技能実習 自動車整備業|外国人技能実習生を雇用するには?
技能実習「自動車整備業」について解説します。自動車整備業での人手不足の原因や実情から雇用の方法・必須業務の実施・第1号技能実習生の日常点検基準の詳しい内容について解説します。
目次
「採用活動がなかなか上手くいかないから、技能実習生の雇用方法を知りたい」など、自動車整備業の職種で技能実習生の雇用方法について気になる方も多いのではないでしょうか。
実際、国土交通省が近年技能実習生の採用に積極的な姿勢を見せており、自動車点検などで外国人の姿を見る機会も増えました。企業も技能実習生の雇用に踏み切れば、今まで解決できなかった労働力不足問題も克服可能です。この記事では、自動車整備業における外国人技能実習生の雇用方法を中心に解説していきます。
自動車整備業は労働力不足問題に直面している
現在、自動車整備業は深刻な労働力不足問題に直面しています。国土交通省の発表によれば、自動車整備業の従業員はほぼ横ばいに推移していますが、有効求人倍率は年々上昇傾向にあるのが特徴。平成29年自動車整備業の有効求人倍率は「3.73」倍を記録しており、全業種合計の1.54倍を大きく上回っています。さらに、整備工場に対しての自動車整備士過不足アンケートでは、約半数が「不足・やや不足」と回答しており、自動車整備業の労働力不足問題が見て取れる結果となっているのが現状です。実際に平成28年4月より、自動車整備事業においても技能実習生の受入を開始し、各企業で技能実習生を積極的に雇用し人手不足を解消する動きが見られています。
自動車整備業が人手不足に陥っている理由
自動車整備業が人手不足に陥っている理由は一体何でしょうか?
ここからは人手不足の理由について説明していきます。
人手不足の理由
若者の車離れ
自動車整備士が人手不足に陥っている最大の理由は、若者の車離れです。現在はネット通販の定着やレンタカー・カーシェアリングの普及により、車を所持しなくても生活可能な環境が整備されました。とくにネット通販の定着はレンタルDVDや家電量販店にも大きく影響を与え、時代の変化が顕著に表れています。
また、日本トレンドリサーチのアンケート結果によると、免許を持たない人の約4割が「必要性を感じない」と答えています。加えて、免許を持つ人の約6割が「お金が掛かるから」と回答している背景からも、車を持ちたがらない人が年々上昇傾向にあるのです。結果、若者の車に対する興味が薄くなり、自動車整備業に携わる人が減っていきます。若い世代の車離れは自動車整備業に大きく打撃を与えているのです。
自動車整備業の大半は中小企業
例えば、自動車整備士に対して「労働時間が必要以上に長い」「給料が安い」など、良いイメージを持たない方が多いのが一般的。実際、自動車整備業の大半は中小企業であり、労働者一人に対しての負担が増しています。加えて、資金が豊富ではないため給与水準が低く設定されているのが事実。従業員10人以下で経営している中小企業も多く、好条件を提示して人材を採用できない現状があります。自動車整備業の大半は中小企業であるのも人手不足に陥っている原因なのです。
少子高齢化の進展
自動車整備業が人手不足に陥っているのは、少子高齢化の進展も一因です。前述のとおり、若い世代の車離れが進んでいますが、そもそも若年層が減少しているも影響があります。企業が優秀な若い自動車整備士の雇用を目指しても、母数自体が減っているので更に困難を極めているのです。企業を支えるのは高齢を迎える人材であるため、若い世代が魅力と思える企業に変化できない体質もあるでしょう。日本が直面している少子高齢化の進展は自動車整備業にも大きな影響を与えています。
自動車整備業で技能実習生を雇用するには?
自動車整備業で技能実習生を雇用すると一人の技能実習生につき、3年または5年技能実習生を受け入れることができます。
ここでは技能実習生を受け入れることに必要な基本事項について確認していきましょう。
監理団体への加入
自動車整備業で技能実習生を雇用する場合、非営利団体である「監理団体」に技能実習生の受入申し込みを行う必要があります。監理団体とは、外国人技能実習生を受入れるために入国手続きや語学研修などを全面的にサポートする団体です。監理団体には商工会議所・中小企業団体・農業協同組合・職業訓練法人などがあり、自社の条件に合った団体から選択しましょう。監理団体が技能実習生を受入れ、企業の雇用体制が整えば、無事監理団体より技能実習生の受入が完了です。現在、監理団体は4000以上存在しており、雇用について疑問点があれば相談してみましょう。
自動車整備業における必須業務の実施
自動車整備作業において、技能実習生を雇用するには必須業務を習得させる必要があります。「自動車整備作業」「安全衛生業務」2点があり、それぞれ見ていきましょう。
―自動車整備作業―
第1~3号技能実習生ごとに自動車整備作業の習得が必須です。例えば、第1号技能実習生の自動車整備必須作業は「自動車点検整備作業」が対象となります。具体的には法定点検に定める点検を自分ひとりで判断・整備の補助ができ、軽作業であるタイヤ・オイル交換なども全般的に経験することが望ましいとされています。また、第1号技能実習生の日常点検基準のさらに詳しい内容は以下のとおりです。
ブレーキ
- 1.ブレーキ・ペダルの踏みしろが適当で、ブレーキの効きが十分である。
- 2.ブレーキの液量が適当である。
- 3.空気圧力の上がり具合が不良でない。
- 4.ブレーキ・ペダルを踏み込んで放した場合にブレーキ・バルブからの排気音が正常である。
- 5.駐車ブレーキ・レバーの引きしろが適当である。
タイヤ
- 1.タイヤの空気圧が適当である。
- 2.亀裂及び損傷がない。
- 3.異状な摩耗がない。
- 4.溝の深さが十分である。
- 5.ディスク・ホイールの取付け状態が不良でない
バッテリ
- 液量が適当である。
原動機
- 1.冷却水の量が適当である。
- 2.ファン・ベルトの張り具合が適当であり、かつ、ファン・ベルトに損傷がない。
- 3.エンジン・オイルの量が適当である。
- 4.原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、異音がない。
- 5.低速及び加速の状態が適当である。
灯火装置及び 方向指示器
- 点灯又は点滅具合が不良でなく、かつ、汚れ及び損傷がない。
ウインド・ウォッシャ及びワイパー
- 1.ウインド・ウォッシャの液量が適当であり、かつ、噴射状態 が不良でない。
- 2.ワイパーの払拭状態が不良でない。
エアタンク
- エアタンクに凝水がない。
運行において異状が認められた箇所
- 当該箇所に異状がないこと。
以上のように、まずは監理団体への加入を行い、外国人技能実習生の受入体制を整えていきましょう。その上で、第1~3号技能実習生ごとに定められた自動車整備作業の必須項目の習得を進めて行く必要があります。2点をクリアできれば、晴れて技能実習生の雇用が成立しますので、まずは決められた基準を漏れなく確認していきましょう。
自動車整備の技能実習評価試験について
技能実習1号を受け入れて1年後、技能実習生が技能実習2号を取得するために、技能実習評価試験の受験が必要です。
試験に合格できるように実習を計画する必要があります。
試験内容や試験実施については一般社団法人日本自動車整備復興会連合会「外国人技能実習評価試験」をご確認ください。
さいごに
いかがでしたでしょうか。今回は自動車整備業で外国人技能実習生の雇用方法について徹底解説しました。自動車業界は若者の車離れの影響もあり、深刻な人手不足に陥っています。だからこそ、技能実習生の雇用は労働力不足解消と業績向上に繋がる大きなメリットです。雇用するためには「監理団体への加入」「自動車整備作業における必須業務の実施」の2点が必要となります。本記事をあらためて参考にし、自動車整備業で技能実習生の雇用を検討していきましょう。
参照:外国人技能実習制度自動車整備事業協議会「自動車整備技能実習ガイドライン」
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