家族滞在ビザとは?他のビザとは何が違う?
外国人が取得できる在留資格の一つに、家族滞在ビザがあります。これは、日本に滞在する外国人の配偶者や子どもが対象となる在留資格です。外国人労働者を雇用している企業の中には、「母国の家族を日本に呼び寄せて、一緒に暮らしたい」という相談を受けた経験がある方もいるのではないでしょうか。 本記事では、家族滞在ビザとはどのような在留資格なのか、そして他のビザとの違いについて解説していきます。
目次
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザとは、日本に滞在し、特定の在留資格を持つ外国人労働者や留学生が、その配偶者や未成年の子どもを日本に迎え入れ、共に生活するために必要な在留資格です。この在留資格は、外国人の配偶者や未成年の子どもを対象とし、扶養者からの経済的支援が前提となります。そのため、扶養者には一定の経済的安定を証明する義務があり、安定した生活基盤が求められます。
家族滞在ビザの対象となる家族は、主に次の2つです。
- 配偶者(法律上の結婚関係が証明できることが必要)
- 子ども(通常は未成年が対象)
家族滞在ビザは、以下の在留資格を持つ外国人の扶養家族に対して付与されます。
教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号
在留期間
家族滞在ビザの在留期間は、最短3ヶ月~最長5年です。この在留期間は、扶養者の在留資格の種類や在留期間、さらに申請者が申請書に記載した滞在予定期間や希望する在留期間など、複数の要素を総合的に考慮した上で出入国在留管理局によって決定されます。また、扶養者の在留資格が更新される際は、家族滞在ビザもそれに連動して更新が必要となります。
取得の要件
日本で働く外国人と法律上の家族関係にあること
家族滞在ビザを取得するには、日本に滞在する外国人との法律上の婚姻関係や親子関係を証明しなければなりません。具体的には、日本でいう戸籍謄本や婚姻届受理証明書、結婚証明書、出生証明書などの書類を準備し、出入国在留管理庁へ提出します。なお、外国語で作成された書類の場合は、日本語訳文の添付が必要です。
扶養者として扶養の意思と安定した経済力があること
扶養者は、扶養能力を示すために経済力を証明しなければなりません。具体的には、現在の職業を証明するための課税証明書や納税証明書などの書類を準備し、出入国在留管理庁へ提出します。ただし、安定した経済力に関する一律の基準はなく、扶養者の収入や預貯金額、勤続年数、居住地の物価、家賃など、複数の要素が総合的に考慮され、判断されます。
申請者(家族)と扶養者の素行が良好であること
家族滞在ビザの申請において、申請者や扶養者の在留履歴は非常に重要な判断要素となります。例えば、過去に留学中の出席率やアルバイトの法定時間を超過した勤務など、入管法や旅券法に違反した場合、あるいは重大な犯罪歴がある場合には、原則として申請は認められません。ただし、今後日本で善良に在留することが書類によって証明できれば、必ずしもその限りではありません。
就労ビザとの違い
日本の在留資格は、大きく活動系の在留資格と身分系の在留資格の2つに分類されます。
家族滞在ビザは身分系の在留資格に該当し、扶養される立場で生活することが前提です。そのため、基本的には自由に就労することは認められていません。ただし、一定の条件を満たす場合、「資格外活動許可」を取得することで、アルバイトなど特定の範囲で就労が可能になります。一方、就労ビザは活動系の在留資格に該当し、就労を主目的としています。そのため、職種に応じた業務に従事することができます。
※資格外活動許可とは
資格外活動許可とは、現在取得している在留資格では認められていない収入を伴う仕事や報酬を受ける活動を行う際に必要な許可です。この許可には、「包括許可」と「個別許可」の2種類があります。
包括許可
勤務先や業務内容に制限がない活動許可です。
特徴:
・1週間の労働時間は28時間以内
・個人事業主としても利用可能
(例:配達など、成果に応じた報酬を得る活動で、稼働時間が客観的に確認できる場合)
・法令に違反する行為や風俗営業に関連する活動は対象外
個別許可
包括許可の対象外となる活動を行う際に必要な許可です。
特徴:
・活動内容、報酬、契約内容などを文書で明確に説明し、許可申請を行う
(在留期間の過半を超えず、現在の在留資格に支障を来さない範囲内)
・小規模事業の運営などの個人事業主としても利用可能
(例:業務委託契約や請負契約など、稼働時間が明確でない場合)
・法令に違反する行為や風俗営業に関連する活動は対象外
通常、家族滞在ビザの資格外活動許可は、アルバイトやパートなどの包括許可です。
特定の就労先が決まっていない段階でも取得可能で、申請忘れを防ぐためにも事前の取得がお勧めです。
また、すでに包括許可または個別許可のいずれかを取得している場合でも、他方を追加で申請できます。
注意点
家族滞在ビザの対象
家族滞在ビザは、日本に滞在する外国人の配偶者や子どもに限定されるため、親や兄弟を迎え入れることはできません。ただし、扶養者が高度専門職の在留資格を取得している場合や、特別な事情がある場合には、特定活動ビザ(老親扶養)を通じて両親を迎え入れることができます。
※特定活動ビザ(老親扶養)…日本に滞在する外国人が、日本で高齢の親を扶養するために取得できる在留資格です。
配偶者と子どもに関する要件
配偶者は、日本の法律に基づく婚姻が有効である必要があります。内縁関係や外国で成立した同性婚、パートナーシップは含まれません。また、子どもについては実子に加え、養子も含まれますが、成人した子どもが家族滞在ビザを申請する場合、扶養を受ける必要性が薄いと判断されることがあるため、扶養の必要性を明確に示す資料が求められることがあります。
まとめ
家族滞在ビザは、日本で生活する外国人が母国から配偶者や子どもを呼び寄せるために必要な在留資格です。この在留資格を取得するには、法律上の家族関係や安定した経済力の証明に加え、申請者や扶養者の素行が良好であることが求められます。また、原則として就労は認められていませんが、資格外活動許可を取得すれば、一定の条件下で就労が可能です。このように家族滞在ビザを活用することで、外国人家族が日本で安心して暮らせる基盤を構築できます。そして、日本社会との調和を図りながら、より良い未来を共に築いていけるでしょう。
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