技能実習生の面接・配属までの手続きと流れ(ミャンマー編)
技能実習生としてミャンマーの方を面接して配属するまでの流れについてまとめました。 自社でどのような準備をしておく必要があるかがわかります。 またミャンマー独自の「スマートカード」の発行の流れも記載しておりますので参考にしてください。
今回は技能実習生としてミャンマーの方を受け入れるまでの流れについてまとめました。
本記事を読むことで、ミャンマー人技能実習生受け入れに際してどのような手続きが必要で、自社でどのような準備をしておく必要があるかがわかります。
またミャンマー独自の「スマートカード」の発行の流れも記載しておりますので参考にしてください。
目次
面接実施までの流れ(監理団体を利用する場合)
技能実習希望者が行うこと
日本の技能実習制度を利用して日本で実習を受けたい方(ミャンマー人)は、まず送り出し機関に希望を伝えることからスタートします。
送り出し機関は技能実習希望者に対して技能実習の詳しい説明を行い、意思確認を行うとともに技能実習生としての適性をテストで評価します。無事テストを通過すれば受け入れ機関の面接を受けることができるようになります。
企業など技能実習生受け入れ機関が行うこと
企業など技能実習生受け入れ機関(正式には「実習実施者」といいます)は、面接を希望する約1か月までに要望書(受け入れ条件が記載されたもの)、雇用条件を監理団体経由で送り出し機関に送付する必要があります。
面接の実施から入国手続きまで
送り出し機関は、面接希望者に対して実習実施者の実習内容・雇用条件をできる限り詳しく事前に伝えます。これは、誤解やミスマッチを防ぐためにとても重要なことです。
昨今、技能実習制度に関しての批判が内外から湧き上がっていますが、一部の悪質な送り出し機関が「事前の十分な説明もないまま、無理に多額の借金を背負わせて、騙すように日本に送り出す」ことが大きな原因となっており、面接前に実習実施者の実習内容・雇用条件をできる限り詳しく説明しておくことにより問題発生を未然に防ぐことができます。
面接は受け入れ機関の担当者が現地を訪問し、技能実習生候補を対面で面接します。(Web面接での実施も可能で、現在コロナの影響もありWeb面接を実施するケースがほとんどになっています。)
面接を通過すれば、技能実習生と契約を結ぶため、雇用条件について再度実習実施者から通訳を交えて面接内定者に説明を行います。
面接内定者が雇用条件に同意すれば雇用契約を締結し、晴れて入国前研修がスタートします。
その後は、実習実施者が監理団体を通じて外国人技能実習機構への手続きを行い、在留資格認定証明書を取り付けられれば日本側での入国前手続きは完了です。
その際は、技能実習計画、監理団体の情報書類、送り出し機関作成書類などの提出が必要です。
ミャンマー独自のスマートカード制度について
ミャンマーの場合、国外でミャンマー人が就労する場合にミャンマー国内で「スマートカード」の申請が必要です。
スマートカードの申請に必要なデマンドレター申請許可証の取得までの流れ
- デマンドレター(※1)
- 監理団体と送り出し機関の協定書の写し
- 企業捺印済みの雇用契約書(※2)
- 雇用条件の写し
※2 技能実習は労働ではなく実習で在留しますが、労働基準法に定める雇用契約を結ぶ必要があります。
スマートカードを技能実習生が取得するまでの流れ
- デマンドレター申請許可証
- ミャウダゴン講習の受講終了証明書
- 在留資格認定証明書
入国後の流れ
入国後は監理団体で原則1カ月間の入国後研修を行い、受け入れ機関で実習を受けるまでのインプットを行います。(日本語の学習・日本の生活に慣れるための研修が義務化されています)
その後は、いよいよ受け入れ機関での実習がスタートします。通常実習開始(配属)は面接から9カ月程度かかりますので、逆算して準備しておくとよいでしょう。
企業が面接・配属までに特に対応しておきたいこと
技能実習生に多くを求めている企業(実習実施者)は少ないと思います。
能力・スキルよりもむしろ安定的に3年間実習を受けてくれるかどうかを最大の焦点にされている企業担当者は多いのではないでしょうか。
失踪防止対策1 ~送り出し機関の選び方~
技能実習生の約2%が受け入れ機関から逃げ出しており、いかにして失踪を防止するかを重要視している担当者も多いと思います。
失踪が発生する理由としては、まず送り出し側に起因するものとして、悪質な送り出し機関またはブローカーに高い手数料を支払わされ、高額な借金を背負い来日し、返済難に陥ることが原因です。悪質な送り出し機関やブローカーは事実を隠すことが巧妙ですので、これを実習実施者が見破ることは至難の技です。
そもそも実習実施者が送り出し機関を選ぶことは難しく、監理団体の推薦する送り出し機関を信用して利用するしかありません。ですから信頼できる監理団体を選ぶことが最も大切です。
失踪防止対策2 ~雇用条件、残業、手取り額などの確認~
技能実習生にとって、最も大切なのは得られる給与の額です。
実習先から支払われる具体的な給与額と残業の量についてしっかりと技能実習生に伝える必要があります。前述したとおり、面接前と面接後に通訳をつけて詳細に伝えて、寸分の狂いもなく技能実習生に納得してもらっておくことが大切です。
悪質な送り出し機関やブローカーなどにより、実習後にバイトをすれば、月収30万は稼げるなどと説明を受けている可能性もあるので、実習実施者から事実を正しく伝えてください。
また、特にミャンマーでは給与支給額を全額労働者が受け取り、自分で税金などを申告している場合が多いので、給与控除額についても、十分な理解を求める必要があります。手取り額が「話が違う」となったら、失踪などの問題が避けられなくなりますので、とても重要です。
失踪防止対策3 ~職場の理解と配慮~
また、次いで職場でストレスを抱えて失踪することもあります。日本語の能力の問題もありますが、一緒に働く仲間がミャンマーの文化・風習を理解・配慮してあげられていないことによるストレスも当然にあります。
そうならないように、技能実習生の配属が決定しましたら、ミャンマーの文化・風習の理解、日本語が不自由であることを前提においた上で、どのようにコミュニケーションをとっていくか配属先の組織長とすり合わせを行っておいてください。
例えば、技能実習生が「わかりました」と答えたとき、その多くは言われた日本語が理解できていないのに「わかりました」と答えている場合が多いです。技能実習生の「わかりました」を鵜呑みにすると重大な職場事故などに繋がりますので、本当に理解しているか再度質問するなど、細心の注意が必要です。
ミャンマーの基本情報(参考)
ミャンマーは多民族国家です。ビルマ族が約6割を占め、その他は小さな部族が約100あり、事前に文化・風習を詳細まで把握することは難しいです。
しかし、宗教は9割以上を仏教が占めており(次いでキリスト教、イスラム教)、年上に敬意を表する点は、日本とよく似ています。
ただ、大家族を形成している家が多く、家長の意向をとても大切にする点は昔の日本によく似ており、今の日本と比べると大きな差があります。技能実習生が重要な判断を行う際に家長の意向が反映されている可能性があることを知っておいてください。
なお、ミャンマー語は日本語と文法構成が似ており、日本語習得が早い特徴もあります。日本語でうまく会話できないストレスから失踪するケースもあるので、その点はある程度安心できる国かもしれません。
まとめ
ミャンマーから人を受け入れる場合は、「スマートカード」と呼ばれる独自のカードを技能実習生が入手する必要があります。そこのみ他国と違う特徴で、他は他国と同様な流れとなっています。
また事前準備の最大のポイントは、いかに収入・支出について具体的なイメージを技能実習生に事前にすりあわせることができるかになります。
失踪リスクの主な原因は、返済計画の破綻、家族への仕送り計画の破綻となっており、技能実習生に対する収入・支出の説明ができていないと失踪するリスクにつながります。
このため、ミャンマー人技能実習生を受け入れる場合は、信頼できる監理団体を通じて優良な送り出し機関を利用し、面接の際は具体的な収入のイメージ・支出のイメージを必ず伝えて、問題発生を未然に防止しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。スムーズなミャンマー人技能実習生の受け入れのお役に立てれば幸いです。
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