労働条件通知書フォーマットを活用することをお勧めします。
目次
この記事では、外国人の採用を決めたとき、雇用契約を結ぶ際の注意すべき点、ポイントについて解説します。
1.雇用契約とは
雇用契約とは「企業が労働者の労働を従事し、雇用者がこれに対してその報酬を与える契約」のことです。
「雇用契約書」は企業と労働者の間で雇用契約の内容が合意されたことを証明するものです。こちらは作成の法律的に義務はありません。しかし、トラブル回避のために作成することをお勧めします。特に外国人を雇用する際は、日本人と違って「阿吽の呼吸」や「わかっているはずだ」とか、「常識的に考えて」などということは通用しないので、配属後に
問題が発生しないように、契約書上で明確に定めたほうが良いと思います。
また、「雇用契約書」には企業と外国人労働者の署名と押印が必要です。
「労働条件通知書」とは雇用契約の際に、企業が労働者に賃金や労働時間、休日などの労働条件を明示するものです。これは労働基準法で、書面で明示することが義務付けられています。
外国人と雇用契約を行う上で、「雇用契約書」と「労働条件通知書」を用意して、外国人本人が理解できるように説明し、契約を交わす必要があります。
2.雇用契約書、労働条件通知書の内容
書面で明示する必要がある項目
- 労働契約の期間
- 就業場所と従事するべき業務
- 始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日について
- 賃金(計算方法や、支払い方法、締切り、支払い時期、昇給について)
- 退職に関する事項
2-1労働契約の期間
期間の定めの有無と期間を定める場合は、期間を明記します。
外国人についても、労働契約の期間の上限は3年です。
契約更新に関しても、有無と契約更新する場合の基準を明示する必要があります。
2-2就業場所と従事するべき業務内容
外国人を雇用する場合、契約時に説明されていない業務はやらないというトラブルもあります。そのようなトラブルを回避するためにも、想定できる就業場所と業務内容を詳しく明示しておく必要があります。
業務内容については、ここに記載した内容と外国人が取得する在留資格によっては学歴や履修科目との関連性がある必要があります。添付する理由書や申請書類と矛盾がないように記載します。また、入管の審査官に通じるように具体的に表記することも大事です。
2-3就業・休憩時間、所定労働時間外の労働の有無、休日
生まれ育った環境も文化も違う外国人の中には自分の権利をしっかりと主張してくる方もいます。そのために、就業時間を明確にしておく必要があります。
始業時間、終業時間は何時なのか、休憩は何分あるのか、休日はいつなのかをはっきりと明示しましょう。
シフト制の場合でも、早番用、中番用、夜勤用などそれぞれの始業時間、就業時間、休憩時間を記載します。
休日は、定例日(毎週〇曜日、国民の休日)、非定例日(週〇日)、または年単位の変形労働時間制の場合は年間〇日と分かりやすく明示します。休暇についてもトラブルになることがあるので、有給休暇やその他の休暇に関する制度を、以下のように細かく決めて、明示しておくことをお勧めします。
- 年次有給休暇
6ヶ月継続勤務した場合〇日
継続勤務6ヶ月以内の年次休暇(有、無)→〇ヶ月経過で〇日
時間単位年休(有・無)
- 代替休暇(有・無)
- その他の休暇
有給( )
無給( )
〇詳細は、就業規則第( )条~第( )条、第( )条~第( )条
2-4賃金
給与に関しては、同じ業務をする日本人と同等以上にする必要があります。同じ業務をする日本人がいない場合は、同じ地域で同じ業務をしている日本人と賃金を同等程度にする必要があります。
また、正社員で雇用する際、時給換算した時に最低賃金を下回っていると就労ビザの申請が受理されませんので、注意が必要です。
また、最低賃金には割増料金、通勤手当、扶養手当、住宅手当、残業手当(変動制で確定的でないもの)は含まれません。
賃金に対しても外国人とのトラブルになる要素の1つなので、以下の項目を細かく記入し、合意をとることをお勧めします。
- 基本賃金(月給、日給、、時間給、出来高給、保証給)
- 諸手当の額と計算方法 ・所定時間外、休日または深夜労働に対してしたら支払われる割増賃金率
- 賃金締切日
- 賃金支払い日
- 賃金支払方法 ・老子協定に基づく賃金氏は胎児の控除(有無)
- 昇給(時期等)
- 賞与(有無、時期、金額等)
- 退職金(有無、時期、金額等)
2-5退職に関する事項
定年制の有無、継続雇用制度の有無、自己都合退職による手続き、解雇の事由及び手続について明記します。
特に、契約途中でも解雇できるのか、外国人から退職を申し出る場合には何日前に手続きを行う必要があるのかを明確にしておきましょう。
2-6契約時に就労の在留資格を持っていない場合
雇用契約時に、就労の在留資格を持たない外国人と雇用契約を結ぶ場合、停止条件付雇用契約を結ぶことができます。
これは就労の在留資格を取得できなかった場合、雇用契約の効果は発生しないと意味するものです。
特約事項に「本契約は日本政府により入国(在留)を許可されない場合は発行しないものとする」という趣旨の文言を入れます。
3.外国人に雇用契約の内容を理解して同意してもらう方法
雇用契約は外国人に契約の内容をしっかりと理解してもらい同意してもらうことがトラブル回避のポイントです。そのための方法を2つ紹介します。
3-1雇用契約書を口頭で説明しながら、理解度を確認する
翻訳サイトを利用して、外国人の母国語に翻訳した雇用契約書を用いて雇用契約を交わすのはお勧めしません。伝えたい内容がそのまま翻訳できず誤解を生む可能性があるからです。
外国人と一緒に分かりやすい日本語を使って雇用契約書の内容を1つ1つ口頭で説明していく方法をお勧めします。
3-2労働条件通知書のフォーマットを使用する
厚生労働省のサイトに掲載されている労働条件通知書のフォーマットを使用して、日本語と外国人の母国語で労働条件通知書が作成できます。会社に規定などに合わせて変更することができるので使ってみてください。
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