技能実習制度は廃止というより名称・制度変更~その2~【技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第6回)の中間報告書(案)を考察して】

2023年04月21日

【2023年4月21日加筆・修正】
2023年4月19日に発表された、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第6回)の中間報告書(案)を考察いたしました。
内容としては、4月10日発表の中間報告書のたたき台(概要)と大きな趣旨に変化はないと考えます。
ミャンマー・ユニティとしての考察を再度、以下にまとめました。

本日(2023年4月19日)に発表された、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第6回)の中間報告書(案)を考察すると、技能実習制度を「廃止」というより「名称・制度変更」であると考えます。
技能実習制度について、制度目的を実態に即した変更を行い、監理団体の要件を厳格化して、外国人技能実習機構も存続する方向であれば、これは実態に即した「技能実習制度の廃止」というより「名称・制度変更」であるとミャンマー・ユニティは考えます。
つまり、技能実習制度は名前を変え内容を変えて存続し、かつ特定技能制度も存続するので、我々の以前からの予想と同じ結果になると思われます。

いずれにしても、現在の技能実習制度の最大の特徴である「転職できない」ことを魅力と感じる事業者様・監理団体様は、制度が変わらないうちに技能実習生の採用を進めることをおすすめします。

(技能実習制度の変更は2024年4月から実施になる可能性があります)

技能実習制度が変わるポイントは以下と考えます。

・転籍は問題発生時にのみ可能に
(人権侵害や法律違反が確認された場合転籍先を速やかに確保)
・監理団体や登録支援機関は存続した上で要件を厳格化
・外国人技能実習機構は存続
・日本語N5程度の資格取得を義務づける
・特定技能制度と職種が統一される
 -技能実習ができる職種は特定技能もできるようになる
 (例)繊維、ものづくり製造系職種
 -特定技能ができる職種は技能実習もできるようになる
 (例)外食、すべての飲食料品製造業
・前職要件は廃止
・職種要件(実習計画審査要件)が緩和され、適用職種が拡大

中間報告書(案)<政府発表資料より>

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中間報告書(案)に書かれた「今後の検討の方向性」(原文のまま抜粋)

1 はじめに

我が国の人手不足が深刻化する中、外国人が日本社会において暮らし、経済社会の担い手となっている現状にある。これを踏まえ、外国人との共生社会の実現が社会のあるべき姿であることを念頭に置き、その人権に配慮しつつ地域社会を共に支える一員として外国人を適正に受け入れ、我が国で能力を最大限に発揮できる多様性に富んだ活力ある社会を実現する必要がある。このような観点から、技能実習制度と特定技能制度が直面する様々な課題を解決した上で、国際的にも理解が得られるものとなるよう、各論点について検討の方向性を示すものである。

2 技能実習制度と特定技能制度の制度趣旨について

⑴ 制度目的と実態を踏まえた制度の在り方

○ 現行の技能実習制度は人材育成を通じた国際貢献を制度目的としているものの、技能実習生が国内の企業等の労働力として貢献しており、制度目的と運用実態のかい離が指摘されている。このことにも鑑みると、今後も技能実習制度の目的に人材育成を通じた国際貢献のみを掲げたままで労働者として受入れを続けることは望ましくないことから、現行の技能実習制度を廃止して人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである。すなわち、技能実習制度が人材育成に加え、事実上、人材確保の点においても機能していることを直視し、このような実態に即した制度に抜本的に見直す必要がある。なお、技能実習制度の目的と一致した運用実態が認められる企業単独型の技能実習や現行制度から新たな制度への円滑な移行の在り方については、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

○ 技能実習制度が有する人材育成機能は、未熟練労働者として受け入れた外国人を一定の専門性や技能を有するレベルまで育成することで、国内で引き続き就労する場合は身に付けたスキルを生かして活躍でき、国内産業や日本経済にも貢献するとともに、帰国する場合はそのスキルを生かすことにより国際貢献につながるため、新たな制度にも目的として位置付けることを検討すべきである。

○ 特定技能制度については、深刻な人手不足に対応するため、引き続き活用していく方向で検討すべきである。その際、新たな制度との関係性に加え、外国人材の支援面など様々な課題も指摘されていることを踏まえ、登録支援機関による適切かつ実効的な支援の在り方や行政の指導監督体制や特定技能外国人への支援体制の整備などについて、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

⑵ 外国人が成長しつつ、中長期に活躍できる制度(キャリアパス)の構築(両制度の対象職種の在り方を含む。)

○ 新たな制度と特定技能制度は、外国人がキャリアアップしつつ国内で就労し活躍できるわかりやすい制度とする観点から、新たな制度から特定技能制度への移行が円滑なものとなるよう、その対象職種や分野を一致させる方向で検討すべきである。その際、人材確保の面からは特定技能制度の対象分野に関する考え方を基本としつつも、具体的な対象職種・分野について、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

○ 技能実習における対象職種のうち、現行の特定技能制度の対象分野に含まれていないものについても、業界からの要望及び受入れの必要性を前提として追加を検討すべきである。

○ 人材育成の観点から、外国人が修得する主たる技能等について、育成・評価を行うことによるスキルアップの見える化を前提として、特定技能制度への移行を見据えた幅広い業務に従事することができる制度とする方向で検討すべきである。その際、修得した技能の習熟度を客観的に測定することは重要であり、技能評価の在り方について、技能検定や技能実習評価試験等の運用状況も踏まえながら、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

○ 人材育成を適切に行うことと併せて、外国人の処遇その他受入れ企業等における適切な体制等の整備についても、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

○ 我が国の企業等が魅力ある働き先として選ばれるためには、我が国で修得した技能等を更に生かすことができる仕組みの構築が必要である。そこで、外国人と受入れ企業等の双方に向けたインセンティブになるよう、必要性があることを前提として、「特定技能2号」に対象分野を追加することを検討すべきである。その際、我が国において、高い技能を修得して自立した外国人労働者が中長期的に安心して暮らし能力を発揮しながら働くことは、我が国の産業や経済の発展に資するものであることから、外国人労働者の受入れに関する政府方針等を踏まえつつ、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

⑶ 受入れ見込数の設定等の在り方(特定技能制度における現行の取扱いを含む。)

○ 人材確保をも目的とする新たな制度と特定技能制度において、国内の人手不足状況に対して的確に対応するために、業所管省庁における取組状況の確認、人手不足状況や国内労働市場に与える影響の確認、受入れ見込数の設定及び対象分野の追加については、様々な関係者の意見やエビデンスを踏まえつつ判断がされる仕組みとするなど透明性や予見可能性を高める方向で、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

3 人権侵害の防止その他外国人にとっても我が国にとってもプラスとなる仕組みとするための方策について

⑴ 転籍の在り方(技能実習)

○ 現行の技能実習制度では、限られた時間内に計画的かつ効率的に技能等を修得する観点から、一つの実習先で実習を行うことを原則としているが、新たな制度においては、人材育成そのものを制度趣旨とすることに由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置付けることから、労働者としての権利性をより高め、また、制度趣旨及び対象となる外国人の保護を図る観点から、従来よりも転籍制限を緩和する方向で検討すべきである。

○ その際、転籍制限の在り方については、受入れ企業等における人材育成に要する期間、受入れ企業等が負担する来日時のコストや人材育成に掛かるコスト、産業分野や地方における安定的な人材確保、我が国の労働法制との関係、労働者の権利行使に与える影響など新たな制度の目的である人材確保や人材育成との関係を踏まえた総合的な観点から、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。併せて、人権侵害や法違反等があった場合に外国人が権利行使をしやすくする救済の仕組みや転籍先を速やかに確保する方策についても、現行の運用状況を踏まえつつ、具体的に議論していくこととする。

⑵ 管理監督や支援体制の在り方

ア 監理団体や登録支援機関の監理及び支援の在り方(存続の可否を含む。)

○ 日本語能力やスキルレベルが未熟練の外国人材を海外から円滑に受け入れ、適切な人材育成等を行うためには、現行の技能実習制度において監理団体が担っている国際的なマッチング機能、受入れ企業等に対する適正な受入れの監理・支援の機能、外国人に対する職業生活から日常生活までの全般的な保護・支援等の機能や、現行の特定技能制度における登録支援機関が担っている外国人に対する支援の機能は重要である。

○ 他方、現行制度下の監理団体の中には、受入れ企業等における人権侵害や不適正な就労を防止・是正できていない団体も少なくなく、そのような団体は厳しく適正化又は排除していく必要がある。また、現行制度の登録支援機関についても、法人か個人かを問わず登録できることから、その中には外国人に対する職業生活から日常生活までの全般的な支援を行うことができないものも少なくなく、同様に是正が必要である。

○ 新たな制度においては、監理団体は、国際的なマッチング機能や受入れ企業等や外国人に対する支援等の機能を適切に果たすことができる優良な団体のみが認められるようにするため、受入れ企業等からの独立性・中立性の確保や、監理・保護・支援に関する要件を厳格化する方向で検討すべきである。その要件については、特定技能制度における登録支援機関の機能や要件を含めて、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

○ 受入れ企業等が安心して優良な監理団体及び登録支援機関を利用できるように、その事業活動の評価などを公表し、特に受入れ企業等への支援や外国人労働者保護の面で優良な団体等にはインセンティブを与えるような方向で検討すべきである。

○ 両制度において、受入れ企業等に対する支援と外国人に対する支援のそれぞれについて、監理団体や登録支援機関による支援と自治体等による支援の適切な役割分担の在り方を検討すべきである。

イ 国の関与や外国人技能実習機構の在り方(存続の可否を含む。)

○ 外国人技能実習機構が担ってきた法令に基づく監督指導や相談窓口などの援助は、一定の効果があり適正な受入れに不可欠であることから、体制を整備した上で引き続き活用する方向で検討すべきである。

○ 技能実習生と同様、特定技能1号外国人についても、日本語能力や有する技能等の関係上、職業生活から日常生活まで一定の支援を要するが、その全てを受入れ機関側に委ねることは限界がある。また、受入れ機関側に対しても国による中立的で法令に基づく指導監督を行うことが適切な場合もある。したがって、特定技能制度についても、受入れや支援の実態把握や分析を進めつつ、登録支援機関による適切かつ実効的な支援の在り方や行政の指導監督体制の在り方を引き続き検討すべきである。

○ 新たな制度において、業所管省庁は、そのイニシアチブの下にある業界団体と相互に連携し、受入れに際しての業界ごとの生産性向上・国内人材確保の取組や当該取組を行った上での人手不足状況の確認、受け入れる外国人労働者に対しての支援、業界内の受入れの適正化など、より良い受入れを後押しする役割を担う方向で検討すべきである。その際、地方における人材確保や外国人材への支援等に適切に対応するため、制度横断的な対応のみならず、産業政策等の観点から、それぞれの業界特有の事情を踏まえ、受入れ企業等が負担するコストに留意する必要がある。また、特定技能制度においても、これらの取組について、業所管省庁等による更なる対応の強化を検討すべきである。

ウ 国際労働市場の実態及びメカニズムを踏まえた送出機関や送出しの在り方
(入国前の借金の負担軽減策、MOCの更なる強化方策を含む。)

○ 国際労働市場においては求人者と求職者が離れていることから、その職業紹介のコストを受入れ企業等や外国人本人などの関係者が負担して監理団体や送出機関などが介在することで仲介機能が働いている実態がある。このプロセスの中に悪質なブローカーや送出機関が関与し、外国人本人が不当な費用を負担して多額の借金を負うことになれば、来日後の活動に悪影響を及ぼすこともあり得ることから、悪質なブローカーや送出機関の排除など更なる対応を検討すべきである。

○ この点、政府機関自らが国際的な職業紹介の機能を担うこととしても、政府機関にたどり着く前に悪質なブローカーが介在する可能性は排除されるわけではない等の指摘も見られる。その点も踏まえつつ、新たな制度の仲介機能については、国際的な職業紹介のプロセスでの外国人の負担をできる限り軽減するよう、職業紹介における費用負担の国際的なルール、送出国の送出制度や関係法令との整合性、諸外国の受入れ制度の運用状況、費用対効果などの総合的な観点から、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくこととする。

〇 過大な手数料の徴収の防止や悪質な送出機関の排除や送出機関の適正化に向けて、新たな制度においても、相手国との間で実効的な二国間取決め(MOC)を締結するなど、外国人材の適正な受入れに関する国際的な取組を強化する方向で検討すべきである。

⑶ 外国人の日本語能力向上に向けた取組(コスト負担の在り方を含む。)

○ 外国人労働者が来日する際に日常生活及び職業生活に必要な最低限の日本語能力を有することは重要であることから、安定的な人材確保に与える影響なども十分に考慮しながら、日本語能力に関する要件化も含めて就労開始前の日本語能力の担保方策について検討すべきである。

○ 外国人労働者の来日後においても、引き続き日本で働き生活していく中では、日本語能力の向上は重要であり、適切な技能形成や長期的な就労を可能とする上でも必要であることから、受入れ企業等と外国人労働者が日本語教育に自発的に参画するためのインセンティブ化も含め、日本語能力が段階的に向上する仕組みを設ける方向で検討すべきである。

○ 外国人労働者に対する来日後の日本語教育に掛かる費用や必要な支援については、外国人労働者の円滑な就労と技能形成が受入れ企業等や地域の産業・経済に資するという観点に加え、地域における外国人労働者に対する生活支援と共生社会実現の観点から、基本的に外国人労働者の負担とはせずに受入れ企業等の負担としつつも、国や自治体が日本語教育環境の整備などの支援を適切に行いながら、日本語教育の機会を充実させる方向で検討すべきである。

以上

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