技能実習生の住居基準・水道光熱費・生活備品は?
この記事では、技能実習生の住居基準・水道光熱費・生活備品について解説します。 技能実習生を受け入れる際、企業では職場環境を整備するだけではなく、実習生の日常生活をサポートする必要があります。
目次
技能実習生を受け入れる際、企業(実習実施者)では職場環境を整備するだけではなく、技能実習生の日常生活をサポートする必要があります。 では、技能実習生が初めて日本に来る時、受け入れ企業ではどのような準備をすれば良いでしょうか。 この記事では、技能実習生の住居基準・水道光熱費・生活備品について解説します。
1.技能実習生の受け入れ準備はどこまですれば良い?
技能実習制度の運用要領には、「実習実施者は、技能実習生が健康で快適な実習生活を送れるようにするため、快適な住環境を確保するとともに、
食生活、医療等についての適切な助言及び援助を行うことができる体制を整備する必要がある。」とあります。
そのため、受け入れ企業が、技能実習生の住居の確保、水道光熱費の手続き、日本で生活するための物品の準備を行う必要があります。
技能実習生が実習を開始した後の家賃や生活費は技能実習生の負担となりますが、実習開始前の準備は、受け入れ企業が行います。
技能実習生の待遇については、住居が劣悪な環境であったり、家賃や水道光熱費を必要以上に徴収されたりするなどのトラブルが過去に相次ぎました。そこで2017年に制定された技能実習法では、
技能実習生を保護するために、生活環境についても様々な基準が定められています。
参考:技能実習制度運用要領 出入国在留管理庁・厚生労働省
2.外国人技能実習生の住居基準とは?
技能実習生が安全で健康的な生活を送れるよう、技能実習制度運用要領で住居や家賃の基準、条件が定められています。
2-1 技能実習生の住居基準
部屋に関する基準
- 寝る場所は、1人につき4.5㎡(約3畳)以上を確保すること。
- 1人ずつ収納スペースを確保し、施錠が可能で持ち出しできないようにすること。
例えば、収納ボックスを置いたり、押し入れの中を分けただけでは収納設備としては認められません。 - 部屋の面積7分の1以上の採光できる窓があること。
- 暖房設備があること。
- 日勤、夜勤の技能実習生がいる場合は、活動時間が違うため、寝室を別にすること。
部屋以外の設備に関する基準
- 食堂やキッチンがある場合、十分な照明と換気設備を整え、食器を清潔に保管する場所を確保し、害虫などを防ぐ環境を整えること。
- トイレ、洗面所、お風呂場、洗濯する場所を設けること。
- 2階以上に寝室がある場合、安全な場所に逃げられる階段が1か所(収容人数が15人以上の場合は2か所以上)あること。
- 共用部分については、感染症の予防のため、衛生管理を行うこと。
環境などに関する基準
- 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話をする密接場面の3つの密を避ける対応を行うこと。
- 宿泊施設は、安全な場所であること。具体的には、爆発物など火災の危険がない、衛生上有害な場所でない、騒音や振動が少ない、自然災害の危険がない場所であること。
- 消火設備が十分であること
事業の附属寄宿舎に該当する場合の基準
労働基準法では、以下の基準を満たす宿泊施設は「事業の附属寄宿舎」となります。
- 常態的に相当人数の労働者が宿泊し、共同生活の実態を備えていること
- 独立又は区画された施設であること
- 事業経営の必要上その一部として設けられているような事業との関連をもっていること 例えば、一軒家を借り上げ、技能実習生が複数人で共同生活を送る場合は寄宿舎とみなされるでしょう。 宿泊場所が寄宿舎に当てはまる場合、「寄宿舎規則」を作成し、次のことについて労働基準監督署に届ける必要があります。
- 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
- 行事に関する事項
- 食事に関する事項
- 安全及び衛生に関する事項
- 建設物及び設備の管理に関する事項
2-2 技能実習生の家賃
技能実習生は受け入れ企業が提供する6畳程度の部屋に2人で生活するケースが多く、 技能実習生が受け入れ企業に支払う家賃は2万円前後のようです。技能実習法では、技能実習生の生活に支障をきたさぬよう、 家賃は実費を超えた徴収を禁止しています。 技能実習生が住む場所は、社員寮や民間のアパートなどがありますが、家賃は次のように決められています。 ・社宅や寮などの会社が所有する物件の場合 建物の築年数や改修費用、住む人数などを考慮して計算した額を徴収します。 ・アパートや一軒家などの借上物件の場合 家賃を、住む技能実習生の人数で割り、その費用以内の額を徴収します。 借り上げ物件の場合、毎月の家賃に加えて、管理費や共益費を技能実習生に負担してもらうことは可能です。しかし、 敷金や礼金、保証金、仲介手数料などの初期費用は、受け入れ企業が負担することになります。
技能実習生の宿泊施設は、技能実習計画認定申請書に記載する必要があります。 技能実習計画は実習開始予定日の4か月前までに提出する必要があるため、早めに宿泊施設の確保を行いましょう。
3.技能実習生の水道光熱費、生活用品について
日本での生活に必要な物品は受け入れ企業が準備しますが、実習開始後の水道光熱費や生活費は技能実習生が支払います。 ここでは、技能実習生が支払う費用と企業が準備する物について説明します。
3-1 技能実習生の水道光熱費
水道光熱費は、技能実習生が支払います。徴収する金額は、水道・電気・ガス会社から請求された費用を、 住んでいる人数で割った金額以下でなければなりません。例えば、1部屋に2人で住んでいて、水道光熱費が2万円だった場合、 技能実習生が負担するのは1万円以下となります。技能実習生が毎月支払う費用については丁寧な説明を行い、企業と技能実習生の間で合意が必要です。 給与から天引きする場合は、賃金控除の協定書が必要となりますので注意しましょう。後のトラブルを避けるため、協定書の内容は、 母国語での書面もあると良いでしょう。
3-2 技能実習生の生活用品
Wi-Fi環境の整備
技能実習生の生活で欠かせないのがインターネット環境です。技能実習生の中には、母国にいる家族と毎日ビデオ通話をする人もいます。 そのため、技能実習生が入居後すぐにWi-Fiを使えよう準備しておきましょう。技能実習生本人がWi-Fiを契約する方法もありますが、料金を滞納したり、 帰国時に違約金が発生するなどのトラブルが生じる可能性があります。受け入れ企業で法人契約を結び、技能実習生から使用料を徴収するのがスムーズでしょう。 水道光熱費と同様、給与から控除する場合は賃金控除の協定書が必要となります。
自転車の準備と自転車保険の登録
宿泊場所から勤務地まで距離がある場合は、自転車を準備することをおすすめします。その際、自転車保険にも加入しましょう。 神奈川県や埼玉県などでは、自転車保険の加入が義務づけられています。通勤中の事故の場合は労災が適用されますが、休日の事故の場合、自己負担となります。 そのため、どの地域に住んでいても、自転車保険に加入するのが良いでしょう。
生活用品の準備
技能実習生がすぐに生活できる環境を準備しましょう。準備する物は、日本人が1人暮らしをする際に必要な物と同じです。 具体的には、冷蔵庫や洗濯機、掃除機、炊飯器などの家電や寝具、キッチン用品などです。寮に用意する家電・生活用品の準備品の詳細は下記をご確認ください。これらは新品でなくとも良いので、社員の使わない物を譲ってもらったり、 リサイクルショップなどで準備しましょう。また、初回のみ、ティッシュやトイレットペーパー、ゴミ袋などの消耗品を準備しておくと、 技能実習生が日本での生活をスムーズに始めることができます。
寮に用意する家電・生活用品の準備品まとめ
- WiFi
- 自転車
- テレビ(日本語学習のため)
- 人数分の容量の冷蔵庫
- 洗濯機
- 人数分の容量の炊飯器
- ガスコンロまたはIH(備え付けがない場合)
- 電子レンジ
- 寝具類…夏冬両方のベットまたは布団
- 照明器具
- 冷暖房器具…こたつや扇風機等
- 食卓用のテーブルとイス
- カーテン
- 炊飯器具…フライパン、大と中の鍋、ポット、包丁、まな板等
- 食器…皿、コップ、フォーク、ナイフ、スプーン等
- 掃除用具…掃除機またはほうきと雑巾等
- 救急箱
- 日用品…ティッシュやトイレットペーパー、ゴミ袋、洗剤、シャンプー等(初回のみ)
4.まとめ
技能実習生の生活を保障するため、住居に関しては部屋の広さや設備、環境などの基準が定められています。 住む場所は、企業が所有する寮や民間のアパートなどがありますが、この基準を満たす場所を選びましょう。 水道光熱費は技能実習生の負担となりますが、毎月かかる費用がどのくらいになるのかを事前に技能実習生に説明し、同意してもらう必要があります。 日本で生活を始める際に必要な物は受け入れ企業が準備します。初めての場合、大変なこともありますが、居住環境を整えることは技能実習生のモチベーションの向上にもつながります。 わからないことは監理団体に聞きながら、技能実習生の受け入れ準備をすすめましょう。
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