日本で就労するための「在留資格」とは

日本で就労するための「在留資格」とは

日本で就労するための『在留資格』とは

外国人労働者が雇用の段階へ進むには、仕事内容や労働条件に納得するだけでなく、自国内人材とは異なる手続きが必要です。そのためにも受け入れ側は、外国人の就労に関する手続きや流れを把握しておく必要があります。具体的な手続きや流れについては第4章で詳しく説明しますが、その前に『在留資格』について理解することが重要です。
なぜ『在留資格』を強調するかというと、外国人労働者が日本で就労するには絶対必要な手続きだからです。受け入れ企業は、労働者が適切な『在留資格』を持っているかどうかを、必ず就労前に確認する必要があります。

『在留資格』とビザは全くの別モノ

外国人の就労に関して『在留資格』が必要であると述べましたが、混同されやすいのが『ビザ』です。これらは全く異なるもので、企業担当者は正確に認識しておく必要があります。
「ビザ」は日本語で「査証」と呼ばれ、外国人が日本に入国する際に取得する必要がある許可証のことです。一般的に「就労ビザ」と呼ばれるものは、実際には「就労するための在留資格」を指し、単なるビザとは異なります。
簡単に違いを説明すると、日本に3ヶ月以上滞在する外国人は原則として『在留資格』を取得する必要があります。一方、「ビザ」は単に日本に入国するために必要なひとつにしかすぎません。そのため、「ビザ」があるだけで就労が認められているわけではなく、外国人が持っている『在留資格』が就労を許可していない場合、その就労は違法行為となります。

不法就労を未然に防ぐためには

不法就労は、就労している本人だけでなく、雇用先である事業主も罪に問われます。罪名は不法就労助長罪で、懲役3年以下または罰金300万円の罰則が課されます(入管法第73条の2)。
近年、外国人労働者を雇用する企業が増加して、それに伴い不法就労助長罪に問われる事業主も増えているようです。悪質な事業主を除けば、ほとんどの場合、違法状態に気づくのは指摘されてからが多く、このことからも外国人雇用における不法就労が企業課題のひとつであることが理解できます。
このような違法状態に陥る理由は、受け入れ側と外国人労働者自身の認識不足も関係しています。こうした問題は在留資格の性質や確認方法を理解しておけば回避できる問題です。
不法就労が確認された場合、事業主は処罰を受ける可能性があるため、企業の信頼性を守るためにも真摯な対応が求められます。
企業が罰せられないためにも、事前に在留資格を確認することが非常に重要です。また、確認した在留資格が従事しようとする業務に適合しているかも確認しておくことを忘れないでください。

『在留資格』は外国人の日本国内における活動許可証

そもそも在留資格とは、外国人が日本に滞在して一定の活動をするために必要な資格であり、自らの身分を示す公的な資料のひとつです。
在留資格は、滞在目的によって種類が異なるうえ、その種類や就く職種によって滞在できる期間や就労の可否が違います(そのため、受け入れ側は正しい知識で労働者の在留資格を確認する必要があります)。
在留資格を持つ外国人の中でも3ヶ月を超える滞在者には、日本への入国の際、あるいは在留資格手続きの際に出入国在留管理庁から『在留カード』が発給されます。ここには、滞在者について、本人のものであることを示す顔写真の他に、次の事項が記載されています。

  • ・氏名
  • ・生年月日
  • ・性別
  • ・国籍と地域
  • ・住居地
  • ・在留資格
  • ・在留期間
  • ・カードの有効期限

住居地が変更された場合には、裏面に新住所が記載されます。また、カードには、偽変造防止のためのICチップが搭載されており、カードに記載の全部あるいは一部の事項が記録されています。このカードは、滞在者にとっていわゆる身分証そのものですから、常時携帯が必須です。

『在留資格認定証明書』は受け入れ企業または代理人が申請する

ミャンマー人に限ったことではありませんが、受け入れを内定した外国人の在留資格の申請は、受け入れ企業側または外国人本人の代理人という形で行政書士に依頼し、その外国人が居住する予定地もしくは受け入れ企業側の所在地管轄の地方出入国在留管理局で行うのが通常の流れです。
在留資格の申請では、日本政府が定める要件をすべて満たしているかどうかが確認されます。これらの要件は、入管法別表第1の2または1の4に記載されている在留資格と滞在目的が一致しているかどうかが重要です。要件に適合すれば、法務省から在留資格認定証明書が発行されます。
これまでは書面での発行でしたが、2023年3月17日からは電子メールでの受け取りも可能になりました。外国人本人が査証申請や入国申請を行う際には、この電子メールを提示できるようになっています。ただし、代理人がミャンマー共和国駐日大使館で申請する場合は、電子メールを印刷したものを提出する必要がありますので、注意が必要です。

雇用には『外国人雇用状況届』の提出も忘れずに

日本国内で企業が外国人労働者を採用する際、受け入れ企業は厚生労働大臣に対して雇用の開始や終了を届け出る義務があります(2007年に施行)。この届出に使用されるのが、「雇用保険被保険者資格取得届」または「外国人雇用状況届出書」です。一般的には「外国人雇用状況届」と呼ばれます。
この届出の目的は、国が外国人の雇用状況を把握し、外国人労働者の雇用の安定や管理を促進することにあります。
届出書の形式は、雇用保険の加入の有無によって異なります。雇用保険に加入する外国人労働者の場合は「雇用保険被保険者資格取得届」(様式第2号)を使用し、加入しない場合は「外国人雇用状況届出書」(様式第3号)を用います。これらの書類は厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。
これらの届出書には、氏名、生年月日、国籍、性別の他、取得している在留資格の種類、在留期間、在留カードの番号などの基本情報が記載されます。記入の際は在留カードと照合して、誤りがないようにしてください。
届出には期限があり、雇用が開始された日の翌月10日までに行う必要があります。届出先は管轄のハローワークまたはインターネットでも可能です。インターネットでの提出は、e―Govまたは厚生労働省の外国人雇用状況届出システムから電子申請できます。期限内に届出が行われなかったり、誤った情報を提出した場合、30万円以下の罰金が課されます。雇用が開始されたら、早めに届出を行うことが重要です。

トラブルのリスクを回避するには専門家の手を借りるのがベスト

外国人の雇用には、国内で日本人を雇用する場合よりもさまざまなリスクが存在すると感じる人も少なくありません。これらのリスクは、ノウハウのない企業にとっては特に難しいものです。
弊社はミャンマー人雇用に豊富な経験を持ち、外国人労働者と受け入れ企業が雇用契約を交わす際に、双方が適切に認識し理解できるように、日本語とミャンマー語の通訳を提供し、トラブルを未然に防ぐための対策を講じています。
外国人労働者、特にミャンマー人は勤勉で奉仕の精神も高いため、初期段階から信頼関係を築くことができれば、企業にとって大きな利益につながります。これらのメリットを享受するためには、専門家の助けを借りてトラブルの可能性をしっかりと排除する必要があります。

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