日本は未曽有の人材不足|理由と対策を徹底解説
日本は現在、未曾有の人材不足に陥っています。厚生労働省の調査によると、多くの企業が人手不足を感じています。 この記事では、日本の人材不足の理由と、その対策について徹底解説します。
日本は現在、未曾有の人材不足に陥っています。
厚生労働省の調査によると、多くの企業が人材不足を感じています。
具体的には、「既存事業の運営への支障」「技術・ノウハウの伝承の困難化」などの影響が懸念されています。
人材不足は職場環境の悪化を招き、企業に悪循環をもたらすでしょう。
今回は、日本の人材不足の理由と、その対策について徹底解説します。
目次
1. 人材不足の理由は「人口減少」
日本の人口は、2008年を境に、減少に転じました。 少子高齢化は急速に進んでいることから、労働人口も減少の一途をたどっています。 これにより、労働市場では、深刻な人材不足が叫ばれています。
1-1 労働人口が減り続ける日本
日本の人口が増加に転じることは、難しいと考えられています。 出生率は、5年連続で下落。 新型ウィルスの影響を受け、その傾向はさらに顕著になっています。 仮に、今後出生率が改善されたとしても、女性の人口が減り続けています。 出産する年齢層の女性が減れば、生まれる子供の数も少なくなるでしょう。 大幅な出生率改善がなされない限り、日本の人口が増える見込みはないのです。
出典:厚生労働省「図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移」
1-2 人口のかたよりがもたらす、働き手の負担増
世界の中で、日本の高齢化率は突出しており、今後も高い数値が続く見込みです。 働き手の中心となる生産年齢(15~64歳)の人口は、1995年をピークに、減少に転じているのです。 2020年の内閣府のデータによると、現在は現役世代1.7人で、65歳以上の高齢者1人を支えています。 これが2065年には、1.3人で1人を支えることになると予想されています。 このような人口のかたよりは、社会システムの破綻やインフラの崩壊を招きかねません。 対策として、国の施策やサービスが打ち出されていますが、働き手への負担が増えることは、免れない状況です。
1-3 ブルーカラー業種の人手不足
日本の労働市場において、人材不足は長い間課題となっていました。 現在でもその打開策として、シニア層の再雇用や女性の活躍推進、ITによる省人化など、社会全体で対応が進められています。 しかし、いわゆるブルーカラーと言われる業種には、この対策による人手不足の解消が難しい部分があります。 ブルーカラーとは、製造、建設、農業や漁業など、現場作業で直接生産に従事する労働者を指します。 いわゆる「肉体労働」としてイメージされる仕事であり、シニア層や女性労働者が働くのが難しいと考えられる分野です。 また、食品の製造や接客などは、臨機応変な対応を求められることが多く、ITによる省人化が難しい分野とされています。
2. 人材不足解消のカギは「外国人雇用」
人口全体が減っているために、働き手の数も減り続ける日本。 人材不足を解消することは可能なのでしょうか? そのカギを握るのは、「外国人雇用」であると考えられています。 国外から人材を登用すれば、日本の人口減少の影響は受けません。 また、若年層の人材を呼び込むことができるため、特に人手が不足する分野や業種のニーズにもマッチします。
2-1 世界の人口は今後も増える
世界の人口は、2020年には78億人となり、2019年に比べ8,000万人増加しました。 この先数十年は、増加の傾向が続くと予想されています。 高齢化による労働力不足の問題を抱える国は、日本だけではありません。 国外から優秀な人材を呼び込む、グローバル人材の獲得競争は、国際社会においてすでに始まっています。
2-2 外国人労働者の雇用状況
日本で就労する外国人労働者数は、2020年で172.4万人と、8年連続で過去最高を記録しています。
出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年 10 月末現在)」
ご存知の通り、新型ウィルスの蔓延により、新規入国が停止しています。
現在は一時的に、外国人労働者の増加にブレーキがかかっている状態です。
しかし、アフターコロナにおいては、外国人労働者の需要はさらに増えると見込まれています。
外国人労働者を国籍別で見ると、ベトナム国籍の方が中国を抜き1位に。
業種別で見ると、製造業が、外国人の受入れに最も積極的です。
出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年 10 月末現在)」
国内における消費者のニーズは多様化しており、それに対応するためには、外国人材の活用が不可欠と考えられています。 5年後には、外国人労働者の数は100万人に達すると言われています。 減少した労働人口を補うために、国の主導のもと、外国からの労働力を呼び込む時代に突入しているのです。
3. 多様化する外国人の雇用方法
外国人材へのニーズが高まる現代。 法の整備などが進んだことから、彼らの受入れ方法も多様化してきました。 どのような在留資格があれば企業で雇用することができるのか、確認しましょう。
出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年 10 月末現在)」
3-1 活動に基づく在留資格
いわゆる「就労ビザ」は、昔からある外国人労働者の受入れ方法です。 日本での活動が認められている在留資格は19種類。 例えば、通訳として活動するなら「技術・人文知識・国際業務ビザ」、プロのスポーツ選手であれば「興行ビザ」を取得するのです。
3-1-1留学生をアルバイトとして採用できる?
実は、留学ビザでは就労が認められていません。 しかし、「資格外活動許可」という資格を取得することで、就労が可能になります。 週28時間以内という時間の制約がある点に注意しましょう。
3-1-2即戦力を採用できる「特定技能」
国が認めた14分野で就労が可能となる特定技能も、この「活動に基づく在留資格」に分類されます。 該当分野の知識と、日本語力を問われる試験を、それぞれ通過しないと、特定技能の資格は得られません。 そのため、 一定の専門性を有した即戦力を雇用することが可能です。 留学生アルバイトの失踪が多発したことなどがきっかけとなり、2019年に整備された新しい仕組みです。 これから外国人雇用を検討する企業であれば、積極的に活用したい制度ですね。
3-1-3国際貢献のための制度「技能実習」
特定技能と名前が似ていますが、制度の目的は大きく異なります。 技能実習は、日本の技術を途上国に移転することで、国際貢献の実現を図る制度なのです。 この制度を活用する企業は増えており、技能実習生は国内で急速に増加しています。
3-2 身分や地位に基づく在留資格
こちらは、永住者や、日本人と結婚した配偶者、その子どもなどに認められた在留資格です。
就労活動に制限がないため、単純作業やコンビニといった、他のビザでは就労が難しい仕事にも就くことができます。
(参考)いまさら聞けない「外国人が働ける在留資格」とは?
3-3 外国人材の活用をはじめよう
外国人労働者の雇用を検討するのであれば、まずは任せたい仕事の選定が必要です。 次に、その仕事に就くことを認められた在留資格が何か、確認します。 在留資格に応じた受入れ方法が決まれば、募集に取り掛かりましょう。 日本人と同様に、ハローワークを通じて求人を募ることも可能です。 外国人に特化した人材紹介サービスを活用すると、経験やノウハウに基づき、ニーズに合致したグローバル人材とマッチングしやすいでしょう。
3-4 不法就労に注意
外国人材を採用する際には、必ず就労カードの原本を確認するようにしましょう。 不法就労をあっせんした人だけではなく、事業主も処罰の対象となるのです。 密入国した人や、在留期限切れ、認められている資格の範囲外での就労など、様々なケースが想定されます。 外国人労働者を雇用する際は、不法就労のリスクは常に意識しておきましょう。
4. まとめ
人材不足の原因とその対策について、解説しました。
外国人雇用においては、煩雑な事務処理や言葉の壁など、企業がクリアすべき課題もあります。
しかしその反面、若い労働力を呼び込める、多様なニーズに応えられるといった、大きなメリットもあるのです。
少子高齢化の時代において、外国人労働者の活用なくして、日本全体の人手不足を解消するのは難しいでしょう。
グローバル人材の獲得競争が激化する前に、外国人の受入れについて検討してみてはいかがでしょうか。
【参考】
厚生労働省「人手不足の現状」
総務省「我が国が抱える課題と課題解決手段としてのICT」
内閣府「高齢化の現状と将来像」
出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
出入国在留管理庁「不法就労防止にご協力ください」
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