技能実習生「監理団体」とは|見極め方

技能実習生の管理及び受入先企業の監督を担うのが監理団体です。商工会議所や協同組合、公益社団法人などの非営利組織が対象となります。本記事では、監理団体の概要や、選ぶ時のポイントについて解説します。

技能実習生「監理団体」とは|見極め方

目次

  1. 技能実習「監理団体」とは
    1. 技能実習「監理団体」の種類
    2. 技能実習「監理団体」の役割
  2. 監理団体の見極め方
  3. さいごに

団体監理型による技能実習生の受入では、監理団体の選び方が大切です。本記事では、監理団体の概要や、選ぶ時のポイントについて解説します。

1.技能実習「監理団体」とは

技能実習生の管理及び受入先企業の監督を担うのが監理団体です。商工会議所や協同組合、公益社団法人などの非営利組織が対象となります。

監理団体の主な業務としては、「技能実習生のサポート業務」「受入企業で適正な実習が行われているか確認する監理業務」です。

「技能実習生のサポート業務」・・・技能実習生が日本企業で実習をするために、受入企業と協力し求人票の作成、面接、入国手続きなど一連のサポートを行います。

「受け入れ企業で適正な実習が行われているか確認する監理業務」・・・技能実習生が受入企業で問題なく実習ができているか定期的に受入企業まで出向き監理をします。技能実習生は何かとニュースに取り上げられることがあります。賃金未払いやサービス残業や職場でのいじめなど、問題が起こった際は監理団体が速やかに対処する必要があります。

1-1 技能実習「監理団体」の種類

監理団体には2種類あります。

特定監理事業:1号・2号の採用が可能(滞在できる期間は最大3年)

一般監理事業:1号・2号・3号の採用が可能(滞在できる期間は最大5年)

一般監理事業は特定監理事業と異なり、技能実習3 号を受入れることができ、採用人数も通常の2倍となります。例えば、職員数が30人の会社の場合、技能実習1号は、通常3人までですが、一般監理では2倍の6人まで採用できます。
一般監理事業の監理団体は「優良監理団体」「一般監理団体」とも呼ばれます。
つまり一般監理事業の監理団体(優良監理団体)は、特定監理事業の監理団体より優良な監理団体であるわけですが、特定監理事業の監理団体が一般監理事業の監理団体に昇格するには、優良要件に適合する必要があります。優良要件はポイント制になっており、一定のポイントを上回ることで一般監理事業に昇格できます。
また介護職種の受入れに関しては、さらに特別な優良要件が定められており、とても高いハードルをクリアしないと介護職種における一般管理事業の監理団体にはなれません。

1-2 技能実習「監理団体」の役割

監理団体は、技能実習を正しく行い、実習生を守るための仕事をしています。最も重要な仕事の1つは定期的な監査であり、受入先企業での未払いや労働基準法違反を監督します。その他にも、技能実習生を問題なく受け入れられるよう、様々なサポートをしています。ここでは、実習生を採用する流れと共に、監理団体の仕事について見ていきましょう。

【入国前】

〇採用のサポート

送り出し機関を通じ実習生の募集をかけ、選考や面談、雇用契約などのサポートをします。面接の際は、以前は受入れ企業の職員と共に現地へ赴いていました。しかし、近頃はコロナ禍によって現地入りが難しいため、オンライン面接が主流になっています。

〇技能実習計画書の作成を指導

技能実習計画書の作成時、監理団体は、実習生が働く場所や寝泊りする部屋を視察します。また、内容が認定基準を満たしているか、出入国や労働法を遵守しているか、技能の習得方法や職場環境は整っているかなどの観点でチェックをします。

〇ビザに関する書類作成

地方入国管理局(正式名は地方出入国在留管理官署)に「在留資格認定証明書」の交付申請を提出し、査証申請を行います。

【入国後】

〇入国後の講習

技能実習1号は日本に来た後、座学での入国後講習が必須です。入国後講習では、監理団体又は委託された日本語学校の講師等が基礎知識を教えます。内容は、基本の日本語や交通ルール・ゴミの出し方などの生活に必要な知識、法律違反に気づいた時の対応方法などです。なお、この期間中は、受入企業の仕事をすることは禁止されています。

○巡回

技能実習1号の間の1年間については、監理団体は受入企業を1ヶ月に1回巡回をする必要があります。

〇定期監査

監理団体は3か月に1度、受入企業の定期監査をします。受入企業が計画通りに実習をさせているか、不法就労や賃金面で問題がないかを調査します。具体的な内容は、技能実習が正しく行われているかの確認、責任者などからの報告、技能実習生との面談、会社の設備や帳簿の閲覧、泊まる部屋などの環境確認です。

〇相談体制の構築

実習生からの相談を聞き、適切に対応します。母国語での相談も可能となっています。

〇帰国旅費の負担

技能実習生が帰国する際には、監理団体が帰国旅費の全額を負担します。また、自然災害やその他の理由で帰国が難しくなった場合でも、帰国できるまでの間、住居やビザなどの生活面の支援をします。

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2.監理団体の見極め方


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監理団体は全国で4,000か所以上あり、良い監理団体もあればそうではない団体も存在します。厚生労働省の報告によれば、法律違反による監理団体許可の取り消しが、令和元年度に4件、令和2年度に13件ありました。取り消し理由は、「実習実施者に対する監査を適切に行っていなかった」、「認定計画に従って入国後講習を実施していなかった」、「外国の送出機関との不適正な内容の取り決めを交わしていた」などです。こうした監理団体を選んでしまうと、受入企業や実習生もトラブルに巻き込まれてしまいます。
では、良い監理団体を見極めるにはどうしたら良いでしょうか。ここでは、監理団体を選ぶポイントについて説明します。

〇一般監理事業か特定監理事業かを確認する

監理団体のうち、優良要件に適合する団体は、一般監理事業を行うことが 一般監理事業の場合、技能実習1号、2号に加え、3号まで受け入れが可能となります。また、実習実施者である受入企業も優良である場合には、実習生の受け入れ人数が、基本人数枠の倍となります。技能実習生を長く受け入れたい場合、一般監理事業を行う団体を選ぶのが良いでしょう。
また前述のとおり、介護職種においては「介護職種における一般管理事業を行う団体」が別途定められていますので注意が必要です。

〇監理団体の実績と職員人数を確認する

実績が多い監理団体であれば、経験を積んでいて、様々なトラブルにも対応できるでしょう。 また、実績と共に、職員の人数も確認しましょう。監理団体は、現地での面接準備や地方入国管理局での手続き、各種書類の作成、企業訪問、技能実習生の予期せぬトラブル対応など、業務内容が多岐に渡ります。膨大な量の業務に対応するには、ある程度の人員が必要です。そのため、監理団体の規模と職員数も確認しましょう。

〇監理団体に通訳が常駐しているか確認する

技能実習法では、通訳の常駐は義務付けられていませんが、トラブルがあった時、いつでも対応できる通訳者がいることは安心感につながります。
技能実習生は、慣れない環境で仕事をし、生活をします。その中で悩みが生じるのは当然のことでしょう。しかし、日本語で自分の悩みを伝えるのは難しいことです。母国の価値観を理解し、母国語で対応してくれる通訳がいれば、悩みを話しやすく、問題をスムーズに解決できるかもしれません。

〇監理団体の担当者に知識があるか確認する

技能実習生を受け入れることになれば、監理団体と数年間やりとりをする必要があります。その際、担当者を信頼できなければ、スムーズな受け入れは難しいかもしれません。そのため、担当者に知識や受け入れのノウハウはあるか、困った時にアドバイスを求められるかを確認しましょう。

〇入国前後の教育体制を確認する

技能実習生は、日本とは異なる文化・環境の元で生活しています。日本で働くためには、日本語の学習はもちろんのこと、ゴミの出し方や非常時の対応など、生活面での研修が必要です。監理団体が行う講習の方法について確認しましょう。確認するポイントは以下のとおりです。

  1. ・入国前に日本語教育が行われているか、また講習内容はどのようなものか

    現地での講習は必須ではありませんが、一定期間行うことにより、入国後2か月間の講習を最大で半分に短縮することができます。そのため、ほぼ全ての監理団体で、入国前の日本語学習を行っています。講習時間やカリキュラム、日本人講師であるかなどを確認しましょう。

  2. ・介護職種の場合

    介護職種の場合は、特別なルールが定められています。
    N4と呼ばれる日本語力がないと日本に入国できませんし、看護または介護に関する資格を有するか、または150時間以上の介護専門教育を現地で履修する必要がありますので、送り出し機関による教育体制があるかどうかを確認しましょう。

  3. ・入国後の講習内容はどのようなものか

    技能実習1号として日本へ来た場合、原則として最初の2か月間(入国前に一定期間の講習を受講した場合、1か月)は講習が必須となります。この講習でのカリキュラムや生活面での指導内容を確認しましょう。

  4. ・企業が実習生を受け入れた後、日本語学習や技能検定試験のサポートを行ってくれるか

    実習が開始された後でも、日本語能力が低いなど、検定試験の勉強方法がわからないなどの問題が出てくるかもしれません。そんな時、どのような対応を行ってくれるか確認しましょう。

受入企業が監理団体に支払う費用は、監理団体への加入費や実習生の渡航費、現地での事前講習費、監査指導費(いわゆる管理費)など、トータルで数十万円かかります。
受入企業としては、なるべくコストを抑えたいところですが、監理団体を安さだけで選んでしまうと、最低限のサービスしか受けられない可能性があります。近頃は技能実習法の運用がかなり厳格になってきており、外国人技能実習機構の検査などをクリアするにはかなりの労力がかかりますので、自社の法令違反を防ぐためにも、費用だけで判断することは避けましょう。
また、監理団体は手数料をとることを法律で禁止されています。見積もりを取る際には、各項目の料金体系が明確であるかも確認しましょう。

3.さいごに

監理団体とは、団体監理型で技能実習生を受け入れる時の組織です。主な役割は、技能実習を適正に行うことや技能実習生を保護することで、具体的には、現地での採用に関わる手続きや技能実習計画などの指導、入国後の講習、定期監査などを行います。現在、全国に4,000か所以上の団体があり、良い監理団体を選ぶことが大切です。選ぶ時には、実績や社内体制、担当者の対応、費用などがポイントになります。まずは、希望する条件を明確にした上で、複数の監理団体に話を聞き、自社のニーズに合う監理団体を探すことをおすすめします。

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