高度人材とは?ポイント制度や優遇措置など解説!

一般的に言われている「高度人材」とは高度で専門的な技術・知識を有する外国人材のことです。具体的にはどのような人材が高度人材に含まれるのか解説いたします。

高度人材とは?ポイント制度や優遇措置など解説!

目次

  1. 高度人材とは何か
    1. 通称「高度人材」とは?
    2. 入管が定める「高度人材」とは?
  2. 高度人材ポイント制度
  3. 高度専門職ビザの優遇措置
  4. 申請の流れ
  5. まとめ

高度人材とは何か

「高度人材」とは、専門的な技術や知識をもつ人材を海外から受け入れて、日本が発展するために必要な外国人材のことをいいます。

通称「高度人材」とは?

一般的に「高度人材」とは、単純労働系の外国人材に対して、一定の学歴や経歴を有する人材のことをいいます。
次の項目で解説する「入管が定める高度人材」とは別の意味で用いられていますのでご注意ください。
一般的に「高度人材」と呼ばれる在留資格は「専門的・技術的分野の在留資格」です。
「専門的・技術的分野の在留資格」は次のように分けることが可能です。

在留資格 活動例
教授 日本の大学などでの研究・教育者
芸術 作曲家・画家・著述家など
宗教 外国の宗教団体から派遣される宣教師など
報道 外国の報道機関の記者・カメラマンなど
高度専門職(1-2) ポイントによる高度人材
経営・管理 企業の経営者・管理者
法律・会計業務 弁護士・公認会計士など
医療 医師・歯科医師・看護師
研究 政府関係機関や私企業などの研究者
教育 中学校・高等学校などの語学教師など
技術・人文・国際業務 機械工学などの技術者、通訳、デザイナー、マーケティング業務従事者など
企業内転勤 外国の事業所からの転勤者
介護 介護福祉士
興行 俳優・歌手・ダンサー、プロスポーツ選手など
技能 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者など
特定技能1号・2号 介護・ビルクリーニングなどの特定産業分野に関する知識・経験・技能を要する業務
 

この中では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる「技人国」)の人数が最も多く、一般的には「高度人材」とは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人材のことを指すことが多いのが現状です。

その「技術・人文知識・国際業務」人材(いわゆる技人国人材)は日本または海外の大学や大学院を卒業している、またはそれと同等の実績を有し、理学・工学などの自然科学の分野、または法律・経済・社会学などの人文科学の分野に関する技術や知識を必要とする業務、または外国の文化に基盤を置く思考や感受性を必要とする業務に従事することが認められています。

具体的な職種の例は以下の通りです。

IT系
  • 社内SE
  • アプリケーション開発
  • 通信インフラ設計・構築
事務系
  • 営業職
  • マーケティング
  • 商品開発
  • 貿易事務
  • 通訳、翻訳
  • 日本在住外国人のサポート業務
機械・電気・電子系技術者
  • Auto CAD
  • 回路設計
  • 半導体設計・生産技術
 

入管が定める「高度人材」とは?

一方、出入国管理局は「高度人材」について以下のように定義しています。

入管による定義
出入国在留管理庁が定める「高度外国人材ポイント制度」で、「学歴」「職歴」「年収」「年齢」「その他のボーナス」を点数化した結果合計が70点以上、かつ在留資格「高度専門職1号」「高度専門職2号」を取得した外国人労働者

以前の特定活動の「高度人材」というカテゴリは、 法改正によって「高度専門職1号」と「高度専門職2号」ビザが分離・独立しました。 上記の外国人は、「高度専門職1号」を所有しているとみなされます。 「特定活動・高度人材」と「高度専門職1号」は併用されるということではないです。 高度専門職とは「高度専門職1号」と「高度専門職2号」のことです。
高度専門職1号の種類
  • 高度専門職1号イ:高度学術分野に相当(研究者や教師)
  • 高度専門職1号ロ:高度専門分野に相当(専門家、エキスパート等のクリエイティブ・クラス)
  • 高度専門職1号ハ:高度経営分野に相当(経営者、起業家)
引用:高度人材ポイント制とは? | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
高度専門職2号とは
高度専門職1号イロハのビザを持って、日本に在留し、その活動を行った後、3年以上経過した場合、高度専門職2号に移行(ビザ変更)することができます。ポイント制度の70点以上及び年収要件を引き続き維持しており、納税義務、社会保険加入義務を履行し、素行が善良であることも条件です。高度専門職2号には「指定書」がなくなります。

高度人材ポイント制度

「高度専門職」ビザは、優秀な外国人を日本に呼び込み、日本の活性化を目指すべく創設された在留資格です。
外国人の学歴や職歴、年収などを点数化し、高度人材の受け入れの判断基準となる「高度人材ポイント制」を導入しています。

高度外国人材の活動内容は「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つです。

それぞれの特性に応じて「学歴」「職歴」「年収」などの項目ごとにポイントを設けて合計ポイントが70点に達した場合に出入国在留管理上の優遇措置を与えることにより高度外国人材の受入れを進めることを目的としています。
合計ポイントが70点未満の場合は、高度専門職の在留資格を取得することができない計算表は下記です。

引用: ポイント評価の仕組みは? | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

高度人材ポイント計算表は、上記3タイプ(イロハ)に分かれます。
また、日本の大学を卒業した場合や日本語専攻で外国の大学を卒業した場合、日本語能力試験N1合格の場合などボーナスポイントが加算されますので、70点に届きやすいです。

年収の要件は、高度専門職1号ロ、1号ハ(そしてそれぞれの2号も)は、ポイントに関係なく、年収300万円必要です。高度専門職1号イには、年収要件はありません。

 

高度専門職ビザの優遇措置

高度外国人材に認定された人材には,次の優遇措置が受けられます。

高度専門職1号の優遇措置

1)複合的な在留活動の許容
高度専門職では複数のビザにまたがるような活動を同時に行うことができます。
たとえば、会社に雇用されて就労している外国人が、その知識や技術を活かしてベンチャー企業を経営することもできるようになります。

2)最長の在留期間「5年」
入管法上の最長の期間である5年が一律に与えられます。もちろん、ビザ延長は可能です。

3)永住許可要件が緩和されます。
高度専門職としての活動を継続して3年、または、1年行っている場合には、永住申請を受理し、留学生の場合、高学歴であればあるほど、学生だった期間が長いため、就職する期間が遅れますので、高学歴の留学生にはメリットが大きいです。

4)入管での審査が優先処理されます。
入管での審査が優先的に処理されますので、在留資格認定証明書交付申請では約10日以内に、在留資格変更等の申請では約5日以内に審査結果が下ります。これは、通常の審査時間の2週間から3カ月に比べ大きな違いです。

5)配偶者の就労が認められます。
配偶者が、「技術・人文知識・国際業務」等の就労系ビザに該当する活動を行おうとする場合、学歴・職歴などの要件を満たさない場合であっても、就労することができます。

6)本国からの親の帯同ができます。
高度専門職の親であれば、一定の条件を満たすことで、高度専門職外国人本人又は配偶者の親のビザが認められます。

主な要件は以下になっています。

  1. 高度外国人材の世帯年収が800万円以上
  2. 高度外国人材と同居すること
  3. 高度外国人材又はその配偶者のどちらかの親に限ること

7)家事使用人の帯同が認められます。
一定の条件を満たすことで、高度専門職外国人が雇用する家事使用人のビザが認められます。例えば、世帯年収が1000万円以上あり、家事使用人の月給が20万円以上であること等の条件を満たす場合に限定されます。

 

高度専門職2号の優遇制度

幅広い活動を許可
「高度専門職1号」の活動とあわせて、就労可能な在留資格で認められる、ほぼ全ての活動をおこなうことができます。

在留期間
「高度専門職2号」は、在留が無期限となります。

また高度専門職1号の優遇制度3~7の「在留歴に係る永住許可要件の緩和」「配偶者の就労」「一定条件の下での親の帯同」「一定条件の下での家事使用人の帯同」「入管での審査が優先処理」の5つの優遇措置を受けることができます。

引用:どのような優遇措置が受けられる? | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

高度専門職ビザの注意点

高度専門職の注意点
高度専門職1号が認定されると、会社名と会社所在地が記載された「指定書」がパスポートに貼られます。
その所属機関(企業)で就労することとして高度専門職ビザを許可しているので、その所属機関を辞めて転職する場合、在留資格を再度変更する必要があります。

高度専門職としての活動を継続している限りは、資格外活動許可を受けることなく、主な就労系ビザの活動が可能となりますが、単純労働は認められないとしています。

高度専門職1号イロハの場合、転職して契約機関(または所属機関)が変わったときには、その都度、在留資格の変更の許可を受けなければなりませんが、高度専門職2号取得後は、転職しても、変更の許可は必要ありません。

高度専門職2号には、「指定書」が交付されません。
しかし、「永住」との違いとして、高度専門職の活動(本来の活動)を6ヶ月以上行わないでいる場合、ビザ取消しの対象となります。
失業した場合は注意する必要があります。
また、会社を辞めた場合、届出義務は発生しますので、ご注意ください。

高度専門職ビザの更新後

高度専門職1号
→ (ビザ期限到来時)高度専門職1号の単純更新(延長)
→ (1年経過)永住申請(ポイント計算表で80点以上の場合)
→ (3年経過)高度専門職2号へ変更。親帯同等の優遇を享受。または、永住申請(ポイント計算表で80点未満の場合)。

このうち、どの道を選ぶかは、ご本人の選択にゆだねられています。
来日(または高度人材認定後)3年でまずは高度専門職2号へ変更するのは、在留期限が無期限になるメリットがあります。もっとも「永住」の選択もできますので、どちらを選択するかどうかは、例えば、親を帯同できるメリットを享受するかどうかで変わってくるでしょう。

申請の流れ

申請者が

  • これから日本に入国される外国人の場合は
在留資格認定証明書交付申請
  • すでに日本に在留している外国人の方
  • 高度外国人材として在留中で,在留期間の更新を行う外国人の方
の場合、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請を行います。

次に2つの流れを解説します。

在留資格認定証明書交付申請の流れ

STEP1:地方出入国在留管理局の窓口での申請
「高度専門職1号」(イ・ロ・ハのいずれか)に係る在留資格認定証明書交付申請※を行っていただきます。
※ 入国予定の外国人の受入れ機関の方等が申請を行うことができます。
行おうとする活動に係るポイント計算表と,ポイントを立証する資料を提出し,高度外国人材の認定を申し出ます。

STEP2:出入国在留管理庁における審査
当該申請に係る入管法第7条第1項第2号に掲げる「上陸条件への適合性」の審査を行います。
(この時にポイント計算を行います。)
在留資格該当・上陸条件適合
在留資格非該当・上陸条件不適合
在留資格認定証明書交付
在留資格認定証明書不交付

※就労を目的とするその他の在留資格の上陸条件に適合している場合,申請人が希望すれば当該在留資格に係る在留資格認定証明書が交付されます。

STEP3:在留資格認定証明書交付
今回の申請により,あらかじめ上陸条件の適合性の審査は終了しているため,在外公館における査証申請の際に在留資格認定証明書を提示し,また,日本の空海港における上陸審査時に本証明書及び査証を所持することにより,スムーズな査証発給,上陸審査手続が行われます。

入国・在留

手続きの流れは? 必要な申請書類は? | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の流れ

STEP1:地方出入国在留管理局の窓口での申請
在留資格変更許可申請,在留期間更新許可申請のどちらの場合においても,行おうとする活動に係るポイント計算表と,ポイントを立証する資料等を提出してください。

STEP2:出入国在留管理庁における審査
高度人材該当性等の審査を行います。

【ポイント】行おうとする活動が高度外国人材としての活動であること ポイント計算の結果が70点以上であること 在留状況が良好であること 70点以上であるなど必要な要件を満たす場合 70点未満であるなど必要な要件を満たさない場合 不許可 (在留資格変更許可申請の場合,現在の在留資格による在留期間があれば,当該在留資格による在留を継続可能) ↓ 在留資格変更許可・在留期間更新許可

まとめ

少子高齢化で人手不足が進む現在、若くて優秀な人材の確保が難しくなってきています。そこで、外国人の採用を視野に入れればこれまでどおり会社の専門性を維持し、会社が発展する可能性も高いです。

高度外国人は雇用する人数に制限がなく、長期雇用も可能です。
専門的な知識を有していて、就労意欲も高い等複数のメリットがります。

日本の高度外国人雇用の現状は「専門的・技術的分野の在留資格」の人数は約27.7万です。

高度専門職ポイント制度の数は出入国在留管理庁(入管)公表の資料から、2020年12月時点の高度人材認定者数は、26406人です。
政府は、「成長戦略フォローアップ」(令和2年7月17日閣議決定) によると2022年末までに、40000人の高度人材外国人の認定を目指す方針です。
高度外国人材の受入れ状況等について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)   高度専門職の在留資格で高度人材の活用を考えてみてください。

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