【ミャンマービジネス】東南アジアのラストフロンティア
ミャンマーがなぜ東南アジアのラストフロンティアと呼ばれているのか、その理由を解説しています。ミャンマー国内の状況や、ビジネス、経済発展、最大規模のティラワ経済特区等を紹介し、今度企業が進出するうえで必要な情報をまとめました。海外進出の足掛けになる技能実習制度の活用も必見。
目次
ミャンマー連邦共和国とは
ミャンマー連邦共和国基本情報
公式名称 | ミャンマー連邦共和国 |
---|---|
首都 | ネーピードー |
国家元首 | ウィン・ミン大統領 |
国土面積 | 約68万 km2 (日本の約1.8倍) |
人口 | 5,447万人(2020年) |
人口増加率 | 0.9%前後(2017年時点) |
言語 | 公用語はビルマ語 |
1人当たりのGDP | 1,300(米ドル、購買力平価)(2019年) |
識字率 | 93.1% |
宗教 | 仏教 87.9%、キリスト教 6.2%、イスラム教4.3% |
通貨 | ミャンマーチャット(Kyat) |
気候 | 熱帯気候、乾季(3-5月)、雨季(6-10月)、寒気(11-2月) |
時差 | 2時間半 |
天然資源 | 木材や木材製品、銅、スズ、タングステン、鉄、石油、天然ガス、翡翠や宝石 |
主要作物 | 米、豆類、ゴマ、ゴム、果物、野菜 等 |
ミャンマーは東南アジアに属している国で、ANAの直行便も出ております。国の位置が大国の中国・インドに挟まれており、タイとも隣接しています。首都はネーピードーですが、日系企業なども多く集まる経済の中心地はヤンゴンです。国土面積は日本の1.8倍と非常に大きく、多様な気候や地形を有していることから、農業が非常に盛んです。国民の約6割が農業に従事している農業大国です。かつて(1920年~1960年)は世界で1位2位を争うコメの輸出大国でした。
ミャンマー国内状況
中心部ヤンゴンは数年前より格段に綺麗になり住みやすい街になっています。しかし、インフラがまだきちんと整備ができておらず、停電もよく起こります。(オフィスビルや工場には自家電機が設置されているケースが多い)
ネット環境は近年大幅に改善され、携帯キャリアのSIMを使えば、ミャンマーの都市部では快適なスピードで使えるようになりました。しかし公共のWi-Fiは、ミャンマー中心部であっても高級ホテルや限られたカフェ以外では繋がりません。
また、バスや鉄道は日本のように決まった時間には来ないので、その時来たバスや鉄道に乗車するといった感覚で暮らしています。
宗教は、仏教徒が国民の約9割を占めており、敬虔な仏教徒が多く伝統的な仏教国です。宗教理論から、国民性は他者に対する施しを惜しまない、誠実な人々です。そのため、ミャンマーでは貧しくともストリートチルドレンがいません。孤児や恵まれない子供たちは村のお坊さんが面倒をみています。
また、貧しい人たちにもお寺が無料で勉強を教えているため、ASEAN最貧国のミャンマーですがASEANで一番識字率が高いと言われています。決してお金持ちではない人々も恵まれない人たちに寄付するといったミャンマー人の、人のために行動できる人柄はとても魅力的です。女性が昼間一人で歩けるくらい治安がいいこともミャンマー人の“人の良さ”があってのことです。
ミャンマー人は大学に行っても高給が約束されているわけではありませんが、大学へ行く人もいます。大学の教育費は1~5万円程度です。別途、塾の費用が10万~20万かかります。
ミャンマーのスマホ普及率は伸び続け、今ではほぼ100%の普及率となっています。これは、東南アジアNo.1となっています。そのおかげもあり、オンライン、インターネット関連の企業が伸びており、注目されています。
税制面について、商業税は建ったり売り上げに対して5%、法人税は経常利益の25%となっています。
所得税は累進課税方式で、最大25%。163日以上滞在している人は全世界所得となります。
外資系の法人は申告を必ずしていますが、ローカルは申告してない人が多いようです。道端の屋台はそもそも会社登録もしておらず、ライセンスも持っていません。
ミャンマーが注目される理由と人の魅力
人材が魅力
優秀な人材がいても、いい仕事に就けるチャンスがない現状です。最難関大学を卒業したとしてもミャンマーでは就職できない場合があります。ましてや一流大学でない学生は、就職先にかなり困っています。ですから、ミャンマーでは日本の中小企業でも優秀な人材を採用できるチャンスがあります。ミャンマー現地で、ミャンマー人が英語を話せると、新卒で月給2万円、日本語を話せると月給4万円くらいになります。また、ITエンジニアの給料は技術レベル、経験によって差があります。最大で月給15万円という人も稀にいます。ミャンマー現地で月給15万円は相当高額な月給になります。このこともあり、ミャンマーで人気の職業はIT企業と日系企業です。
国の位置が良い
地政学的なメリットもミャンマー発展に作用します。ミャンマーは、中国とインドに挟まれた場所にあります。このため、将来性がある国内市場のみならず、中国やインドの巨大な消費市場へのアプローチも可能です。
競争相手がいない
発展途中のミャンマーは、日本で飽和した事業でもミャンマー国内にまだないサービスや事業は参入すると伸びるビジネスの可能性を秘めています。実際に新車のミャンマー国内のナンバーワンシェアを誇る自動車メーカースズキは他社に比べていち早くミャンマーに参入し、自動車メーカーミャンマー国内ナンバーワンシェアになりました 。
対日輸出で特恵関税の適用
特恵関税制度とは、開発途上国の輸出所得の増大,工業化と経済発展の促進を図るため,開発途上国から輸入される一定の農水産品,鉱工業産品に対し,一般の関税率よりも低い税率(特恵税率)を適用する制度です。(外務省HPより)日本に輸出する際の関税が低くなり日本へ輸出しやすくなります。
ミャンマー国内のビジネス
日本企業のミャンマー進出は数字でも見てとれます。ミャンマー日本商工会議所の会員数は2019年9月末で400社を超えました。製造業の拠点設立に伴う日系建設業の進出が目立ちます。ベトナムに進出している企業がミャンマーに進出しているケースも多くなっています。
ミャンマーに進出している業界
ミャンマー日本商工会議所の内訳で、建設部会は126社で最多となっています。次に工業系が続きます。中心部ヤンゴンには外国人旅行者が宿泊できる綺麗なホテルも増えました。各地でスマートシティや高層ビル、複合商業施設などのビジネスプロジェクトが進行しています。しかし、ミャンマー国内の建設会社単体の建築作業現場は、安全性は十分とはいえません。また、建築技術も乏しいため、ミャンマー建設事業者連盟(ミャンマー全土の建設会社や資材メーカーなど約3000社で構成される業界団体)も技能実習生を積極的に日本に輩出して、ミャンマー国内の技術力アップを目指すとし、日系企業との交流を深める方向です。
農業大国であるミャンマーの農家の現状が変わってきています。農業も機械化が少しずつ始まりました。その機械化に日系企業の機械が使用されており、ビジネスチャンスだと感じた日系企業がミャンマーに進出しています。
農業機械や肥料などの生産性を向上させる農業製品の販売にビジネスチャンスがあると考えられます。また、農業に関する知識が不つ十分な農業従事者への指導をしつ行う、農産物の生産販売事業にもビジネスチャンスがあります。このような事業を行う上でプラスの要因の1つが多様な気候帯と地形です。ミャンマーには北部の山岳地域、東部の涼しい高原地域、中央の乾燥地域、南部のデルタ地域と多様な気候帯と地形があります。それにより地域ごとに特徴的な産品の生産が可能です。
日本政府からの資金援助もあります。資金援助の中の一つに農家へのツーステップローン事業への支援というものが含まれます。これはJICA(独立行政法人 国際協力機構)から地場銀行へ資金が送られ、この資金がミャンマーの農家へ融資されるといったものです。この農家への融資は主に農家が農機具の購入等を希望した際に融資されます。このような資金を農家が使うことで農業製品の普及は加速すると考えられます。
ミャンマー人が行う農業は個人で行っている人と法人でやっている人に分かれます。
ミャンマーの自動車台数は2011年以降急速な伸びをみせており、2011年から2016年までの5年間で、台数は2倍までなっています。2016年までは、中古車が9割以上を占め、新車台数は多くありませんでした。しかし、2017年に中古車の輸入が実質的に禁止された*ことによって、新車販売が急増しました。*右ハンドルの車が輸入禁止となりました。
また、自動車ローンが普及し始めています。業界最大手の自動車メーカーは地上銀行のAYA銀行と提携し、ローンを提供しています。これらにより、自動車業界は新車の波が押し寄せています。大手日系自動車メーカーがこぞって進出しているミャンマーは、部品を製造する下請け企業も進出しています。
ミャンマーに進出している企業で目立っている業界を紹介しましたが、これからミャンマー国内が発展していく過程でどの業界でもチャンスがあると考えられます。
ミャンマーで外資系が不動産業を行うことは難しいです。ミャンマーでは不動産譲渡規制法により、外国政府等に対する場合や別途認められた場合を除き、外国人や外国企業に対する不動産の譲渡は禁止されています。また、外国人または外国企業は土地または建物の賃借は原則として最大1年までしか認められません。ただ、工場などの場合はエンドーズメントといって政府に直接申請し、50年の長期契約なども可能です。
ミャンマーでビジネスを行うには、業種によってライセンスが必要になってきます。例えば飲食だと、消防・衛星・リカ―などのライセンスが必要です。
ミャンマーの経済特区「ティラワ経済特区」
ティラワ経済特区は、日本とミャンマーが共同で開発している工業団地として有名です。2014年に日本・ミャンマー両政府と日本の総合商社3社などが合弁で事業会社を設立しました。経済特区内に進出している企業では日系企業が多いです。
企業進出状況(2019年11月1日時点)
進捗 | 予約契約締結済み: 109 社(レンタル工場 5 社含む) 本契約締結・投資認可取得済み: 107 社 |
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建設中: 024 社(レンタル工場 1 社含む) 操業中: 075 社(レンタル工場 4 社含む) |
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輸出/国内 | 輸出志向型:43 社 国内市場型:65 社 その他:1 社(開発) |
業種 | 建設資材:17 包装・容器:11 社 縫製:9 社 食品・飲料:9 社 農業:8 社 電力・電気:8 社 自動車:7 社 医療:6 社 樹脂成型:2 社 塗料、産業用ガス、飼料、タンク、搬送機器、潤滑油、通信施設、靴、化学品、物流倉庫(冷凍冷蔵含む)、産業廃棄物処理、職業訓練、レンタル等 |
国籍 | 日本:55 社、タイ:16 社、韓国:8 社、台湾:6 社、マレーシア:4 社、香港:3 社、 ミャンマー:3 社、シンガポール:3 社、スイス: 2 社、アメリカ、ドイツ、オランダ、 フランス、オーストラリア、中国、ベトナム、インド、インドネシア:各 1 社 海外独資:92 社 合弁:14 社 緬国独資:3 社 |
出資形態 | 海外独資:92 社 合弁:14 社 緬国独資:3 社 |
出典:一般社団法人 日本ミャンマー協会
電力、道路、港湾など、ビジネス関連のインフラが脆弱(ぜいじゃく)なミャンマーにおいては、日本のODAで各種インフラの整備支援を行っているティラワSEZを上回る操業環境はない。ティラワSEZ内では、国内市場向けにスズキがノックダウン生産で自動車製造を、エースコックが袋麺製造をそれぞれ開始している。輸出向けでは、車載用スピーカーを製造するフォスター電機が工場を拡張した。このほか、大陽日酸が産業用のガス供給事業を開始、JFEスチールがシンガポール企業などとの合弁で溶融亜鉛メッキ鋼板およびカラー鋼板の製造工場を建設している。さらに直近では、樹脂成型部品製造を行う日系企業の進出が決定するなど、製造業の要となる素材・部品産業分野の企業進出も始まりつつある。JETRO
2019年には、初めて敷地内にビジネスホテルが開業したり、また大手自動車メーカーが進出したりと、さらに注目を集めました 。大手メーカーの進出によって、部品を納める一次下請けや2次下請けの企業がティラワ経済特区への入居に関心を強め、追い風となっています。
海外進出の足掛けになる技能実習制度
発展し始めているといっても、熟練した技術者が足りないといった課題があります。ミャンマーに進出しても現地で日系企業が求めるレベルの専門的な知識を持った技術者が見つかるとは限りません。技能実習制度を利用して、ミャンマー国内に専門的な技術を移転する方法があります。技能実習制度を利用し日本で数年間技術を教え込み、実習生が帰国した後、現地の会社で働いてもらうという方法です。実際に、ミャンマー・ユニティから送り出した技能実習生が帰国後、そのまま日系企業に勤めることがあります。
高知県の建設会社がミャンマー・ユニティから送り出した技能実習生を帰国後、現地で再雇用し、ミャンマー進出をした例になります。JETRO(日本貿易振興機構)にも取材を受けました。
詳しくはこちら人材育成としての期間はかかりますが、日本で培われた技術を教えることで、ミャンマーでは即戦力として働いてもらえます 。
日本国内ビジネスにも
日本で人材不足が深刻化している介護業界。日本にとってミャンマーの若い優秀な人材は日本の未来の一助となってくれます。ミャンマー人は介護業務で活躍できます。 人のために尽くしたい、人のためになりたい、そんな習慣のあるミャンマー人は介護で人のために働くことに向いています。また、介護職種はミャンマー人候補生の中でも人気の職種です。ほとんどのミャンマー人は親日で日本人に対して嫌悪感を抱いていません。特定技能では、日本人同等に正社員として働いてもらうことができます。需要が高まり、さらに人材不足が加速する介護業界をミャンマー人の若いパワーで活気づけてもらえます。
ミャンマー・ユニティの介護教育はこちらミャンマーでは発展するにつれ、外国人旅行者向けのホテルが建ち始め、外食文化があまりないミャンマーでレストランなどが増えております。その分、ホテルマンや、清掃員、飲食店でのスキルを持った人材が必要になってきます。日本でのおもてなしの心を学びたいと思っている、ミャンマー人もこれからもっと出てきます。特定技能を利用して、ミャンマー人を採用し、共に働くことも珍しくない未来がやってきます。
私たち、ミャンマー・ユニティは日本で学びたい、働きたいミャンマー人の手助けができるよう、邁進しております。
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