【介護】介護技能実習生が介護福祉士を目指すには
技能実習で介護福祉士になるにはどのような要件があり、どのような過程なのかを解説しています。現在介護施設で活躍している技能実習生の中には、将来国家資格を取って日本で働き続けたいと考えている方も多いのではないでしょうか。さらに、ミャンマー・ユニティが送り出した介護の実習生がN2に合格しましたので、インタビューを公開いたします。
目次
介護現場と技能実習生
現在多くの介護事業所が、人出不足の問題に直面しています。外国人介護職員を雇用したいと考えている事業所は、多いはずです。
雇用するには4つの制度がありますが、中でも技能実習生は、事業所の要件がEPA介護福祉士候補者ほど厳しくなく、就労条件に関わらす、人材が確保できるので人気があります。
また、外国人技能実習制度は1993年から始まっています。介護分野が対象になったのは、2017年11月からですが、受け入れ調整機関である監理団体は人材の紹介から、入国前の訓練、入国後の研修やフォローに関しても、長い経験を有していて、初めて外国人を雇用する事業所にとっては、非常に心強いと思います。
外国人技能実習制度の真の目的は、日本で技能を学び、それを自国に持ち帰り発展に寄与するというものです。ですが実際には、受け入れ側にとっては、労働力需給が、実習生には日本円による高い賃金が目的になっているということは否めないでしょう。事業所側も多くの実習生も長期的な就労を希望していると思われます。
そのためには、技能実習3年修了後、特定技能介護に切り替え、その上で介護福祉士を取得するという方法が、最善ではないでしょうか。
技能実習生が介護福祉士になるには?
技能実習生の介護福祉士の受験資格
技能実習生の介護福祉士の受験資格は日本人と同じ条件となります。
従業期間 3年(1095日)以上+実務者研修
(注)従業期間3年のうち540日以上は従事する必要があります。
(注)受験資格は、国籍、性別、年齢、学歴等の制約はありません。
介護技能実習生は介護技術を学びながら働くため、必ず実務経験ルートとなり、実務経験が3年以上かつ実務者研修の受講で、介護福祉士試験の受験資格が得られます。
しかし、日本語での受験となりますので、最低でも日本語レベルN2を取得している実習生でないと、現実的に試験に受かることは難しいとされています。
ミャンマー・ユニティから送り出した実習生の中にも介護福祉士を目指している実習生がいます。そのような実習生には、まずはN2に合格することを目標としています。
介護福祉士になるまでの過程
技能実習生は、介護福祉士試験をいつまでに合格しなければならないのでしょうか?
介護福祉士の試験は日本語で行われます。試験内容の理解には、日本語能力は最低でもN2レベルが必要なため、技能実習1号・2号の間に最低でもN2に合格することが介護福祉士になるための第1歩となります。
※ミャンマー・ユニティの介護技能実習生は出国時、N3レベルでの日本語能力で送り出しをしております。
3年間技能実習1号・2号として実習を行った後、1か月一時帰国します。
その後、技能実習3号または特定技能1号に在留資格が移行できます。技能実習3号への移行はあまりにもハードルが高いので、特定技能1号への移行が現実的です。
技能実習3号は2年間、技能実習生としてさらに働くことが可能です。
特定技能1号は5年間、介護職で働くことが可能です。
技能実習「介護」を3年修了した技能実習生は、特定技能1号「介護」の技能試験や日本語試験が免除されるため非常におすすめの在留資格です。
その間に、実務者研修を受講し、国家資格である介護福祉士の試験を受験します。
※特定技能の介護職では、特定技能1号までしか認められておらず、在留期間は最長5年と定められています。基本的には5年で帰国するという前提であるため、技能実習と同様、母国から家族を連れてくることはできません。
実務者研修とは
介護福祉士の資格を取得するには実務経験3年だけでなく、実務者研修を受講し、修了しなければなりません。
申込み時ではなく、試験実施年度の3月31日までに修了が条件となっています。
実務者研修は、20科目450時間で平均6か月以上かかります。働きながら受講可能ですが、事業所の理解や協力がなければ難しいです。
学習内容・時間・テストについて
実務者研修内容は、20科目450時間です。
そのうち通学は、介護課程Ⅲが45時間+医療的ケア(演習)が16時間で、合計61時間、約7日となります。通学は、働いている人達に配慮して、毎週日曜、連続7回というところが多いです。
学習内容は「人間と社会」、「介護」、「こころとからだのしくみ」、「医療的ケア」の4つに大きく分けられ、「医療的ケア」は喀痰吸引や経管栄養などについて実技を通して学んでいきます。
通信教育の間に、平均4~5回問題やレポートの提出があります。また、通学での講義や演習終了後、修了試験があります。学校によって課題や試験の難易度と合格点がそれぞれ異なります。とても難しいというわけではありませんし、たとえ提出した課題や試験が基準点を下回ったとしても、再試験を行うなどして対応してくれます。
申込み方法と費用
実務者研修の実施機関は、介護福祉士の養成校などです。入学要件は特になく、インターネットでも申し込めます。通学の際の会場が、住居にできるだけ近くの学校を選ぶといいでしょう。 費用は、10~15万円程度が多いです。特定技能で就労している介護士は、雇用保険に加入しているはずですので、近隣のハローワークで専門実践教育訓練給付金を申請し、対象と認定されれば受講費の5割が後ほど戻ってきます。
事業所側の必要な支援
介護福祉士の取得は、介護士個人の問題にとどまらず、事業所にとっても
永続的に働いてもらえる可能性が高くなるとともに、サービスの質の向上という観点からも非常に大切なことです。また、介護福祉士の数が増加すれば、介護報酬も加算されます。
具体的には、実務者研修受講のための支援と試験の申込み、及び対策の支援が大切です。
まず、実務経験3年以上の受験資格がある外国人を対象にオリエンテーションを開催しましょう。取得のメリットと受験までの流れを説明します。
その上で受験希望者には、実務者研修の実施機関の選択や申込みを援助したり、短時間で構いませんので、通信教育のテキストや課題の提出を指導してあげたりするといいと思います。また、通学日をシフトから外すことや、会場までの行き方を教えてあげることも大切です。
試験対策に関しては、教材の選定等、道筋を示してあげることや、勉強を見守ってつまずいていたら、手を差し伸べるといった自分の業務や生活に支障をきたさない範囲で、支援協力する形が望ましいのではないでしょうか。申込みや試験会場までの交通手段に関しては、要所ですので確認してあげてほしいと思います。
在留資格「介護」
介護福祉士試験に合格すると、在留資格「介護」に変更可能になります。
在留資格「介護」に変更ができれば、その後在留状況に問題がなければ、1年更新(更新回数に制限なし)でずっと日本で働けるようになります。
在留資格「介護」では、配偶者及び子が「家族滞在」の在留資格で在留することも可能です。
介護福祉士の取得は、介護士個人の問題にとどまらず、事業所にとっても 永続的に働いてもらえる可能性が高くなるとともに、サービスの質の向上という観点からも非常に大切なことです。また、介護福祉士の数が増加すれば、介護報酬も加算されます。
具体的には、実務者研修受講のための支援と試験の申込み、及び対策の支援が大切です。
まず、実務経験3年以上の受験資格がある外国人を対象にオリエンテーションを行い取得のメリットと受験までの流れを説明しましょう。
下記、関連リンクから介護職で取得可能な在留資格「技能実習」「特定技能」「介護」「EPA」についてそれぞれの違いをまとめています。
介護技能実習生N2合格者インタビュー
ミャンマー・ユニティから送り出した介護技能実習生が介護福祉士になるための1歩である日本語能力試験JLPTのN2に合格しました。
インタビューに答えていただいた中の1名のインタビュー内容を抜粋いたします。
今、日本では何の仕事で働いていますか?
介護の仕事をしています。
なぜその職種を選んだのですか?
高校生の頃、介護に興味を持ち、おじいさんから介護のことを聞き、人と関わる仕事で、将来おじいさんの介助をしてあげることができると思いました。また、自分にもプラスになると思ったからです。
日本で働いてみてどうですか?
色々な介助方法を学んで、役に立ったと思います。
辛かったことは、入居者様の具合が悪くなって忙しかったときです。
嬉しかったことは、入居者様から「ありがとう」と言われたときです。また、名前を覚えてくれたことです。
これからのビジョンを教えて下さい。
介護福祉士の免許を取って、2人の妹と一緒に日本で暮らしたいです。
どうして日本で働き続けようと思うのですか?
日本で生活するのが楽しい、行ってみたいところがたくさんあります。
京都の金閣寺や、奈良の大仏、日本の歴史をたくさん勉強したいです。
N2合格者のインタビュー動画を公開!
ミャンマー・ユニティから送り出した介護技能実習生の多くが、仕事をしながらJLPT合格に向けて勉強を頑張っています。
今回はその中の数名にインタビューをしております。
日本語でのインタビュー動画ですので、ぜひ日本語力をご覧ください!
下記ではこれまでミャンマー・ユニティから送り出した技能実習生のうち、N2,N3合格者の累計数を公開しています。(介護職以外も含む)
介護職3名のインタビュー動画も公開しております。
では、技能実習生から介護福祉士になるにはどうしたらいいのか次に解説いたします。
★まとめ
技能実習「介護」の制度は、2017年11月より始まりました。特定技能1号「介護」の制度は2019年4月から始まったばかりです。ともに、新型コロナウイルスの影響を受け、認定はおりていても、入国できないといった状態が続いています。
介護技能実習生で来日した外国人介護士が、特定技能に切り替え、さらに介護福祉士を取得し、在留資格「介護」になり永続的に働いてくれるといったケースは、これからです。
今後、このようなケースが多くなれば介護業界のみならず、老後の不安を抱える日本社会において、非常に喜ばしいことです。より円滑に外国人介護士が介護福祉士を取得できるようになってほしいと思います。現状では、試験問題の漢字すべてにふりがながある問題用紙を選択できる以外、日本人と全く差異はありません。
EPA介護福祉士候補者の場合は、筆記試験の解答時間が通常の220分から1.5倍の330分です。これは、特定技能介護の外国人介護士にも適用されてもいいのではないでしょうか。
また、EPAの場合 実務者研修を受けなくても、実技試験に合格すれば介護福祉士が取得できます。働きながら、450時間分学ぶというのは、外国人介護士にとってかなりの負担です。在留資格介護になると、訪問介護事業所でも働けますから、そこで行うアセスメントや訪問介護計画書の作成のしかた、また、最近追加された医療分野の実習は確かに必要です。しかし、通常の無資格者と同じ450時間の研修を課す必要が果たしてあるのでしょうか。外国人が介護福祉士を取得するには現在の制度はあまりにも厳しすぎます。日本政府が介護業界の将来の人手不足対策を真剣に考えるのであれば、早急に基準を緩和するべきと考えます。
外国人介護士が、介護福祉士を目指す時代がすぐにやってきます。それは、日本社会の光になります。ぜひ、より多くの外国人介護福祉士の誕生が望めるような形になってほしいと願います。
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