介護業界の外国人採用方法|採用手法から助成金制度まで詳しく解説!
介護業界での外国人材の採用の方法と制度、介護業界の人手不足の背景と原因、外国人の採用方法の種類、ポイント、手法についてと採用時に企業が利用したい助成金制度・助成金の種類について解説します。
目次
「介護業界は人手不足だから外国人を採用して問題解決を図りたい」「外国人を採用する場合、助成金制度は利用できるの?」など、 介護業界における外国人採用方法について気になる方も多いのではないでしょうか。実際、助成金制度を利用し、 上手く外国人を採用して業績向上に繋げている企業や施設も増えています。とくに介護業界は人材確保が困難な時代となり、 今後は外国人を労働力に加えられた企業が勝ち残っていくでしょう。この記事では、介護業界の外国人採用手法と助成金制度を中心に解説していきます。
1.介護業界の人手不足の背景と原因
現在介護業界は深刻な人手不足に悩まされており、労働力の確保にも一苦労しています。 2021年7月に発表された「厚生労働省 第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によれば、 2023年には約22万人、2025年には約32万人、2040年には約69万人の介護人材が必要と発表しました。以上の数値をうけて、 介護職員の処遇改善・離職防止・外国人材の雇用などの対策を講じるとされており、今後介護業界は抜本的な見直しが行われます。
上記の数値や厚生労働省の対策を見るに、重大さを物語っているのが分かります。 では一体なぜ介護業界は深刻な労働力不足に悩まされているのでしょうか。次から順番に見ていきましょう。
人手不足の要因
日本の高齢化
介護業界における人手不足の最大の原因は、日本の高齢化です。 総務省統計局の調べ(2019年)では、日本の総人口が前年と比べて26万人減少しているにもかかわらず、 65歳以上の高齢者人口は32万人増加し過去最高を記録しました。総人口に占める高齢者の割合は28.4%と同じく過去最高の数値です。 さらに、世界で見ても総人口に占める65歳以上の人口の割合は最も高く、2位のイタリア(23.0%)3位ポルトガル(22.4%)に差をつけて、 高いのが見て取れます。日本の高齢化は歯止めが利かなくなっており、今後の対策が注目されます。
給与が低い
介護業界が人手不足になっている要因の二つ目は、給与が低い点です。 「令和元年賃金構造基本統計調査」と「介護労働実態調査」によると、介護福祉士の平均給与額22万2,566円とあり 、全産業の30万7,700円と比較すると大きく差があるのが分かります。介護業界の大半が中小企業で運営されていて、 好待遇で人材を採用できない背景があるのでしょう。また、介護職の報酬には上限が設けられており、企業が勝手に給料を上げられない現状があります。 介護状態によって給与が決定してしまう為、どんなに汗を流しても給与が上がらないシステムにも介護業界に人材が集まらない要因と言えるのです。
人間関係によるストレス
介護業界が人手不足に陥っている原因の最後は、人間関係によるストレスです。一般的なサービス業と異なり、介護業界は関わる人の幅が広いのが特徴。 目の前にいるお客様以外にも、顧客の親族や同居人とコミュニケーションを取る機会も多いでしょう。 加えて、職場の同僚以外にも医療機関スタッフとの繋がりもあり、コミュニケ0ション能力が必要となります。 器用に人間関係を築ける方であれば問題ありませんが、コミュニケーションに長けている方が多くを占めているわけではありません。 対人関係に敏感な方はストレスがたまり、介護職自体が嫌になってしまうケースもあるでしょう。結果、離職に繋がってしまいます。 介護業界は気苦労が絶えない現場なのです。
2.介護業界の外国人採用方法のポイント
介護業界は優秀な人材を確保しようとも、満足に採用できないのが現状。 そこで現在注目されているのが外国人です。外国人雇用を躊躇する企業も多いですが、上手く育成すれば日本人よりも戦力になるケースも。 そのため、労働力不足に悩む介護施設は外国人採用も検討してみてもいいでしょう。 ここからは外国人の採用方法についてポイントごとに絞って紹介していきます。
採用方法4つのポイント
「技能実習」による採用
技能実習制度による雇用は、介護業界においてもっとも採用ハードルが低いです。名目が「実習」であるため、 あくまで自国の技術発展を目的に来日する外国人となります。 基本的に実習期間として最大5年までしか滞在できませんが、本人のやる気と企業の手続きによって長期雇用も可能です。受入方法は、いずれかの監理団体と呼ばれる非営利団体に加入し、 手続きを踏めば外国人の雇用が可能。まずは雇用しやすい技能実習を検討してみましょう。
「特定技能」による採用
特定技能は技能実習中の実習生が最長滞在期間5年経過前に試験を経て移行できる雇用方法です。 特定技能試験に合格し、晴れて特定技能資格を取得できれば長期雇用が可能です。日本の滞在期間が長いため、 経験や知識があるため、より戦力として見込める人材も雇用できるのが特徴となります。
「介護資格取得による採用
介護資格取得による採用は、日本の専門学校を卒業し、介護福祉士の国家試験に合格した外国人が在留資格「介護」を得て、そのまま日本で働く雇用方法です。 日本で介護を学ぶ外国人はまだ少ないですが、専門的な知識やスキルを保有しているため、特定技能と同等以上の即戦力として期待が持てます。 また在留資格「介護」の外国人には原則として永住権が与えられ、家族帯同も認められます。
「EPA介護福祉士候補者」による採用
EPA介護福祉士候補者による採用は、経済連携協定(EPA)に基づいて日本の介護施設で研修を行い(在留期間満了4年間)、 介護福祉士資格取得を目指し来日した外国人です。対象国はベトナム、インドネシア、フィリピンの3か国になり、研修にて戦力として育成していくといいでしょう。
3.介護業界の外国人採用時に利用したい助成金制度
介護業界で外国人採用を狙っても資金に悩む方も多いでしょう。そこでおすすめなのは助成金制度です。 助成金は外国人を採用した際にもらえ、多くの企業が助成金を活用して、雇用に踏み切っています。 ここからは外国人を雇用する際に知っておきたい5つの助成金について見ていきましょう。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、企業が景気などの影響ですぐに解雇するのを防ぐためにうまれた助成金です。助成額は1日最大8,205円支給され、 企業の規模によって大きく変わるのが特徴。厚生労働省に対して雇用調整計画を提出し、支給申請が認められれば助成金を受け取れます。
キャリアアップ助成金
非正規雇用労働者のキャリアアップを目的に、正社員化・待遇改善の取り組みを実施した企業に支給される助成金です。 支給額は3万8千円〜72万円まで対象者によって幅があります。キャリアアップ計画の作成・提出を労働局やハローワークに行えば助成金が受け取れる仕組みです。
業務改善助成金
業務改善助成金は事業内最低賃金を基準以上に引き上げた企業が、設備投資などの援助を目的として支給される助成金です。 助成額はコースや労働者数によっても違い、最大450万円を受け取れる場合もあります。しかし、支給条件が多岐にわたりますので、以下確認しておきましょう。
<支給条件>
- 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる計画を立てる(就業規則に規定等)
- 賃金引上計画に基づき賃金を支払う
- 生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払う
- 解雇等の不交付事由がない
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
人材確保等支援助成金は外国人雇用定着のために、受入れるための労働環境改善を図った企業に支給される助成金です。 助成額は支給対象経費の2/3(上限72万円)もしくは1/2(上限57万円)とされています。支給条件は「雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、 外国人と3ヵ月に1度面談する」「就業マニュアルを全て多言語化する」などが盛り込まれているのが特徴です。
各地方自治体の外国人介護職雇用に関する助成金
地方自治体により制度は異なりますが、外国人介護職雇用に関して手厚い助成金を支給するところもありますので、 所属の自治体に問い合わせてみるとよいと思います。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は介護業界の外国人採用手法と助成金制度を中心に解説しました。 超高齢化の進行により要介護者が急増し、介護施設が飽和している影響もあり、介護業界は深刻な人手不足に陥っています。 まだまだ外国人雇用を敬遠する保守的な介護事業者もあるようですが、実際には外国人介護職の方々の採用ハードルはそんなに高くはありません。 また基準を満たせば助成金がもらえ、より効率的に雇用可能です。 本記事をあらためて参考にし、介護業界で外国人人材の雇用を検討していきましょう。
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