外国人社員の書類退職手続きとは?|人事向け

外国人社員が退職する時には、本人が行う手続きと会社が行う手続きがあります。この記事では外国人が退職するときに必要な書類手続きを詳しく説明します。

外国人社員の書類退職手続きとは?|人事向け

外国人社員が退職する時には、本人が行う手続きと会社が行う手続きがあります。

手続きには、外国人特有の書類申請が必要となりますが、オンライン上で事務処理ができるものもありますので、各所HPから閲覧して手続きを進めましょう。外国人社員の場合、日本の雇用制度について知識不足であることが多いので、特に本人による手続きについては、補足説明によるサポートも行うことを推奨いたします。

目次

  1. 会社が行う退職の書類手続きについて
    1. 外国人特有の退職の書類手続き
    2. 日本人社員と同様の退職の書類手続き
  2. 外国人が行う退職の書類手続きについて
  3. さいごに

1.会社が行う退職の書類手続きについて

1-1 外国人特有の退職の書類手続き

「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する

外国人社員が退職する時には、ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。この手続きによって出入国在留管理庁への届出が免除されることになります。入国管理法では、外国人が退職した場合には出入国管理庁へ届出をする必要がありますが、事前にハローワークへの「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出することで二重の手続きは不要となります。

もし、「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出をしなかった場合には、罰則として雇用主に対して6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されますのでご注意下さい。

また、在留資格が以下に記載の外国人社員の場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」は必要ありません。

  • 外交
  • 公共
  • 永住者
  • 永住者の配偶者
  • 日本人の配偶者
  • 定住者
ハローワーク「雇用保険被保険者資格喪失届」

◆「退職証明書」を発行する

外国人社員が退職後に転職をする場合には、出入国在留管理庁で、在留資格変更、在留資格更新、就労資格証明書交付申請のために必要な添付書類として「退職証明書」の提出をします。
「退職証明書」の内容は、企業に在籍していた期間/職務内容/役職/給与/退職の理由(解雇の場合はその理由)などの記載がされた証明書が必要となります。ただし、外国人社員が本国へ帰国する場合は必要ありません。

◆在留カード番号記載様式を申請する

2020年3月より、外国人雇用状況の届出に、在留カード番号記載の提出するようになりました。外国人社員が退職後10日以内に手続きを行う必要があります。厚生労働省HPの外国人在留カード番号記載様式から書き込みが可能です。

厚生労働省HP・外国人在留カード番号記載様式

1-2 日本人社員と同様の退職の書類手続き

◆源泉徴収票の交付する

外国人社員が退職する場合の源泉徴収票は、本人から請求されなくても交付する必要があります。外国所得税法により、退職者の源泉徴収票は、最後の給与支払い日の前後で交付されることとなっています。この法令に違反した場合の罰則は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金となりますのでご注意下さい。

特に外国人社員の場合、日本の雇用制度の仕組みを知らないケースもありますので、雇用側の義務として源泉徴収票の交付を行うようにしましょう。

◆健康保険証を返却する

外国人社員の退職時には、日本人社員と同じように健康保険証の返却が必要です。

健康保険証が使用できる期日は退職日までとなります。返却された健康保険証は、退職後5日以内に「資格喪失届」に添付して健康保険組合に送付しましょう。もし、健康保険証を紛失した場合には、「資格喪失届」または「被扶養者異動届」に「被保険者証回収不能届」添付して提出する必要があります。

◆社会保険と労働保険の資格喪失の手続きをする

外国人社員が退職後5日以内に、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を、年金事務所へ提出する必要があります。健康保険と厚生年金保険は退職日の翌日から使用できなくなります。

日本年金機構 ・届書様式

◆雇用保険の離職票の交付する

外国人社員が退職後に雇用保険制度の失業手当を申請する際に必要な書類となります。

離職票の交付の流れは、外国人社員が離職票を請求してきた場合に雇用事業主はハローワークに「離職証明書」を提出することで「離職票」が交付されます。

ハローワーク

2.外国人が行う退職の書類手続きについて

 

外国人本人が行う手続き

こちらは外国本人が行わなければいけない手続きですが、なんの手続きが必要なのか、どこでどのように行うのか知らないというケースがほとんどです。
以下の手続きに関しても本人にすべて任せるのではなく、会社のサポートが必要です。

◆所属(契約)した機関に関する届出が必要となる

外国人社員は退職後14日以内に、ハローワークまたはオンラインで「契約機関に関する届出」の届出が必要となります。この手続きは退職以外のも転職や所属機関の変更時にも届出する場合に必要となります。

また、外国人の中には、この手続きを知らなかったり忘れてしまうケースがよくありますので、退職時には説明と申請法などのサポートがあるとよいでしょう。

オンライン申請・法務省/所属(契約)機関に関する届出

◆転職の準備と在留期間の調整をする

在留資格では退職後に無職で3か月以上経過した場合、「在留資格の取消し」の対象となります。退職から次の会社への転職期間には、余裕をもって計画し在留期間について把握しておく必要があります。退職後に本国へ帰国する外国人は対象外です。

但し、現時点では新型コロナウィルスの世界的な蔓延により帰国困難な外国人が増えており、救済策として幅広く在留資格「特定活動」が付与されております。在留資格「特定活動」には様々な種類がありますが、帰国困難者は早めに入管に資格変更手続きをするとよいでしょう。

◆住民税の手続きをする

外国人社員が退職して翌月10日までに、市町村の役所に「給与支払報告に係る給与所得異動届」を提出する必要があります。

本国へ帰国する場合にも、住民票の転出届とマイナンバーカードの返却が必要です。

◆失業給付金の申請をする

以下に記載の必要書類を持ってハローワークで求職の申し込みをします。後日、失業認定を受理されたら失業給付金が支給されます。

  • 離職票
  • 雇用保険費保険証
  • 印鑑
  • 在留カード
  • 証明写真2枚
  • マイナンバーカード
  • 本人名義の預金通帳、キャッシュカード

ハローワークでは申請の条件である『就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない』ことを前提に受け付けています。また、外国人社員は雇用保険の加入期間が12か月以上であることが必要となります。

ハローワーク

◆脱退一時金の請求のための手続きをする

本国へ帰国する外国人の場合、国民年金・厚生年金をの脱退一時金の請求することができます。外国人が日本を出国後に請求すれば、厚生年金保険の加入期間に合わせて脱退一時金が支給されます。

請求できる条件は、国民年金・厚生年金の支払い期間が6ヶ月以上あること/日本国籍を有しない者/日本を出国してから2年以内/障害基礎年金支給を受けたことがある/等の理由が当てはまる場合には、脱退一時金が支給されます。

日本年金機構・脱退一時金請求書

さいごに

外国人社員が退職する場合の手続きについて説明いたしました。各種手続きでは、日本人社員の場合とは異なる外国人特有の手続きがありますので、提出期日や必要書類、申請場所などをご確認の上、手続きを進めましょう。

また、外国人社員本人が行う手続きについては、事前に説明補足ができれば、その後の在留資格や転職などの手続き上で滞りなく進めることができます。特に、退職後3か月以上再就職していない場合には、在留資格の取り消しの対象となりますので、退職時には外国人社員に対して詳細な説明ができれば良いでしょう。

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