日本で起こっている人材不足の問題点と将来への懸念

日本で起こっている人材不足の問題点と将来への懸念

国内の労働力確保が困難

現在の日本は、人口の減少、高齢化、そして少子化が進行しており、自国内だけで人材を確保するのが困難な状況であることは明らかです。
しかし、少子高齢化は留まるところを知らず、この状況を打開するには、外国人労働者の労働力に頼ることは避けられません。現状ですら、外国人労働者の力を借りずに日本の労働力を維持・強化することは不可能と言えるほど、あらゆる業界で外国人労働者の存在は必要不可欠とされています。
この状況をリアルに語ってくれるデータがいくつかあるので、それを見ながら理解を深めていきたいと思います。そこから見えてくるのは、人口減少と高齢化問題の同時進行が生産年齢人口の減少を招き、日本の経済危機を増幅していることです。

人口の減少と高齢化の同時進行で
労働力不足が避けられない

予測すら見えにくい人口減少 2023年、厚生労働省が2070年の人口予測を発表しました(図4)。 日本の人口の推移 そのグラフを見ると、人口減少の曲線が増加に転じる希望は全く見えません。2065年頃には、日本の総人口が1億人を割り込む可能性も予測されています。この2065年という時期は、遠い将来に感じられるかもしれませんが、この予測はコロナ禍の影響が考慮されておらず、将来の不確実性もあります。そのため、予測が前倒しになる可能性もあるのです。
この人口減少の規模感をご理解いただくために、将来の減少が予測される約2500万人ほどで考えてみます。これはどのくらいの規模だと思われますか。現在、九州の人口が約1400万人、北海道は約530万人、四国は約370万人であることを考えると、九州、北海道、四国の人々が約30年間で消え去るというイメージです。

経済を支える生産年齢人口の減少 人口が減るということは同時に、経済を支える要ともいえる生産年齢人口も減っていくということです。厚生労働省発表の「日本の人口ピラミッドの変化」(図5)から生産年齢人口を探ってみます。 日本の人口ピラミッドの変化 2020年の生産年齢人口は7509万人で、総人口に占める割合は60%です。しかし、2 0 4 0 年には6 2 1 3 万人、2070年には4535万人と予測されています。つまり、2 0 7 0 年までに2974万人もの労働力が失われることになります。

世界1位の高齢化率 では、世界的に見て日本の高齢化率はどの程度なのかを見ていきます(図6)。 65歳以上人口割合の推移 2040年半ばには韓国の高齢化率が高くなると予測されていますが、現時点で日本は世界1位となっています。人口が突出して多い団塊の世代(1947~49年生まれ) の方々がすべて75歳となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%になると推計されています。

待ったなしの介護職員不足 これを受けて厚生労働省は、特に介護分野について2025年には32万人、2040年には69万人の介護職員不足になると推計しています(図7)。 介護職員の必要数 さらに2040年には介護職員の必要な数は約280万人とふくれあがって、69万人の介護職員不足になると推計しています。高齢者の介護ができる人材確保の必要性は待ったなしの状況です。

加速化する少子化問題

海外労働者に頼らないと解決しない別の課題が「人口ピラミッドの変化」(図5)から見えてきます。それは少子化問題です。2020年には14歳以下の人口が1503万人でしたが、2070年にはその数が797万人まで減少し、ほぼ半分近くになると予測されています。
こうした少子化による人口減少は、労働力不足を引き起こし、それが経済の停滞につながる可能性を物語っています。これまで国はさまざまな対策を講じてきました。しかし、一時的な効果しか得られず、人口を増やすどころか維持すら難しい状況で、出生率の低下を止めることは難しいままのようです。
女性の社会進出によって、結婚や出産が以前ほど当たり前ではなくなったことも、少子化の原因のひとつに考えられています。個人の幸せのあり方として、結婚や出産を望まない選択を多くの女性が受け入れるようになったことが影響しているのかもしれません。
その変化の背景には、仕事と子育ての両立の難しさ、高学歴化、子育ての負担増、経済的不安定などが挙げられます。さらに、社会経済そのものが、コロナ禍を経て、コロナ禍以前に戻るのではなく、なぜかそのままリストラや雇い止めの増加、物価上昇など、収入の増加の見込みが低い中で支出が増える状況を生み出しています。その結果、若い女性たちは結婚や子どもを持つ意欲を失っているように見受けられます。
もっと他に、少子化による人口減少対策の打つ手はないのでしょうか。国の施策が待たれるところです。

労働力不足は社会のあらゆる基盤を揺るがす

少子高齢化による日本の未来を担う生産年齢人口(15歳~64歳)の減少に対し、政府はこれに対処するため、高齢者の雇用促進や女性の活躍の場の提供などさまざまな施策を実施してきました。また、IT化やオートメーション化など人手に頼らない仕組みも取り入れてきましたが、これらも限界があります。生産年齢人口が増えなければ、これらの施策も一時しのぎに過ぎません。しかも人材不足問題が引き起こすものは、単に労働力不足だけではありません。社会のあらゆる基盤を揺るがし、国民の暮らしに大きな損害を与える可能性があります。医療、教育、物流、公共交通機関など、多くのサービスや設備は、提供する人やそれを支える人が不足すれば安定的に受けられなくなります。例えば医療であれば、提供する人は医師であり、それを支える人は看護師や薬剤師、医療メーカー、病院の事務員、病院を清潔に保つ清掃員などたくさんいます。ところが、それらの人が少なくなれば、安定的にサービスを受けることが難しくなります。それどころか、そのサービスや設備、制度が失われてしまう可能性もあります。
一方で、介護施設の需要は高まっています。高齢になるほど介護を必要とする人が増えるため、介護サービスの拡充や施設の増加が求められます。しかし、介護業界は慢性的な人材不足(図7)に悩まされていて、これが少子化の影響でさらに深刻化しています。このような状況下では、サービスの提供に関する問題が解決するとは思えません。社会全体に影響を及ぼすのではないかと危惧しています。

もはや外国人労働者がいないという選択肢は日本にはない

人材不足を補うために介護施設でもロボットを導入したらどうかという考え方もありますが、実際には導入費用や運用のための教育が必要であり、すべての施設で即座に導入することは困難を極めます。また、介護には一律のアプローチではなく、個々の状況に応じた配慮が必要です。
被介護者の中には、皮膚が弱くなり、力の込め方や触れる場所といった触り方を間違えただけで皮膚が傷ついたり剥がれたりしてしまうような高齢者も多くいます。それだけでなく、その方の症状や体調などは日々変化するものですから、症状や体調などを都度、コミュニケーションを取るなどして把握し、個別に適切な判断を下してこそ適切な世話ができるものです。それらをロボットが相応に対処できるかといえば、今すぐには到底無理な話で、まだまだ人の手が必要な領域です。たとえロボットに置き換えられたとしても安定したサービスの提供にはほど遠く、完全な介護サービスのロボット化は現実的には難しいと思います。こうした人口減少と少子高齢化が進む中、もはや外国人労働者を雇うことなく運営できる産業は日本にはほとんどないのではないでしょうか。
特に介護などの人手不足が深刻な業界では、労働者が集まらないことにより、違法な斡旋業者に頼ることになるリスクもあります。観光ビザで来日させ、オーバーステイで働かせるといった違法な手段をとるところも出てくるかもしれません。
外国人労働者の問題に直面したら、ただやみくもに実行するのではなく、まず正規の手続きに基づいて対処することが重要です。悩む前に、専門の会社に相談することが必要でしょう。そのためにも、業界の事情を熟知した弊社のような外国人労働者送り出し機関に頼って、解決していくことをお勧めします。

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