在留資格「技能実習2号・3号」移行の流れと手続き
外国人が在留資格「技能実習1号」で就労した後、2号・3号への移行の手続きと流れをわかりやすく解説します。在留期間の更新のための条件や、試験や検定などの受験時期について、また、必ずやらなくてはならない各種申請など、実習生を受け入れた企業様は必ず知っておくべき内容です。
目次
技能実習生が就労した後の手続きについて
実習生は外国人技能実習機構(OTIT)へ計画認定を申請し、出入国管理局に在留資格の申請をして許可が下りてから日本に入国してきます。
では、実習生は入国した後は何もしなくても1号から2号および3号へ移行し、実習期間満了(2号なら3年、3号なら5年)まで働けるのでしょうか?
答えはNOです。
実は、実習生が予定している実習期間満了まで日本で働くには、毎年在留期間の更新をする必要があります。
実習生就労後の各手続きの流れは下記表の通りです。
技能実習1号~2号移行時の手続き
技能実習2号への移行要件
以下、技能実習1号から2号へ移行する際の要件です。
- 技能実習1号と同一の実習実施機関で、同一の技術等について実習が行われること※同一の実習実施機関で実習ができない場合は除く
- 技能実習計画に基づき、さらに実践的な技能等を修得しようとするものであること
- 所定の技能評価試験(技能検定基礎級相当)の学科試験及び実技試験に合格した者であること
- 移行対象職種は省令で定められた職種、作業であること(令和3年1月8日時点で85職種156作業)
技能実習2号移行への流れ
技能検定2級の受験/結果の通知
1号から2号1年目へ移行する際、実習生は「2号移行試験」を受検します。2号移行試験は職種により内容が異なりますが、技能検定基礎級もしくは技能評価試験初級を指します。
試験には、学科試験と実技試験があり、どちらも合格しなくてはいけません。
試験は入国後8か月目を目安に受検をします。そのため、試験の申込みは入国してから6ヶ月目くらいから始めます。
入ってきてやっと職場に慣れたと思ったら、もう試験の準備をしなくてはならないのです。
2号技能実習計画認定の申請/認定通知書の交付
入国時に外国人技能実習機構(OTIT)にする申請は「1号」時の計画認定の申請なので、2号の2年間分の計画認定を行います。
この書類も実習生の入国後6ヶ月~7ヶ月目を目安に準備を始めます。OTITに提出してから認定が下りるまでの認定機関は3週間~2ヶ月と言われており、各OTIT事務所によって審査の時間は異なりますので、前もって手続きすることが大切になります。
在留資格変更の申請
2号の計画認定が下りたら、技能実習1号から2号1年目への在留資格変更の申請を行います。実習生が働いている地域の管轄の入国管理局へ申請を行います。
入国管理局での審査は約1ヶ月なので実習生の在留期限が切れる1ヶ月前までには申請をする必要があります。
技能実習2号1年目~2号2年目の手続き
2号1年目から2年目の移行に関しては、1号から2号に移行するときのように試験を受けたり、認定をとる必要はありません。(2号移行時に取得する認定は2年分の認定になります。)
しかし、2号1年目の在留期限は1年間で発行されますので、2年目分の在留期間の更新をする必要があります。
在留期間の更新は入国管理局へ申請します。在留資格変更申請と同じでこちらの審査も約1ヶ月かかりますので在留期限の1ヶ月前までに申請する必要があります。
技能実習2号2年目~3号移行の手続き
技能実習3号への移行要件
以下、技能実習2号から3号へ移行する際の要件です。
- 移行対象職種は省令で定められた3号移行可能な職種、作業であること(令和3年1月8日時点で77職種135作業)
- 3年間の実習終了後(2号修了後)、1ヶ月以上1年未満の一時帰国を行うこと
- 所定の技能評価試験(技能検定3級)の実技試験に合格した者であること
- 過去に技能実習3号を利用したことがないこと
- 主務省令で定められた優良基準に適合していると認められた監理団体および実習実施者であること
技能実習3号移行要件である優良実習実施者とは
技能実習3号を受け入れるためには、監理団体と実習実施者がそれぞれ優良な管理団体、優良な実施者の認定を受ける必要があります。
優良実習実施者のメリット
- 技能実習3号の受け入れ可能(実習期間最長5年)
- 技能実習生の受け入れ人数枠拡大
優良な実習実施者になる要件
120点満点の6割以上で優良な実習実施者となります。
1技能等の修得等に係る実績 | 配点 最大70点 |
---|---|
Ⅰ 過去3技能実習事業年度の基礎級(初級)程度の技能検定等の学科試験及び実技試験の合格率(旧制度の基礎2級程度の合格率を含む) | 95%以上:20点 80%以上95%未満:10点 75%以上80%未満:0点 75%未満:-20点 |
Ⅱ 過去3技能実習事業年度の2・3級(上級又は専門級)程度の技能検定等 の実技試験の合格率 【計算方法】 分母:新制度の技能実習生の2号・3号修了者数-うちやむを得ない不受検者数 +旧技能実習生の受検者数 分子:(3級合格者数+2級合格者数×1.5)×1.2 |
80%以上:40点 70%以上80%未満:30点 60%以上70%未満:20点 50%以上60%未満:0点 50%未満:-40点 |
* 上記の計算式の分母の算入対象となる技能実習生がいない場合は 過去3技能実習事業年度には2号未修了であった者の申請日時点の3級程度の 技能検定等の実技試験の合格実績に応じて、右欄のとおり加点する。 |
合格者3人以上:20点 合格者2人:10点 合格者1人:5点 |
Ⅲ 直近過去3年間の2・3級程度の技能検定等の学科試験の合格実績 *2級、3級で分けず、合格人数の合計で評価 |
合格者2人以上:5点 合格者1人以上:3点 |
Ⅳ 技能検定等の実施への協力 *技能検定委員(技能検定における学科試験及び実技試験の問題の作成、採点、実施要領の作成や検定試験会場での指導監督などを職務として行う者)又は技能実習評価試験において技能検定委員に相当する者を社員等の中から輩出している場合や、実技試験の実施に必要とされる機材・設備等の賃与等を行っている場合を想定 |
協力有:5点 |
2技能実習を行わせる体制 | 配点 最大10点(介護15点) |
Ⅰ 直近過去3年以内の技能実習指導員の講習受講歴 | 全員有:5点 |
Ⅱ 直近過去3年以内の生活指導員の講習受講歴 | 全員有:5点 |
Ⅲ 直近過去3年以内の介護職種の技能実習指導員講習の受講歴 | 全員有:5点 |
3技能実習生の待遇 | 配点 最大10点 |
Ⅰ 第1号技能実習生の賃金(基本給)のうち最低のものと最低賃金の比較 | 115%以上:5点 105%以上115%未満:3点 |
Ⅱ 技能実習生の賃金に係る技能実習の各段階ごとの昇給率 | 5%以上:5点 3%以上5%未満:3点 |
Ⅲ 技能実習生の住環境の向上に向けた取組 | 有:5点 |
4法令違反・問題の発生状況 | 配点 最大5点 |
Ⅰ 過去3年以内に改善命令を受けたことがあること | 改善未実施:-50点 改善実施:-30点 |
Ⅱ 過去3年以内における失踪がゼロ又は失踪の割合が低いこと | ゼロ:5点 10%未満又は1人以下:0点 20%未満又は2人以下:-5点 20%以上又は3人以上:-10点 |
Ⅲ 過去3年以内に責めによるべき失踪があること | 該当:-50点 |
5相談・支援体制 | 配点 最大45点 |
Ⅰ 母国語相談・支援の実施方法・手順を定めるマニュアル等を策定し、関係職員に周知していること | 有:5点 |
Ⅱ 受け入れた技能実習生について、全ての母国語で相談できる相談員を確保していること | 有:5点 |
Ⅲ 過去3年以内に、技能実習の継続が困難となった技能実習生に引き続き技能実習を行う機会を与えるために当該技能実習生の受入れを行ったこと | 基本人数枠以上の受入:25点 基本人数枠未満の受入:15点 |
Ⅳ 技能実習の継続が困難となった技能実習生(他の監理団体傘下の実習実施者で技能実習を行っていた者に限る。)に引き続き技能実習を行う機会を与えるため、実習先変更支援サイトに監理団体を通じて受入れ可能人数の登録を行っていること | 有:10点 |
6地域社会との共生 | 配点 最大10点 |
Ⅰ 受け入れた実習生に対し、日本語の教育の支援を行っていること | 有:4点 |
Ⅱ 地域社会との交流を行う機会をアレンジしていること | 有:3点 |
Ⅲ 日本の文化を学ぶ機会をアレンジしていること | 有:3点 |
参考:技能実習制度運用要項
技能実習3号移行への流れ
技能検定3級の受験/結果の通知
実習3年目の最終目標は、技能検定の場合は随時3級、技能評価試験の場合は専門級の受検し合格することです。
3号移行を希望している実習生も希望していない実習生も、帰国前に必ず随時3級相当の試験を受検する必要があります。
受検のタイミングは在留期限の2~3ヶ月前になります。2号移行試験は実技と学科どちらも受検する必要がありますが、随時3級相当の試験は実技のみで問題ないとされております。(もちろん学科も受けても構いません。)
再受験は1回に限り認められています。3号に移行したい実習生の場合、合格は必須となります。
3号技能実習計画認定の申請/認定通知書の交付
3号2年分の計画認定の申請をします。申請する書類の中には実習生のサインが必要なものもあるため、実習生が一時帰国する前に3号時の雇用条件の説明や締結が必要になります。
申請は2号移行時と同じく3週間から2ヶ月かかりますので、前もって手続きの準備が必要になります。
※3号技能実習は実習生の転籍が可能です。転籍する場合、認定申請は3号技能実習を行う実習実施者が行います。
一時帰国
3号移行を希望する実習生は、3年間の実習終了後、1か月以上1年未満の一時帰国を行う必要があります。一時帰国に係る旅費については、旧制度と同じく監理団体(企業単独であれば実習実施者)が負担する必要があります。
また、再入国の前に年金の脱退一時金の申請をすると、3年間払ってきた年金の1部が還付されます。(遡れるのは36ヶ月分)
一時帰国の期間が3ヶ月を超える場合は、地方出入国在留管理局において第3号技能実習開始時に一時帰国するまでの在留期間が決定されます。その場合、一時帰国の本邦入国は、在留資格認定書交付申請を行い、査証を取得して新規入国する必要があります。
在留資格変更/在留資格交付の申請
3号に移行したい実習生の中には一時帰国はするがすぐにでも日本に戻ってきて働きたいという人もいれば、ゆっくり母国で休んでから日本に戻ってきたい、という人もいます。
前者の場合、2号の在留期限から2ヶ月以内に戻ってくる実習生であれば、出入国管理局にする申請は「在留資格変更申請」になります。
この場合、在留資格変更の許可が下りれば日本に戻ってくることが出来ます。
後者の場合、2号の在留期限から日本への入国が3ヶ月を超える場合は「在留資格交付申請」になります。
この場合は在留資格が交付された後、母国の日本大使館にてビザの発行が必要になります。ビザ発行後、日本に入国することが出来ます。
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