ミャンマー人労働者の受け入れには「スマートカード」が必須
ミャンマー人労働者の受け入れには『スマートカード』が必須
受け入れる外国人がミャンマー人の場合は、『スマートカード』と呼ばれる海外労働許可証が必要です。
スマートカードは、ミャンマー人が海外で就労する際に発給と所持がミャンマー政府から義務づけられているIDカードでもあります。
このスマートカードがなければ、ミャンマー人は海外で働けません。
スマートカードは、技能実習生用、特定技能用、技術・人文知識・国際業務(技人国。いわゆる高度人材)用に分かれています。
〈技能実習生及び特定技能の場合〉
技能実習生用のスマートカードを持っているミャンマー人が、ミャンマーに帰国せずに日本で特定技能生として資格を変更して働く場合には、スマートカードの有効期限は5年間がありますのでそのまま技能実習生用のスマートカードで継続して働くことができ、5年を過ぎても日本に滞在することが可能です。
そのため、技能実習終了後にミャンマーに一時帰国せず特定技能になる方が多いですが、この場合は一時帰国しなくても実質的には許されています。
ただし、ミャンマーに一時帰国して再入国する際に、スマートカードの期限が切れているとミャンマー出国が不可なので、あらためて特定技能用のスマートカードを取得する必要があります。
日本側では発給できませんので、ミャンマーで発給する必要があります。このスマートカード取得の流れは、次のようになっています。
- 1.送り出し機関がミャンマー政府に対して次の7つの書類を申請します。
- ① 監理団体が作成したデマンドレター(求人票)
- ② 監理団体と送り出し機関の間で取り決めた協定書の写し
- ③ 受け入れ先企業の捺印がある雇用契約書
- ④ 雇用条件が書かれた写し
- ⑤ 現場写真
- ⑥ 寮写真又は仮の間取り図
- 2 .これらがミャンマー政府の外務省を通してミャンマー連邦共和国駐日大使館に届けられます。
- 3 .大使館から監理団体に対して、監理団体と受け入れ先企業についての書類を求めるので、監理団体がそれらの書類を提出し、大使館の審査を待ちます。
- 4 .審査が終わると、大使館のフェイスブックページにデマンドレター申請の審査済の企業リストが掲載されます。
送り出し機関から掲載されたリストのスクリーンショットで「送り出すプロセスの勧め許可書」を労働省に申請し、申請からおよそ1週間後に労働省から送り出し機関にメールにて許可書を送ります。 - 5 .許可書をメールでいただいた後に、送り出し機関が所在する地域の市役所に行って、次の書類2種類に市役所役員の署名をいただく必要があります。
- ① 企業様の押印、送り出し機関の代表者の押印、内定者の署名がある雇用契約書・条件書
- ② 労働省が定めた送り出し機関と内定者の間の同意書
- 6.海外での就労予定のミャンマー人に対してミャンマー政府の労働省が1日間の講習(ミャウダゴン講習)を実施し、修了すれば講習修了証明書を発行します。
(※本講習の予約のためにCOE、査証、市役所で締結済の書類等が必要)
(※前述記載の「監理団体」は特定技能の場合、監理団体の他「登録支援機関」、「有料職業紹介会社」、「行政書士」、「受入企業」が想定されます)
なお、在留資格証明書の発行後に査証の申請ができますので、査証と前述のミャウダゴン講習の修了証明書が発行された後にようやくスマートカードが申請できます。
このスマートカードの申請はミャンマー人本人が行いますが、発給されるまでには4ヶ月~6ヶ月ほどかかるため、企業側はそのことを念頭に置いて受け入れの計画をしましょう。
先にご紹介したスマートカードの発給には最短でも約4ヶ月かかるとお伝えしましたが、『在留資格認定証明書』の有効期限がそれよりも短いため、何をいつ申請するかのスケジュール管理が重要になってきます。もしもスマートカードの申請が後になってしまった場合、在留資格認定証明書の有効期限が切れてしまうといったことにもなりかねないからです。
こうしたスケジュール管理は、やるべきことが把握できていないと漏れや遅れが生じるリスクを高めますから、自社だけでどうにかしようとせずに専門家に相談しつつ進めることをお勧めします。
万が一、スケジュールが変わってしまうことになれば、自社だけでなく就労を希望している外国人労働者にも大きな影響が出ます。彼ら彼女らは、日本に来るために多額の費用を工面して訪日するわけですから、訪日のタイミングがずれ込めば、そのぶんだけ収入が途絶える期間が長くなりかねません。十分、注意して計画を進めていきましょう。
〈技人国の場合〉技人国のスマートカード発給については、デマンドレター申請、在日本ミャンマー大使館への書類提出などが不要になり、次の流れでスマートカードが発給されます。
- 1.在留資格申請・発行
- 2.査証申請・発行
- 3.ミャウダゴン講習の予約及び受講
- 4.スマートカード申請及び発行
査証申請開始からスマートカード発給までは約1ヶ月半ほどの時間を要します。
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